渋野日向子が3か月の海外遠征で得たモノ。久々の復帰を果たす国内ツアーでの課題は何か?

渋野日向子が3か月の海外遠征で得たモノ。久々の復帰を果たす国内ツアーでの課題は何か?

3月以来の国内ツアーへ復帰する渋野。初日は小祝、稲見と同組になった。(C)Getty Images

3か月という長期の海外遠征から帰国し、国内復帰戦へ向けて調整を進めている渋野日向子。今週は国内ツアー『サマンサタバサグローバルカップ』に出場予定だが、その前に彼女の海外遠征を振り返ってみたい。

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 結果的には7試合に出場して5試合で予選通過(1試合は予選カットなし)、2試合で予選落ちを喫し、『ピュアシルク選手権』の31位タイが最高位だった。単純に比較はできないが、昨夏の海外遠征では6試合中3試合に予選通過し、最高位が24位タイだった点をふまえると、あまり差がないようにも感じる。

 昨年は『AIG女子オープン』以外は初めてのコースばかり。芝やグリーンに戸惑う場面も少なくはなかった。今回も初めて経験するハワイや東南アジアの試合が含まれていたものの、米国の芝やコースセッティングはある程度理解していただけに、もう少し上の結果が欲しかったのではないだろうか。とくにメジャー大会である『ANAインスピレーション』と『全米女子オープン』での予選落ちは、渋野自身も少なからずショックを受けたと思われる。
  それでもこの遠征で収穫がなかったわけではない。

 昨年から米ツアーではフェアウェイをキープすることが大切と語っていた渋野だが、7試合のフェアウェイキープ率は79.2%と数字的にも悪くなかった。ツアーメンバーとは試合数が異なるので参考程度になるが、順位としては14位に相当するのだ。

 また、平均パット数は29.43で20位に相当する。ポアナと呼ばれるグリーン上の雑草に苦しめられたり、微妙な傾斜を読み切れないと言いながらも、こちらもまずまずの数字ではないだろうか。

 ところが、パーオン率とドライビングディスタンスには課題が残った。パーオン率は69.0%で順位的には87位に相当し、ドライビングディスタンスは250.14ヤードで120位に相当する。グリーンを狙う距離が長く残った分、乗せることが難しくなったのだろう。

 見方によっては、フェアウェイキープ率が高かったのも、飛距離を抑えたことで方向性が上がったとも見れる。実際、全米女子オープンの2日目はフェアウェイを一度しか外さなかったが、ドライビングディスタンスは233ヤードでパーオン率は66.7%だった。上位にいくためには、精度を落とさずに飛距離を伸ばすことが重要になるだろう。
  ただ、一つ気になるのは長期遠征の最後に興味深い数字をマークした点だ。『KPGM全米女子プロ』の最終日、フェアウェイを外したのは1度だけで、ドライビングディスタンスは215.00ヤードだった。『全米女子オープン』2日目と同じパターンかと思われたが、なんとパーオン率は94.4%だったのだ。これは長いクラブを持ってもしっかりとグリーンをとらえた証明でもある。

 この大会前に「3か月戦って自分の縦距離を把握できるようになってきました。ショットに関しては手応えがあります」と語っていたが、ようやく自分のゴルフができるようになってきたのだろう。もう1か月、米ツアーで戦うことができていたなら、また違った結果を得られたかもしれない。

 さらに『KPGM全米女子プロ』では、大会2日目に上がり2ホールでバーディ、イーグルを奪い、ギリギリ予選通過する勝負強さを見せた。3日目にはキャディのコロナ陽性が発覚し、急きょ地元のキャディを起用したが、最終日はしっかりと英語でコミュニケーションをとり、「67」をマーク。技術だけでなく、メンタル面での成長を伺わせた。
 「今週のようなゴルフができれば、次に米国にきたときにはもっと戦えるんじゃないかと思います。よかったところ、悪かったところをしっかり復習して次に向けて頑張りたいです」と、3か月の遠征を総括した渋野。よかったところと悪かったところが明確になっただけでも、大きな収穫と言えるだろう。

 どちらにせよ、今はまだスイングを含めて自分のゴルフスタイルを構築している段階であり、目指すゴルフはまだ先にある。とりあえずは12月の米ツアー予選会突破に向けて、自分のゴルフとどう向き合っていくかが今後の課題になる。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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