サニブラウン「日本人プレミア」で10億円稼ぐ? 人種で変わるスポーツ選手の「値段」

 この6月、100メートルを9秒97で走り抜け、日本記録を更新したサニブラウン・アブデル・ハキーム(20)。フロリダ大学から凱旋して臨んだ日本陸上選手権でも圧巻の走りを見せ、商品価値を一変させた恰好だ。

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 彼は1999年3月6日、福岡県北九州市生まれ。父はガーナ人のラティフさん、母は日本人の明子さんで、小学3年生から陸上を始めた。東京の城西大附属高時代の2015年7月、世界ユース選手権で100、200メートルの2冠を達成。200メートルではウサイン・ボルトの持つ大会記録を更新した。

 そして現在は、女優のフェイ・ダナウェイ(78)、スポーツ選手なら綺羅星のごときNBA選手などが輩出した米名門フロリダ大に進学している。ちなみに、スポーツドリンクの「ゲータレード」はフロリダ大教授のケード博士が同大のフットボールチームのために開発したものだ。

 海外の事情に明るいライターによると、

「この留学は母の明子さんが強く望んだと言われていますが、その陰にはアメリカ在住のスポーツライターの影響がありました。二人は色んな相談をするうちに意気投合し、今ではそのライターが彼の取材を取り仕切るようにもなりました。一応、窓口は大学になるんですけれどね」

 当のスポーツライター本人はこれを否定して、

「2017年世界陸上の後に、フロリダ大学からサニブラウン選手の取材に関して同大学が管理すること、広報担当者の名前、連絡先などが日系メディアに送付されています。また家族取材はNG、ハキーム選手について取材を希望する場合はフロリダ大学の広報に直接連絡してください、というメールが5月中旬にフロリダ大学の広報から日系メディアにメールされておりますとおりフロリダ大学広報が全て取り仕切っており、私がそういった活動に関与したり、私のさじ加減ひとつで取材を受けるかどうかを決めているという事実は一切ありません。どの社が取材依頼をしていて、どの社が断られているかなど、私は一切関与していませんし、このような噂に大変迷惑しています」

 とはいえ、サニブラウンについて過去になされた取材はそう多くない。長期間密着できたNHKなど五指に足りず、袖にされ続けるメディアからは怨嗟の声もあがるが、それはともかく、

「アメリカで大学生はスポンサーを募る活動がほぼできないんです。フロリダ大も所属する全米大学体育協会はお金に厳しくてね。代わりと言ってはなんですが、大学毎にメーカーと契約して設備・物品・用具類などを提供してもらう。フロリダ大はナイキで、サニブラウンは全身ナイキを着ている。米国ナイキやフロリダ大のCMに彼は出演しています。在学中ずっとナイキとの付き合いがあるから、卒業後も“サポートしてくれたナイキを大事にしよう”という空気になる。そもそも、陸上関連はナイキが圧倒的に強いですから、卒業したらナイキとスポンサー、つまりプロ契約を結んで……という流れになると思います」(先のライター)

 その点、彼の性格は奏功しそうだという。

「サニブラウンってホントは明るくてすごくお喋りなんです。記者のウケも良いですからスポンサー対応も抜かりなくやるでしょう。お調子ものと言ってもいいかな」(同)

 今回の200メートル決勝のあと、サニブラウンの囲み取材が終わり、別の囲み場所へ行くまで少し移動が入った。そのときに、走り幅跳びで優勝した橋岡優輝が囲み取材中なのを見つけると、

「そこに割って入って、彼の肩を抱いて“いえーい”というように振る舞った。彼とサニブラウンは同じ年齢なんですよ。ある意味では囲みの邪魔になってしまうので、日本の選手はやらないですよね。アメリカに行って更に陽気になったイメージです。両耳に黒いおしゃれピアスも光っていましたし。日本の陸上って、『高校球児の丸坊主』じゃないですけど、堅苦しさが抜け切らないところがあるんですが、それとサニブラウンは真逆ですね」(同)


■活躍次第で10億円は下らない


 そんなサービス精神のお蔭もあって、一体どれくらい稼ぎそうなのか? さるスポーツジャーナリストは、

「う〜ん。サニブラウンはボルトの世界記録を抜くと言っていますから、ボルトがプーマなどから受け取った30億円強というのが一つの基準となる数字ですね」

 と見立てを語る。

 ちなみに米フォーブス誌が発表した、17年6月から18年5月までの1年間に「最も稼いだスポーツ選手」の1位はボクシングのメイウェザーで約313億円。2位はサッカーのメッシで約122億円。日本人最高は35位の錦織圭(テニス)で約38億円だった。

「不思議なのは人種の違いでその額が変わることもある点でしょう。陸上では白人で世界のトップクラスはほぼ皆無なので、黒人よりも高くなる傾向にあります。例えば、男子マラソンのリオ五輪金メダリストで世界記録保持者のエリウド・キプチョゲ(ケニア・黒人)の推定年収は5千万円。一方で、リオ五輪銅メダルのゲーレン・ラップ(アメリカ・白人)の場合は7500万円といった具合です。日本人ではそのレベルでトップクラスは大坂なおみくらいだから、サニブラウンもプレミアがついて活躍次第では10億円は下らないと見ています」(同)

 この金額を100メートルの元日本記録保持者の不破弘樹氏に振ってみると、

「1987年の東京国際ナイター陸上って5万6千人も観客がいたんですよ。そこで僕は日本記録まで出したんですがね。報酬は日当2千円に加え、八王子の自宅と代々木の国立競技場までの交通費だけだったんですよ。5千円にも満たない額でした」

 と、隔世の感を禁じ得ない様子。

 差し当たって、世界の富を握る企業は「多様性があって排他的ではない」ことをアピールするのが至上命令。それを体現する存在として、サニブラウンは打ってつけなのかもしれない。

「週刊新潮」2019年7月11日号 掲載

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