組織委員会の現状や規制は残念だが――葛藤が入り混じった開会式を英国人記者はどう見た?【東京五輪】

組織委員会の現状や規制は残念だが――葛藤が入り混じった開会式を英国人記者はどう見た?【東京五輪】

ついに幕が開けた東京五輪。そのスタートは英国でも大きな話題となっている。(C)Getty Images

ついに東京五輪の幕が開いた。その始まりを告げる開会式は、私の住むロンドンでも好評だ。人々は大会がようやく始まったことをポジティブに捉えている。

 もちろん、ここはホスト国ではない。世界中からアスリートやメディアがやってくる日本と同じ状況になく、大会に対する見方が全く異なるのは事実だ。ことコロナ禍にあって、東京に住む人々が抱く大きな不安や葛藤は私にも理解はできる。

 私の日本人の知人たちは、このオリンピックを開催するうえで、東京で起きているあらゆることを悲しんでいる。彼らは過去に開いてきた国際的なイベントと同様に素晴らしいホスト国になりたいと思っていたに違いないが、主にコロナ禍が引き起こしたあらゆる問題によってそうできないもどかしい状況にある。

 そうしたなかで開かれた開会式の様子は、英国内でも小さくない話題となった。とりわけ2012年に五輪を開いたロンドンの人々は、当時の大会で何が起きたかをいまだに覚えており、他の大会との比較をしたがる。それは今回の東京に対しても例外ではない。

 そして、現在ロンドンにはファンゾーンも存在する。これはイギリスの人々が今大会にどれだけの興味を抱いているかを示すものだろう。実際、開会式の様子を見ようと、ロンドンオリンピック公園のイベント会場へ出向いた人は少なくなかった。
  一方でメディアは、オリンピックを辞退する選手やチームに関するニュースに多くの焦点を当てている。私が読んだ全国紙『Daily Mail』は、約20ページにわたって、なぜそのような事態に陥っているかを特集していた。

 イギリスでは、そもそも今回の東京五輪が、日本で2019年に開かれたラグビーワールドカップのような素晴らしいスポーツイベントになるのではないかと考えられていた。それだけに、ネガティブな問題も目立っている組織委員会の現状や、あらゆる規制は残念でならない。

 ただ、イギリスでは、少し前まで東京五輪が無事に開催されるかも怪しまれていたのも事実だ。それを思えば、現状はポジティブではないかと私は考えている。たとえ無観客や辞退者が出ようとも、それで世界が終わるわけではない。

 無論、これはロンドン住む人間の意見でしかない。繰り返しになるが、東京の人々とは違った私見になることは許してほしい。ただ、英国の人間は、東京五輪を楽しみ、素晴らしいスポーツ体験ができることを大いに期待している。
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取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。

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