「我々の時代とは違う」ユーイングが黒星スタートのアメリカ代表に同情「世界が追いついた」<DUNKSHOOT>

「我々の時代とは違う」ユーイングが黒星スタートのアメリカ代表に同情「世界が追いついた」<DUNKSHOOT>

ユーイングは現在のアメリカ代表について「ドリームチームの存在があるから、プレーすることが難しくなっている」と語った。(C)Getty Images

7月25日に幕を開けた東京五輪バスケットボールの予選リーグで、グループAのアメリカ代表はフランス代表との初戦に76−83で敗れ、オリンピックの連勝が25でストップした。

 フランスは2019年のFIBAワールドカップの準々決勝でもアメリカを下しており、最高のスタートを切った。この試合ではエバン・フォーニエ(ボストン・セルティックス)がゲームハイの28得点、ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)が14得点、9リバウンド、ナンド・デ・コロ(フェネルバフチェ/トルコ)が13得点、5リバウンド、5アシストをマーク。

 大会前に「どこが相手だろうと恐れたりはしない」と自信を見せていたゴベアは試合後に「この勝利は大きいね」と語るも、続けて「でも自分たちが望んでいる首回りにかけるもの(メダル)を手に入れるまでは関係ない」とすぐに気持ちを切り替えていた。

 オリンピック初出場となったアメリカのデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)は「彼らがそれぞれの国を代表してプレーしている時は(NBAとは)全く違う」と普段NBAで対戦している選手たちの変化をそう評していた。
  昨日の一戦は予選ラウンドだが、アメリカとフランスの両国が決勝トーナメントまで勝ち上がれば、重要なラウンドで再び相まみえるかもしれない。

 ただ、現時点で断言できるのは、大会3連覇中のアメリカが絶対的な本命ではないということ。今大会はオーストラリアやスペイン、アルゼンチン、フランスといった強豪国が虎視眈々と金メダル獲得を狙っており、本命不在のサバイバルレースと言っていい。

 そんな中、25日(日本時間26日、日付は以下同)に『NEW YORK POST』へ公開された記事の中で、レジェンドのパトリック・ユーイング(元ニューヨーク・ニックスほか)がメールでインタビューに応じていたので紹介する。

 現在58歳の殿堂入りビッグマンは、1984年のロサンゼルス、92年のバルセロナと2度の五輪に出場経験があり、いずれも金メダルを獲得。特にプロ選手の参加が容認された92年は?ドリームチーム”の一員として平均9.5点、5.3リバウンド、1.9ブロックを残している。
  ユーイングは92年当時と現在のアメリカ代表についてこう話す。

「私はコーチの(グレッグ)ポポビッチとアメリカ代表を応援している。でも今、我々が生きている世界は、運の悪い時でもある。COVID-19(新型コロナウイルス)のプロトコルで選手を失ってしまった。それに過去のドリームチームの存在があるから、今はプレーすることが難しくなっている。現在プレーしている選手たちは皆、ドリームチームを見て育ってきたし、我々が世界を相手に支配していたのを見ている。でも今は世界が(アメリカ代表に)追いついたんだ」

「(世界には)才能溢れる選手たちがたくさんいる。NBAでもトッププレーヤーたちの何人かは世界に広がっているからね。我々がプレーしていた時代とは違うんだ」

 NBAにおける外国籍選手たちの台頭は年々進んでおり、特にビッグマンではヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス/ギリシャ)にニコラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ/セルビア)、ゴベア、ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ/カメルーン)と、リーグ屈指の実力者たちがズラリと揃っている。
  バルセロナ五輪は今から30年近くも前のこと。ドリームチームに魅了された世界各国は、当初はその華麗なプレーの数々に憧れを抱いていたものの、彼らを倒すべく本格的に育成に取り組み、現在では真っ向勝負ができるレベルまで達した。ドリームチームの影響で、バスケットボールに革命が起き、よりハイレベルな競技へと進化していったと言えるだろう。

 なお、ユーイングはドリームチームでの思い出についてこう明かしている。

「ドリームチームで過ごした日々で最高の思い出は、素晴らしい選手たちと時間を共有し、毎日ハードに練習してきたこと。それがベストだね。あの時の練習は忘れ難い出来事だった。彼らとの間に芽生えた友情と、私とラリー・バード、クリス・マリンによって生まれた関係。そういった思い出は、今後も一生忘れることはない」

 当時のチームはユーイング、バード、マリンのほか、マイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソン、カール・マローン、スコッティ・ピッペン、チャールズ・バークレー、ジョン・ストックトン、クライド・ドレクスラーら錚々たるメンバーが揃っていただけに、ユーイングがそう語るのも無理はない。

 はたして、今回のアメリカ代表は予選リーグ初戦の敗北から立て直すことができるのか。ハイレベルな競争に身を置いた彼らの巻き返しに期待したいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)
 

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