【八村塁2020-21シーズン総括】日本人初のプレーオフ出場。「大きな一歩」となったNBA2年目|後編<DUNKSHOOT>

【八村塁2020-21シーズン総括】日本人初のプレーオフ出場。「大きな一歩」となったNBA2年目|後編<DUNKSHOOT>

NBA2年目のシーズンを終えた八村。今季は自身初のプレーオフ出場を果たすなど、チーム・個人ともに成長を見せた。(C)Getty Images

ワシントン・ウィザーズに所属する八村塁は、6月2日(日本時間3日、日付は以下同)にNBA2年目のシーズンを戦い終えた。そこで日本の至宝の2020-21シーズンをプレーバックする。後編は3月のオールスター明けから、日本人初出場を果たしたプレーオフまでを一挙に振り返る。

 3月9日、ウィザーズのスコット・ブルックス・ヘッドコーチは、レギュラーシーズン後半戦の初戦を翌日に控え、八村をこのように評していた。

「ルイは我々のディフェンスのカギだ。状況によっては相手の1番(ポイントガード)から5番(センター)を守っている。素晴らしい身体能力に恵まれているし、ハマっていれば相手は得点するのが難しい。彼には相手チームのメンバーを知り尽くしてほしいね」

 指揮官の期待に応えるべく、八村は後半戦に入ってからもフル稼働。3月13、15日のミルウォーキー・バックスとの連戦では初戦で29得点、11リバウンド、3スティール、翌戦も22得点、7リバウンド、5アシストとマルチな活躍を見せる。以降も2桁得点を続け、30日のシャーロット・ホーネッツ戦ではキャリアハイに並ぶ30得点と暴れ回った。
  また、八村は12日のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ戦でNBA通算1000得点を達成。アジア出身選手としてヤオ・ミン(元ヒューストン・ロケッツ/通算9247得点)、イー・ジャンリャン(元ニュージャージー・ネッツほか/通算2148得点)に次ぐ3人目の快挙を成し遂げた。

 21日のブルックリン・ネッツ戦では通算82試合目の出場を果たす。昨季は鼠径部の負傷による約1か月半の戦線離脱に加え、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためシーズンが中断されたため、2年目の半ばにしてようやく本来のレギュラーシーズンの数字に到達した。「2、3回くらいシーズンをやっているように感じる」と話した八村は、「僕としてはオールラウンダー、ディフェンスでもオフェンスでも、リバウンドでも、なんでも活躍できるような選手になりたい」と自身の追い求める選手像を明かしていた。
  ところが、肝心のチームは後半戦を5連敗スタート。3月18日にはリーグ首位のユタ・ジャズ相手に大金星を手にしたものの、その後も3連敗を喫し、2連勝を挟んで4連敗と、4月5日時点で17勝32敗(勝率34.7%)まで落ち込んでしまう。

 それでも、今季のウィザーズはここから見事な巻き返しを見せる。4月7日からの23試合で8連勝を含む17勝6敗(勝率73.9%)と白星を量産し、イースタン・カンファレンス8位の34勝38敗(勝率47.2%)でレギュラーシーズンを終えた。

「俺は今が大事な時だということを皆に分かってほしかった。俺たちは苦しんでいたし、自分たちに対して皆が疑っていた。だからここからプレーオフへ出場するため、拳を突き上げたのさ」

 快進撃の立役者となったのは、トリプルダブルを連発する超人的な活躍を披露したラッセル・ウエストブルック。コート内外でリーダーシップを発揮した元MVPに率いられ、ウィザーズはボストン・セルティックスとのプレーイン・トーナメント初戦こそ落とすも、第8シードをかけたインディアナ・ペイサーズとの大一番を142−115で制し、3年ぶりのプレーオフ進出を決めた。
  八村も最後は10試合連続2桁得点でシーズンをフィニッシュ。4月は右肩や左ヒザを痛めて計6試合、5月上旬にも体調不良のため2試合を欠場したことで、トロント・ラプターズで本契約を勝ち取った渡邊雄太との日本人対決は来季にお預けとなったものの、5月は平均17.0点を記録するなど第3の得点源として気を吐いた。

 セルティックスとのプレーイン・トーナメント初戦ではファウルトラブルに陥り、今季最少の16分37秒のプレータイムで8得点、2リバウンドに終わるも、「ルイは間違いなくバウンスバック(挽回)するさ」という指揮官の期待通り、ペイサーズとの翌戦では18得点をあげて勝利に貢献。キャリア2年目で初めてプレーオフの舞台に立つことになった。
  プレーオフ1回戦、ウィザーズはイースト首位のシクサーズに対し、初戦で7点差の奮闘を見せるも勝利を掴めず、第2、3戦も落として3連敗。ホームの第4戦で意地の勝利をあげたが、1勝4敗で力負けを喫した。

 それでも、八村は全5試合で2桁得点をマークし、特に最後の2戦ではいずれも41分以上出場して20点超えと奮闘。唯一勝利した第4戦では20得点、13リバウンドのダブルダブルに加え、残り45.0秒には勝利を手繰り寄せる値千金の3ポイントを沈め、ホームのキャピタルワン・アリーナへ駆け付けた1万665人の観客を沸かせた。ゲーム終盤で輝きを放ち、日本人としてプレーオフ初勝利を手にしたのである。

 八村は初のプレーオフでシリーズ平均14.8点、7.2リバウンド、1.0アシストにフィールドゴール成功率61.7%、3ポイント成功率60.0%と、上々の成績を残して2年目を終えた。最後の2戦について「プレーオフの時に出場時間が増えることは信頼されている証だと思います。いい経験になりましたし、バスケ人生において大きな一歩でした」と話しており、確かな手応えを掴んだようだ。
  今夏には東京オリンピックで日本バスケットボール界を牽引するという大役が待っている。さらなる成長が期待される23歳は、「ずっと小さい頃から大きな舞台で活躍してきたので、こういうトップレベルの大きい舞台でも活躍できる選手になっていきたいなと思います」と、今後に向けての野望を語った。

 NBAは新陳代謝が激しく、今年プレーオフに進出したチームが来年も出場できる保障はどこにもない。また、毎年のように大学や海外から魅力的な才能が入ってくるだけに、今後も生き残りをかけた競争が止まることはない。

 そうした厳しい環境のなかで、八村には自身が見据えるゴールを見失わずに、高いモチベーションを維持し、ひたむきに成長する姿を期待したい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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