55歳“鉄人”大栗寛、地元開催の夏終わる<全日本実業団卓球選手権大会>

<第72回全日本実業団卓球選手権大会 日時:2022年6月30日(木)〜7月3日(日) 場所:徳島県 アミノバリューホール(鳴門市民体育館)>

全日本選手権に25回の出場を誇る“鉄人”、大栗寛・55歳が率いる徳島大正銀行は、1次リーグを突破した後のトーナメント1回戦で、姿を消した。

“率いる”は少し言い過ぎたかもしれない、特に今大会に関しては。

約2ヶ月前に痛めた左股関節を、円熟の技でかばいながら、でもかばいきれない試合だった。

大栗寛
写真:大栗寛(徳島大正銀行)/撮影:ラリーズ編集部

「スタンスを取ると股関節に負担がかかる」

地元徳島での開催ということで、徳島大正銀行は初めて全日本実業団選手権に参加した。
部員はちょうど4人。ひとり欠けても出場できない。
しかし、約2ヶ月前、大栗が怪我をした。

「まずは出ること。スタンスを取ると股関節に負担がかかってしまうんですよね」

大栗寛
写真:試合中に倒れ込む場面もあった/撮影:ラリーズ編集部

ただ、不思議なほど、大栗に悲壮感はない。
「昔から腰痛も持ってますし、肘、手首など、故障の数は多いですから。ただ、今回の股関節は治るのに時間がかかるので、年をとったのかなと(笑)」
思わず頷いてしまう。

自分の体調よりも、チームの敗戦について、実に悔しそうに振り返る。
「さっきの試合、惜しかったのはダブルスですよね、ゲールオールの7-6リードから。レシーブ有利だったのにサービスを変えられてしまった」

徳島大正銀行のM田大樹(左)と井上慎太郎(右)
写真:徳島大正銀行のM田大樹(左)と井上慎太郎(右)/撮影:ラリーズ編集部

「全日本と国体の徳島代表であるM田(大樹)くんがまずは2点取って、あとは寄ってたかって誰かがあと1点というチームです」と語る大栗。

そのエースのM田に大栗さんの人柄を聞いた。
「自分の父親と同じくらいの年の大先輩なのに、何十年も前からの知り合いのように気さくに接して頂き、練習も試合も本当に楽しくやらせてもらっています」

徳島大正銀行
写真:試合を見守る徳島大正銀行のメンバー/撮影:ラリーズ編集部

敗退はしたが、無観客の会場から思いのこもった拍手が、地元企業・徳島大正銀行の選手たちに送られたのだった。

徳島大正銀行のメンバー
写真:徳島大正銀行のメンバー/撮影:ラリーズ編集部

現役を続けられる理由

なぜ、大栗は満身創痍になりながら、それでも現役を続けられるのだろう。
大栗はさらりと答えた。

「面白いからでしょうね。嫌なことを長くやろうと思いませんから。練習もゲーム性をもたしたり、1コースでも点数数えたりっていうものが多いですね」

大栗寛
写真:大栗寛(徳島大正銀行)/撮影:ラリーズ編集部

ステンレスの鉄人?

「この後は2ヶ月ほど試合がないので、卓球は少し休養します」

“これでラケットを置くことになる可能性も?”と水を向けた。

「それはないですね、むしろ」大栗は身を乗り出して言った。

「今、手術を視野に入れてます。今回治ったとしても、卓球は股関節に負担がかかるので、この先のプレーを考えて、ステンレスを入れようかと。来週相談に行ってきます」

鉄人の、鉄人たるゆえんを見たのだった。

大栗寛
写真:大栗寛(徳島大正銀行)/撮影:ラリーズ編集部

試合結果

◯(株)三五(愛知)3−2 徳島大正銀行(徳島)
◯島畑和則 3-0 福岡貴孝
 浅井秀冴 0-3 M田大樹◯
◯島畑和則/齋藤真澄 2-1 井上慎太郎/M田大樹
 山下紫寿綺 2-3 井上慎太郎◯
◯齋藤真澄 3-1 大栗寛

取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)

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