「人は宝」部員2人から立て直し関東学生リーグの強豪校へ 國學院大學男子卓球部に潜入

2021年12月に行われた関東学生秋季卓球リーグで、男女ともに輝きを放ったのが國學院大學卓球部だ。オープン開催のため昇降格はなかったが、男女ともに一丸となって戦い、男子は2部2位、女子は2部1位と堂々たる成績を残した。

今回は國學院大學卓球部の練習場にお邪魔し、男女卓球部それぞれの強さの秘密を探った。まずは男子卓球部について人見剛監督、村上達哉主将に聞いた。

写真:國學院大學男子卓球部/撮影:ラリーズ編集部
【國學院大學男子卓球部】昭和22年に創部された歴史ある伝統校で、現在は関東学生リーグ2部に所属する。2022年の全日本選手権では、現主将の村上達哉がシングルスベスト64、ダブルスでは鎌倉将輝/村上達哉ペアがベスト32まで勝ち上がった。信号器材でプレーする佐藤佑飛ら実業団選手も輩出。

後輩部員が2人しかいないところからスタート

――人見監督はなぜ國學院大學卓球部の監督になられたのでしょうか?
人見剛監督:まず私が國學院大學在学中は卓球部の歴史で一番弱く苦しい時期でした。卒業する時には後輩が2人しかいないという本当に危機的な状況でした。

卒業してから、國學院大學の事務職員になり、部員集めからスタートし、今に至るという感じです。監督になったのは30半ばなので、今年で20年近くやっています。

写真:國學院大學卓球部練習場/撮影:ラリーズ編集部
写真:國學院大學卓球部練習場 冷暖房完備で抜群の環境を誇る/撮影:ラリーズ編集部

――今だとスポーツ推薦で高校でトップクラスの選手も入っていますが、昔は全然違ったんですね…。
人見剛監督:ちょうど大学の入試制度も随分変更があった時代で、実はまだスポーツ推薦ができて10年ちょっとです。

そういう意味では部の歴史は長いんですけれども、その中でもいろんなことがありました。

――色んなものが積みあがって今の國學院大學卓球部があるんですね。
人見剛監督:コツコツコツコツやってきて、今では“國學院大學卓球部でやりたい”という人たちが集まってきて、チームが作られています。

後は國學院大學を応援してくれる高校の先生方がいたり、そういう周りの人のおかげでここまで来れたと思っています。

写真:ミーティングで学生達に語りかける人見監督/撮影:ラリーズ編集部
写真:ミーティングで学生達に語りかける人見監督/撮影:ラリーズ編集部

一人一人が納得して行動するように

――今、男女合わせて30人近くの部員がいる中で、監督としてはどういう点を意識していますか?
人見剛監督:一番は選手一人一人が納得して行動するようにしたいとは思っています。人にやらされているようでは伸び代がないので、ちゃんと突き詰めて話をしています。

私としては、納得させるために色々気づきを与えるようにはしていて、やっぱり学生が「やるぞ!」と思ったときに発揮する力はすごく大きいので、そういう学生を一人でも作りたいなとは思っています。

写真:練習前のミーティングで話を聞く國學院大學卓球部のメンバー/撮影:ラリーズ編集部
写真:練習前のミーティングで話を聞く國學院大學卓球部のメンバー/撮影:ラリーズ編集部

――気づきを得て、自ら考えて行動する選手が多いことが特徴なんですね。
人見剛監督:全員が全員、団体戦に出られるわけではないですから、全体としては競争しつつもどこか活躍する場所がないかと考えて行動するということがチームの特徴でもあると思います。

全体の中の自分の立ち位置を築いてもらいながら、かつどうしたいかを積み上げて考えることを大事にしているのかなと思います。

卓球好きな人が集まる國學院大學卓球部

ここで男子主将の村上達哉にも話を聞いた。

写真:全日本卓球選手権でベスト64に入った村上達哉(國學院大學)/撮影:ラリーズ編集部
写真:全日本卓球選手権でベスト64に入った村上達哉(國學院大學)/撮影:ラリーズ編集部

