「紳士協定を破った」壮絶クラッシュのボッタスとラッセル、謝罪文で遺恨は収束か。メルセデス代表から厳しい言葉も

「紳士協定を破った」壮絶クラッシュのボッタスとラッセル、謝罪文で遺恨は収束か。メルセデス代表から厳しい言葉も

ラッセルとのクラッシュでボッタス(写真)のマシンはほぼ全損。王者メルセデスは、この苦境にいかに対応するのか。(C)Getty Images

F1第2戦のエミリア・ロマーニャ・グランプリはレッドブルのマックス・フェルスタッペンの初優勝で幕を閉じたが、決勝レースは雨や赤旗中断などによって複雑な展開となり、これが多くの見せ場を作り出すこととなった。

 また、真剣にレースに取り組む中で、ドライバーたちはライバル心を剥き出しにし、時に怒りを露にもした。GP2日目のフリー走行3回目では、アルファタウリの角田裕毅がセルジオ・ペレス(レッドブル)にブロックされたことで、無線を通じてスラングをまじえた罵声を発したことが話題になったが、特にふたりの間に何かが起こることはなかった。

 また予選後のパルクフェルメでのインタビューでは、先に終えたフェルスタッペンとルイス・ハミルトンがすれ違う際に接触。後者が上げた肘に前者がぶつかる格好だったが、無反応で通り過ぎるフェルスタッペンに対し、ハミルトンが振り返って一瞥をくれる場面は国際映像にも流れ、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』が「これは挑発か、あるいは偶然か?」と報じたものだった。
  しかし、最も注目を集めたのは決勝レースの30周目、タンブレロ前で接触して派手なクラッシュ劇を演じたメルセデスのヴァルテリ・ボッタスとウィリアムズのジョージ・ラッセルの、一連のやりとりだ。

 ラッセルが前方のボッタスに近づき、オーバーテイクを仕掛けようとすると、彼曰く「ボッタスが車を横に動かした」ことで、これを避けようと濡れた路面に乗った結果、コントロールを失ってボッタスの車に激しくぶつかり、多くのパーツをまき散らして赤旗中断を招くこととなった。

 直後、ラッセルは車を降りるとすぐに、まだコクピット内にいたボッタスの元に駆け寄って彼のヘルメットを叩きながら怒りをぶつけ、逆にボッタスは中指を立てて応戦。その前にも、無線で互いに相手を非難していたことが明らかとなっている。

 ラッセルはレース後も、インタビューでボッタスを「追い抜きの際の紳士協定を破った」として激しく非難した他、自身が来季のメルセデスのシートを争うライバルだから、ボッタスがあのような仕打ちをしたとも指摘。一方のボッタスは、意図的に危険な走行をしたことを完全否定、ラッセルに対しては「あれは明らかに彼の過失であり、彼が何を怒っているのか理解できない」と反論した。
  この争いには、メルセデスのトト・ウルフ代表も参戦。ラッセルに対して「路面が乾きつつある状況で、あのような仕掛けをするべきではなかった」と主張。彼がメルセデスの育成ドライバーであることが、余計に不満や怒りを増長させたようで、「リスクがある状況で、ましてや前にいたのはメルセデスのマシンだ。育成ドライバーなら、広い視点を持っていなければならない。彼にはまだ、学ぶべきことが多くある」と厳しい言葉を投げかけた。

 この言葉が効いたのかどうかは定かでないが、ラッセルはレース翌日にSNSで「時間が経ってみると、もっとうまく対応すべきだったことが分かった。その場の勢いで感情が高ぶり、我を忘れてしまった。ヴァルテリやチーム、そして僕の行動で失望した人たちに謝りたい」と謝罪文を投稿している。

 スチュワードからもレースインシデントと判定され、これでこの件は収束したが、ラッセルとメルセデスの関係悪化を懸念する声も少なくない。これに対し、モータースポーツの専門メディア『Crash.Net』は「メルセデスがラッセルを高く評価しているだけに、今回の一件だけで彼に害が及ぶことはない。このようなアクシデントが繰り返されれば話は別だが……」と見ている。
  ウルフ代表も「ジョージは早くメルセデスのシートに座りたかったんだろう(笑)」とレース後に冗談を口にしているが、この件よりも彼を悩ませるのが、大破したマシンを修復するためのコストだと同メディアは指摘する。

 今季より予算制限が課せられているにもかかわらず、ボッタスはほぼ全損、ハミルトンもフロントウイングを破損させており、これらを元通りにした上に、なおかつシーズンを通してアップグレードを進めていかなければならない。

「最大のライバルであるレッドブルに対してアドバンテージはないとメルセデスは自覚しており、熾烈なタイトル争いのためには、マシン開発の進歩は非常に重要である」と同メディアは主張する。このイモラでの一連の出来事は、王者メルセデスの今後にいかなる影響を及ぼすのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】ボッタスのマシンはほぼ全損…イモラGPで最も話題となったラッセルとの派手なクラッシュシーン

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