ロート製薬・ラジュ副社長に聞く “国内初のCHO”が進める健康経営<卓球応援企業特集>

写真:ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(ロート製薬副社長・CHO)/撮影:ラリーズ編集部

このままでは国の状況は厳しくなる、医療費負担で

そう警鐘を鳴らすのは、ロート製薬を副社長として率いるジュネジャ・レカ・ラジュ氏。インド出身のラジュ氏は、研究部門から国内初のCHO(チーフヘルスオフィサー、最高健康責任者)に抜擢された異色のキャリアの持ち主だ。

“健康経営”を掲げるロート製薬では、社員の健康を大切にするのはもちろんのこと、スポーツ支援や健康食品、食や農業などを通じて国民全体を健康にしようと本気で目論む。病気が増えれば薬が売れて儲かるはずの製薬会社がなぜ?という疑問をよそにラジュ氏は「人生100年時代、課題は健康ですよ」と言い切る。そして「健康寿命と平均寿命の差を無くしたい。そこに卓球はぴったり」と自身もプレー経験のある卓球を解決策の一つとして掲げる。

ロート製薬のオフィスに設置された卓球台でラジュ氏とラリーをしながら、その発言の真意に迫った。

「薬に頼らない製薬会社」とは


写真:ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(ロート製薬副社長・CHO)/撮影:ラリーズ編集部

ーー単刀直入に聞きます。病気を治すための薬を提供する製薬会社が、ここまで健康増進に力を入れて業績に影響は出ないのでしょうか?
ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(以下ラジュ):
はい、私たちは「薬に頼らない製薬会社」を目指してます。病気を治すための薬だけではなく、健康な人にも色んな提案ができる製薬会社になろうとしています。もちろん病気の時には薬や治療は必要なので、目薬や再生医療などの研究も進めています。でも病気になる前にやれることがいっぱいあるんです。それが予防です。

ーー詳しくお聞かせ下さい。
ラジュ:
例えば食。カルシウムが不足しがちな成長期のお子さんには「セノビック」というカルシウム配合飲料を提供していますし、プロポという女性向けのプロテインも出しました。それ以外にも朝食向けのスープや発酵食品なども開発しています。健康な人に年齢やタイミングに合った食品を摂る提案をさせていただいています。

ーーロートの社員も健康意識が高いと聞きます。
ラジュ:
私はCHOという立場なのですが、何か特別なことをしているわけではなく、社員が自主的に動いています。「卒煙」を掲げて社員喫煙率ゼロを目指したり、1日の平均歩数や早歩き時間の目標を設定しています。社員とその家族が健康でないと国民を健康に出来ないですから。

ロートとスポーツ支援


写真:ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(ロート製薬副社長・CHO)/撮影:ラリーズ編集部

ーースポーツへの支援も積極的ですね。
ラジュ:
2代目会長の山田輝郎がスイミングスクールを創設してオリンピック選手を育てるなど、ロート製薬には昔から健康を促進するスポーツとの関わりを大切にする伝統があります。今もガンバ大阪を応援していますし、最近は卓球にも力を入れています。

ーーTリーグも応援されていますね。
ラジュ:
Tリーグは昨年の開幕時からオフィシャルパートナーとして応援しています。卓球は特に目を使うし、ロート製薬は目薬の会社と認知されているので、目の健康のサポートをしたいと思いました。今年の女子開幕戦も現地で応援しましたが、日本の有名選手も海外選手も出てくるし、観客の応援も素晴らしかった。日本の卓球の盛り上がりを肌で感じましたね。

ーー社内外の反響はいかがですか?
ラジュ:
実は一番喜んでいるのは社員じゃないかと思います。元々ロート製薬の社内各所に卓球台があり、食堂に卓球台を並べて全社卓球大会をやったこともあります。『経理のあの子はあんなに卓球上手なんだ』『隠れ卓球プレーヤーだ』と盛り上がりました。うちの工場でも卓球が人気でチームでユニフォームをちゃんと作っていたり、Tリーグの試合を観に行ったりしていますね。

ーー卓球のどんなところに魅力を感じますか?
ラジュ:
卓球は小さい子供から90歳を超えても出来る生涯スポーツ。幅広い年齢が楽しめ、室内でケガをしにくいというのも魅力です。また寒いところから南国でもできる。実は私もインドで学生時代にやっていましたし、インドにもプロ卓球リーグもできた。ヨーロッパ、中国、インド、日本とグローバルで人気がありますよね。

将来のメダリストを見据えて


写真:ジュネジャ・レカ・ラジュ氏(ロート製薬副社長・CHO)/撮影:ラリーズ編集部

ーー全国ホープス(小学生以下の全国大会)にもメインスポンサーとして協賛するなど、ジュニア世代にも支援の幅を広げられていますね。
ラジュ:
ホープスでは将来のメダリストたちが一生懸命プレーしていて、私たちも応援しています。

入賞チームの副賞にはセノビックを提供しており、全員にサンプルもお配りしていますが、あるとき中国から問い合わせがありました。『日本の子どもだちが強くなるためにみんなセノビックを飲んでいるぞ』という噂が広がったようです(笑)

ーー最後に、健康経営と卓球について、今後の展望についてお聞かせ下さい。
ラジュ:
80歳、90歳、100歳になっても出来る卓球と健康を少しでもロート製薬が繋げて支援したいと思っています。日本生命の村上監督とのご縁もあって、全国の子供たちに卓球台を寄付したり、卓球教室を開いたりと応援の幅が着実に広がっています。日本でもっと卓球をプレーする人を増やすことが、国民の健康寿命を延ばすことにつながって、医療費の問題を解決できるかもしれない。

『あのロート製薬の卓球台で小さい頃やってました』と将来のメダリストが言ってくれたら嬉しいですね。Tリーグも2年目に入り、ますます盛り上がっていますので、いろいろな取り組みをしたいと思っています。

取材・文:川嶋弘文(ラリーズ編集長)

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