カンザス大の歴代ベストメンバーは? ガードは名門のMVP、センターはシクサーズの新旧スターのツインタワー<DUNKSHOOT>

カンザス大の歴代ベストメンバーは? ガードは名門のMVP、センターはシクサーズの新旧スターのツインタワー<DUNKSHOOT>

カンザス大は今季のMVP候補エンビード(左)や、08年のファイナルMVPピアース(右)などを輩出している。(C)Getty Images

1910年に創設され、NBA(1946年)より古い歴史を持つNCAA(全米大学体育協会)。プロを目指す若手選手たちにとってNCAAでプレーすることがNBA入りの“王道ルート”であり、時代を問わず何人ものスーパースターを送り出してきた。

 では、カレッジとNBAで実績を残した選手を対象に、大学別に最強メンバーを選出した場合、どんな顔ぶれになるのか。『THE DIGEST』では、双方に精通する識者に依頼し、各大学のベストメンバーを選んでもらった。

 第5回は3度の全米制覇を誇るカンザス大編をお届け。1試合100得点をマークした伝説の巨人ウィルト・チェンバレンや、今季のMVP候補ジョエル・エンビードらを輩出したカンザスの歴代ベストメンバーとは——。
 【ポイントガード】
ジョ・ジョ・ホワイト

1946年11月16日生。191cm・86kg
カレッジ成績:84試合、平均15.4点、4.9リバウンド
NBA成績:837試合、平均17.2点、4.0リバウンド、4.9アシスト

 カンザス大出身のNBA選手で、バスケットボール殿堂入りしているのは今のところ3人。チェンバレン、1950年代の名選手だったクライド・ラブレット、そしてホワイトだ。在学中の68年にはメキシコ五輪代表に選出し、チーム2位の平均11.7点をあげて金メダルに貢献した。2年間の兵役予定があったため、69年のドラフトでは本来の実力より低い9位でボストン・セルティックスに入団した。

 平均21.3点をマークした2年目から7年連続でオールスターに出場し、74年と76年の優勝時には主力メンバーとして活躍。ポストシーズンに強く、NBA史上最高の試合と言われる76年ファイナル第5戦では60分出場して33得点をあげて勝利の立役者に。シリーズ通算でもチームトップの平均21.7点でMVPを受賞している。

 冷静沈着で、コート上では感情を表に出さないタイプ。プレースタイルも堅実で派手なところがなく、ヘッドコーチのトム・ハインソーンには「誰も気づかないうちに20点、8アシストを記録している」と形容された。
 【シューティングガード】
ポール・ピアース

1977年10月13日生。201cm・107kg
カレッジ成績:108試合、平均16.4点、6.3リバウンド、2.2アシスト
NBA成績:1343試合、平均19.7点、5.6リバウンド、3.5アシスト

 チェンバレンは別格として、カンザス大OBで2番目に偉大なNBA選手はピアースだ。大学時代もオールアメリカンに選ばれたが、98年のドラフトでは10位と予想外の低評価でセルティックスに指名される。その悔しさを力に変え、低迷中だった名門のエースとなり3年目から7年連続平均20点以上。オールスターには10回選ばれた。

 同じSG/SFのコビー・ブライアント、レブロン・ジェームスと幾度も名勝負を繰り広げ、08年はコビー率いるレイカーズとファイナルで対戦。第1戦ではヒザを負傷、車椅子でロッカールームに下がりながらも試合に戻り、気迫溢れるプレーで逆転勝利をもたらした。

 シリーズ平均では21.8点で優勝に貢献、大学の先輩ホワイトと同様ファイナルMVPの栄誉に輝いた。名選手揃いのセルティックスにあって、フリースローと3ポイントの成功数、スティールの3部門で球団記録保持者。殿堂入りの最終候補にも選ばれていて、間違いなく入選するだろう。
 【スモールフォワード】
アンドリュー・ウィギンズ

1995年2月23日生。201cm・90kg
カレッジ成績:35試合、平均17.1点、5.9リバウンド、1.5アシスト
NBA成績:520試合、平均19.5点、4.4リバウンド、2.3アシスト

 カンザス大OBのNBA選手で、一番層が薄いのがこのポジション。物足りなさはあっても、現役のウィギンズが一番納得のいく選択肢となる。父ミッチェルはファイナルに出場した経験も持つ元NBA選手、母マリタは84年ロサンゼルス五輪陸上競技の銀メダリストというサラブレッド。高校生の頃から「カナダのレブロン・ジェームス」として注目され、大学でも1年目からカンファレンス新人王、オールアメリカンに選ばれた。