――主将から見て、國學院大學卓球部はどういうチームですか?
村上達哉:練習メニューは自分たちで決めていたり、練習時間も自分達でほとんど決めていたりして、一人一人考えて行動する面は特徴のひとつだと思います。

また、卓球をやれと厳しく強要されるわけではなく、みんな卓球が大好きで自分達からどんどんやっていきます。卓球好きな人が集まっていて、良い環境で良いコミュニケーションが取れているので、男女ともに仲もとても良いです。

写真:男女で練習する場面も見られた/撮影:ラリーズ編集部
写真:男女で練習する場面も見られた/撮影:ラリーズ編集部

――卒業生の方々も練習に来られていて、先輩後輩としても仲が良く見えます。
村上達哉:卒業生の方たちがコーチをしてくださり、技術はもちろん、練習後にご飯に連れて行ってくれ、先輩後輩としても仲良くしてくださいます。時には厳しく指導もしてくださるので、そこはすごく良いところだと思います。

写真:コーチとして練習を手伝いに来ていた佐藤佑飛 信号器材でプレーする現役実業団選手/撮影:ラリーズ編集部
写真:コーチとして練習を手伝いに来ていた佐藤佑飛 信号器材でプレーする現役実業団選手/撮影:ラリーズ編集部

――人見監督についてはどうですか?
村上達哉:人見監督では、「大事なのは卓球だけじゃない」というのが一番よく言われることです。

個性を大事にした上で、行き過ぎたらちょっとストップをかけてくださるので、そういう面ではすごく助かっています。

――チームとしてはやはりリーグ1部昇格が目標ですか?
村上達哉:はい、この1年はリーグ戦1部昇格の目標に向かって行きたいです。ただ、今年勝てればいいというわけではないと思うので、これから先何年も勝てるチームを今年一年で頑張って作り上げていきたいなと思います。

嫌だなと思う時ほどしっかりコツコツと

再び人見監督に話を聞く。

人見監督
写真:ミーティングで学生達に語りかける人見監督/撮影:ラリーズ編集部

――20年ほどの監督生活で嬉しかったのはどういうことでしょうか?
人見剛監督:まず嬉しいのは、卓球部を辞める部員が非常に少ないことです。

今日も卒業生が練習を手伝いに来てくれてますけど、そうして卒業していった学生と「あの時の試合はこうだったよね」という話をする時が、監督をしていて一番嬉しい瞬間ですね。

あと卒業生の結婚式にもよく呼ばれるので、それは嬉しいです(笑)。

町田
写真:コーチとして練習を見に来ていた町田幸希さん トップ選手も恐れたデスサービスを得意とすることで知られる/撮影:ラリーズ編集部

――逆に監督生活で辛かったなということはありますか?
人見剛監督:嫌だなと思う瞬間は人間なので色んな所でありますね。ただ、40過ぎてからある程度吹っ切れて、嫌だなと思う時ほどしっかりコツコツやろうと心がけています。

そうやって頑張ってやっていくと意外に進んでいるんですよね。それは学生にも教えているし、嫌だなと思う時は逆にチャンスだと思ってやるようにしています。

――そうやってコツコツ踏ん張れるのは、部員が本当に少なかった苦しい時期を知っているというのも大きいのでしょうか?
人見剛監督:それはあると思います。

だから「部員がもう多いんじゃないか?」と言われる時があるんですけど、人が少ない時を知っている人間としては「人は宝」です。色んな人がいれば、何か違う知恵を持ってきてくれる。そういったところは大事にしようと自分では思っていますね。

写真:2021年秋リーグでの國學院大學男子卓球部/撮影:ラリーズ編集部
写真:2021年秋リーグでの國學院大學男子卓球部/撮影:ラリーズ編集部

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

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