【欧州ドラフト候補生チェック】ラメロ以上の強烈インパクトを残した有望株。欧州No.1プロスペクト、ロカス・ヨクバイテイス<DUNKSHOOT>

【欧州ドラフト候補生チェック】ラメロ以上の強烈インパクトを残した有望株。欧州No.1プロスペクト、ロカス・ヨクバイテイス<DUNKSHOOT>

ヨクバイティスのドラフト指名予想は2巡目。しかし秘めたる可能性は無限大だ。(C)Getty Images

7月29日(日本時間30日)に開催される、今年のNBAドラフト。過去2シーズンはギリシャ出身のヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)が、今季もセルビア人のニコラ・ヨキッチがシーズンMVPに輝いたように、ヨーロッパ出身選手の活躍が目覚ましい近年、ドラフト候補生にも将来有望な“欧州産の原石”が潜んでいる。この連載では、そんな期待のヤングタレントたちを数回にわたって紹介する。

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 フランス、スペイン、セルビアと並んで、ヨーロッパから多くの若い逸材を輩出しているリトアニア。そのなかでも、若手ポイントガードで、現在ヨーロッパNo.1のプロスペクトと評価されているのが、カウナスのジャルギリスに所属しているロカス・ヨクバイティスだ。

 ヨクバイティスは2000年11月生まれの20歳。昨年のドラフトにもエントリーしたが「あと1年ジャルギリスで経験を積みたい」と、撤回した。

 クラブの公式サイトでは身長193cmとなっているが、現時点では195cmほど。ウイングスパンは2mを超えているため、まだまだ伸びる可能性はある。父のアイバラスも国内リーグで活躍した元プロ選手で、ポジションはフォワードだった 。
  15歳で国内トップのジャルギリスに入団したヨクバイティス。セカンドチームで経験を積んでいた彼に、国内外のスカウトが注目するきっかけとなったのが、ユーロリーグのユース版で、金の卵を発見する場となっているアディダス・ネクストジェネレーション・トーナメント(ANGT)だ。

 2016−17シーズン、ジャルギリスは地域大会に優勝。フランスのINSEPチーム(CFBB)と対戦したファイナルで、ヨクバイティスはチームハイの18得点をマークして勝利に貢献した。

 INSEPはトニー・パーカー(元サンアントニオ・スパーズほか)らを輩出したフランスの国立エリートアスリート養成機関で、このときのチームには、オクラホマ・シティサンダーでルーキーイヤーから活躍しているテオ・マレドンや、ゴンザガ大で今年4月のNCAAトーナメント決勝にも出場したジョエル・アヤイらが所属。彼らを視察にきたスカウトたちにとって、ヨクバイティスの活躍は嬉しい発見となった。
  さらにその後、彼の名前がアメリカのバスケ識者やファンに知れ渡るチャンスが訪れる。

 昨年のドラフトで、シャーロット・ホーネッツから3位で指名されたラメロ・ボール。彼の父親が経営するスポーツウェアブランド『Big Baller Brand』 が冠スポンサーとなって、2018年1月にリトアニアのクラブチーム間のミニトーナメントが開催された。

 トーナメント開催の目的は、同国のプロクラブ、プライナイ(当時のクラブ名はビュタウタス)と契約した息子たちのお披露目だったが、ジャルギリスのセカンドチームで出場したヨクバイティスは、ラメロ&リアンジェロのボール兄弟との対戦で、ゲームハイの31得点をマーク。試合は90−80でビュタウタスが勝ったが、ラメロは10得点、リアンジェロは19得点だったその試合で、当時から将来を期待されていたラメロとの対決を制したヨクバイティスは、アメリカのバスケファンに鮮烈な印象を残したのだった。
  彼のプレーで印象的なのは、いい感じに力が抜けていて、自然体で動いていることだ。鋭いコートビジョンを持ち、フリーな選手にパスを捌くだけでなく、オフボール時に味方にオープンスペースを作ったり、自分を瞬時にフリーにする動きも上手い。

 特別スピードが速いわけではないが、アジリティには優れ、フットワークも機敏。左利きで、柔らかい手首をしならせた滑らかなシュートフォームも特徴的だ。意外性のあるプレーも好むようで、ハマれば相手の意表を突けるが、チャンスを逃すことにもなるので、このあたりは経験を積む必要がありそうだが、こうしたプレーに彼のキャラクターが表れている。

 ファイナルといったビッグマッチでは決まって高い数字を出せる強いメンタルの持ち主で、相手からのプレッシャーに動じないのも持ち前の性格らしい。今後NBAのような大舞台に挑戦するのであれば、頼もしい素質だ。

 また、17歳当時のインタビューで、15歳でジャルギリスに入団してから成長したと感じる点を尋ねられると「2年前の自分は『とにかく自分がいいプレーをしたい』という意識でプレーしていた。でも今は、チームが勝つために自分は何ができるか、何をすべきかを考えている」と返答。そのくらいの年頃なら、将来のためにいかに自分をアピールするかを考えているものだが、早くからプロクラブで揉まれているからか、通常より早い段階でこのような成熟した考えに行きついている。
  NBAの選手では、カイリー・アービング(ブルックリン・ネッツ)のプレーをよく観ているという。そして、彼がジャルギリスに入団してから昨年まで指導を受けていたのは、同国の英雄で同じポイントガードの大先輩、サルナス・ヤシケビシャス(元インディアナ・ペイサーズほか)だ。

 ジャルギリスのユースは、ドリブル、パス、シューティングといったプレーの基本を徹底的に仕込まれることに定評がある。毎朝のトレーニングの前には、選手ごとに個人練習の時間があり、改善点についてみっちりと指導を受ける。ヨクバイティスの場合は、ドリブル強化に相当な時間を費やしたとのことで、その成果を実感しているとインタビューで話していた。
  今後については、すでに来季、バルセロナへ移籍することが口頭では成立に至っていると報じられている。バルセロナの現ヘッドコーチはヤシケビシャスで、愛弟子を手元に呼び寄せたいようだ。しかしそこへロシアのCSKAも参入してきたという報道もある。いずれにしても、ヨクバイティスは欧州では引っ張りだこの将来有望株というわけだ。

 NBAモックドラフトでは2巡目の予想。身長が低く、身体能力に傑出した点がないのもマイナス評価になっているようだが、今季シーズンMVPに輝いたヨキッチも、前述のマレドンも2巡目での指名。その後の可能性を決定するものではない。

 ヤシケビシャスのNBA挑戦はアンラッキーだった面もあったが、彼の系譜を継ぐヨクバイティスは、現代のプレースタイルにマッチしたポイントカードとして、リーグ に居場所を見つけられるような気がする。

文●小川由紀子

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