勝南桜、104連敗の“史上最弱力士”がクビにならない特別な事情

西序ノ口24枚目の勝南桜聡太が104連敗を記録 式秀部屋にとっては大事な収入源か

記事まとめ

  • 西序ノ口24枚目の勝南桜聡太が連敗記録を104に更新し、14場所連続全敗となった
  • 関係者からは「昔だったらとっくに引退勧告されていたはず」との声が上がっている
  • しかし、部屋にとって大事な収入源で、勝南桜にとっても生活が保障された環境だという

勝南桜、104連敗の“史上最弱力士”がクビにならない特別な事情

勝南桜、104連敗の“史上最弱力士”がクビにならない特別な事情

5月場所11日目 隆太陸に押し出しで敗れ96連敗の序の口・勝南桜(2021年5月19日)

 7月16日、大相撲名古屋場所の13日目、西序ノ口24枚目の勝南桜聡太(23=式秀部屋)が自己の持つ連敗記録を104に更新。これで14場所連続全敗となった。2015年九州場所の序ノ口デビューから連続34場所負け越している史上最弱力士というわけだが、関係者からは「昔だったらとっくに引退勧告されていたはず」との声が上がっている。

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 これまでの角界の連敗最長記録は、森川(現・森麗=序ノ口三枚目)が2003〜04年にかけてつくった32連敗である。それに比べれば、104連敗はあり得ない記録といっても過言ではあるまい。

 勝南桜の通算成績は、3勝238敗1休で、間違いなく史上最弱力士である。


■運動音痴


 身長約180センチ、体重86キロ。力士としてはあまりに細すぎる。

 2016年10月、服部桜の四股名だった頃、「週刊新潮」(2016年10月13日号)の取材に、母親がこう語っている。以下はその抜粋である。

《「あの子、いわゆるオタクで、パソコンで徹底的に調べ事をして、小学校の頃からよく首や肩が凝るほどだったんです(中略)」
「小さい頃から、竹馬を与えても『足をのっける部分が外れたらどうしよう』と心配するほど、極度のあがり症というか怖がりでした。そんな子が、どうしても相撲をやりたがったので背中を押してあげたんです。小中学校の運動会の駆けっこでは常にビリ争い。運動音痴な子でしたが、相撲は本当に好きだったので……」》

「相撲協会には力士を辞めさせる際の規定がないので、事実上、理事長の判断で決めていました。昔は幕下を25場所以上続けるとリストラされたものです。勝南桜もとっくに引退勧告されていたでしょう」

 と解説するのは、ベテラン相撲記者。

 ところが、相撲人気が衰えて新弟子も少なくなった。その影響でいくら弱くても力士をクビにすることができなくなったという。

「大鵬の全盛時代は、春場所で新弟子が130人も集まったことがあります。中卒高卒が新弟子になるので、就職場所と呼ばれたものです。ところが、それをピークに新弟子は減り、若貴ブームの時でも春場所は40〜50人でした。最近は30人まで減っています。これでは、力士を簡単に辞めさせるわけにはいきません」(同)

 相撲部屋の主な収入は、協会からの補助金だが、

「幕下以下の力士には、協会から力士養成費が出ます。関取がいなくても、幕下以下の力士が10人もいれば、部屋は十分やっていけます。勝南桜も部屋にとっては大事な収入源ということ。いくら弱くても辞めさせないのでしょう」(同)


■力士1人で186万円


 力士養成費は、幕下以下の力士1人当たり月7万円。稽古場経費が場所ごとに力士1人当たり5万5000円。相撲部屋維持費が場所ごとに力士1人当たり11万5000円。部屋は力士1人につき年間186万円給付される。

「昔は、出世が見込めない力士には、協会が運転免許証を取得させ、職業訓練を受けさせ、郷里で就職させたものです。ところが、そういう時代は終わった。力士もずっと幕下以下でも、住居費や食費はすべて部屋もちだから、生活に困りませんからね。だから、30代、40代になっても、幕下以下のまま部屋に居残っているのです。彼らは大年増と呼ばれ関取の付き人になっていますが、関取をアゴで使っている者もいますね」(同)

 勝南桜にとっても、角界は居心地が良いのだろうか。

「コロナ禍で職を失った人が大勢いる中、毎日腹いっぱい食べられる。タニマチがくればお小遣いも貰える。生活が保障されているわけですから、無理に辞めようとしない力士がいても不思議ではありません」(同)

 その上、序ノ口で全敗を続けても、番付が上がることさえあるという。

「新弟子になった力士は、最初は前相撲に出ますが、そこで未勝利だと、次の場所で序ノ口全敗力士の下に番付されるのです。今年の春場所は新型コロナで前相撲は行われなかったので、30人以上いた新弟子が全員未勝利として扱われ、序ノ口で全敗だった勝南桜も五月場所で自己最高位の東序ノ口九枚目に昇格しました」

 連敗記録はどこまでいつまで続くのか。

デイリー新潮取材班

2021年7月21日 掲載

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