 14年のドラフトにアーリーエントリーすると、クリーブランド・キャバリア-ズから1位指名されたが、すぐにミネソタ・ティンバーウルブズへトレードとなり、平均16.9点で新人王に輝く。再建中のチームのエースと目され、3年目には23.6点までアップさせた。しかしながらシュート成功率の低さや守備難など、期待に応えられたとは言い難く、19-20シーズン途中にゴールデンステイト・ウォリアーズへトレードされた。
 【パワーフォワード】
ジョエル・エンビード

1994年3月16日生。213cm・127kg
カレッジ成績:28試合、平均11.2点、8.1リバウンド、1.4アシスト
NBA成績:255試合、平均24.9点、11.3リバウンド、3.1アシスト

 本来のポジションはセンターながら、機動力があってPFとしても起用が可能とあって、チェンバレンと強力なツインタワーを形成させることにした。1年だけ在学した大学では、ビッグ12カンファレンスの最優秀守備選手賞を受賞。同級生のウィギンズとともに14年のドラフトにアーリーエントリーし、3位指名でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに入団した。

 右足の疲労骨折で最初の2年間を全休したのは大誤算で、復帰後も慎重な起用が続いているが、コートに出さえすればその存在感は抜群。デビュー以来5年連続で平均20点以上、18年からは4年連続でオールスターに出場した。

 パワーとテクニック、そしてバスケット選手を志すきっかけになったアキーム・オラジュワンを彷彿させる敏捷性を、すべて持ち合わせている。チャールズ・バークレーも「リーグで最もマッチアップが難しい選手」と認めていて、29.2点まで平均得点を伸ばした今季はMVP候補にも名が挙がっている。
 【センター】
ウィルト・チェンバレン

1936年8月21日生。216cm・124kg
カレッジ成績:48試合、平均29.9点、18.3リバウンド
NBA成績:1045試合、平均30.1点、22.9リバウンド、4.4アシスト

 こと得点能力に関してはマイケル・ジョーダンすら敵わない。チェンバレンはそれほど群を抜いた存在、文字通りバスケットボール界の巨人である。カンザス大での2年間は平均29.9点、18.3リバウンド。名将フォグ・アレンは「他の4人が女学生とガリ勉男子だったとしても、ウィルトさえいれば全国制覇できる」と豪語したが、実際には準優勝どまりだった。

 4年生になると大学を中退し、ハーレム・グローブトロッターズで1年プレーしたのち、59年にフィラデルフィア(現ゴールデンステイト)・ウォリアーズに入団。平均37.6点、27.0リバウンドの規格外の数字で新人王とMVPをダブル受賞、以後7年連続得点王。62年には1試合100得点と年間50.4点という、今後まず破られないであろう大記録を樹立した。

 65年のシクサーズに移籍後はアシストに開墾し、68年には8.6本を記録。キャリアで4度のMVPをはじめ個人としての栄誉は数限りなく手にしたが、ここ一番での勝負強さやチームプレーという点では批判も少なくなく、チームとしての優勝は2回だけだった。
 【シックスマン】
ダニー・マニング

1966年5月17日生。208cm・104kg
カレッジ成績:147試合、平均20.1点、8.1リバウンド、2.3アシスト
NBA成績:883試合、平均14.0点、5.2リバウンド、2.3アシスト

 カンザス大史上一番の人気選手とも言われ、通算147試合、2951得点、1187リバウンドはすべて学校記録。88年はAPランキングでトップ10に入っていなかったチームを、36年ぶりの全国制覇に導いた一方、ソウル五輪代表としては屈辱の銅メダルに終わった。
  大学最優秀選手に選ばれた同年に、カンザス大初のドラフト全体1位でロサンゼルス・クリッパーズに入団。59年のチェンバレンも実質的に1位だったが、当時存在した地域指名制度でのプロ入りだったため、形式上は1位指名ではない。

 93年に平均22.8点で、クリッパーズからは7年ぶりのオールスターに選ばれ、翌94年も2年連続出場。94-95シーズンにFAでフェニックス・サンズへ移籍してからは控えに回り、98年にシックスマン賞を受賞したが、アマ時代の輝かしいキャリアからすると、プロでの活躍は期待を下回った。引退後は母校カンザス大に戻り、08年の全国制覇時はアシスタントコーチを務めていた。

文●出野哲也

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!
 

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?