「桐生祥秀」救済策? 五輪選考がルール改正、サニブラウンが“圏外”に

「桐生祥秀」救済策? 五輪選考がルール改正、サニブラウンが“圏外”に

桐生祥秀

 繊細と豪胆、いずれも一流のアスリートに求められる条件ではあるものの、一方に偏っては成果も生まれない。陸上男子100メートルで日本記録を有しながら、勝負弱さゆえ「チキンハート」なる仇名がついて回る桐生祥秀(23)。そんな彼が安堵しそうな“ルール改正”が、先ごろなされたという。

 今季の陸上界で最大のイベントは、9月末からドーハで開かれる2年に1度の「世界陸上」である。スポーツ紙デスクが言う。

「この代表選考会を兼ねる日本選手権は6月に行われますが、いま最も注目されているのは米国留学中のサニブラウンです」

 今月20歳になった彼は、

「3月9日、全米大学室内選手権の60メートルで6秒54の日本タイ記録を出しました。彼は元々200メートルがメインの選手で、スタートダッシュを苦手としていた。それがスタートで決まる60メートルで好記録を出したのだから、弱点を克服したといえます。昨季はケガで振るいませんでしたが、今季は桐生に続いて日本人2人目の9秒台を達成する可能性も大いにあります」(同)

 サニブラウンの100メートル自己ベストは、一昨年に記録した10秒05。世界陸上へ弾みがついた格好で、おのずと桐生への脅威となるわけだが、このデスクは、

「従来、五輪や世界陸上の代表は、選考会を兼ねるその年の日本選手権の“一発勝負”で選ばれていました。ところが昨年12月に日本陸連が発表した選考要項で、3枠ある世界陸上の代表選びが大きく変わったのです」

 それによれば、日本選手権の成績ですぐに世界陸上内定となるのは1位の選手のみ。残る2枠は、国際陸連がこの2月から運用を始めた「世界ランキング制度」の上位者から選ばれることになったという。

「現在、日本人選手の最高位は山縣亮太の18位。2番手が桐生の27位で、ケンブリッジ飛鳥が48位で続く。サニブラウンは昨季の故障もあり、100位内にランクインしていません」(同)


■考えすぎてしまうと


 一昨年9月に9秒98の日本記録を打ち立てた桐生は、大舞台での弱さが指摘されてきた。現に、一昨年の日本選手権は4位に終わって世界陸上ロンドン大会に進めず、また昨年もアジア大会の2枠に入れなかった。

「今回の要項に則れば、桐生は現在、代表圏内。日本選手権で上位に入れば高いポイントが得られるとはいえ、直ちに後進にランキングで追い抜かれるとは考えにくい。関係者からは『これではまるで“桐生ルール”じゃないか』といった声も上がっているのです」(同)

 すでに来年の東京五輪の代表選考でも、ランキングが用いられることが決まっている。日本陸連に聞くと、

「様々な意見があるのは常ですが、具体的に誰かを選ぶための選考要項など、存在しません」

 元100メートル日本記録保持者の不破弘樹氏が言う。

「桐生君は試合で『いかに相手に勝ちにいくか』と考えすぎてしまう。それでは苦手な箇所にばかり意識がいき、得意の部分もうまく生かせません。シャープな走りをする彼のポテンシャルを考えれば世界陸上への出場も期待できますが……。今回の陸連の要項変更は、結果的に彼には『追い風』と言えるかもしれませんね」

“チキンレース”が始まる。

「週刊新潮」2019年3月28日号 掲載

関連記事(外部サイト)