マスターズ王者の松山英樹は金メダルを取れるか?立ちはだかるライバル、自国開催のプラス要素を探る【東京五輪】

マスターズ王者の松山英樹は金メダルを取れるか?立ちはだかるライバル、自国開催のプラス要素を探る【東京五輪】

約4年ぶりの霞ケ関CCで調整を進める松山。自国開催の大舞台でゴルフ史上初のメダルを狙う。(C)Getty Images

7月29日から、いよいよ東京五輪の男子ゴルフ競技が開幕する。

 日本代表は松山英樹と星野陸也の2人。特に松山は、今年のマスターズを制しての凱旋出場となるだけに、自然と期待も高まるところだ。惜しむらくは無観客で行なわれることだが、はたしてメダル獲得の可能性がどれだけあるのだろうか。

 松山は、ことゴルフに関していえば、昔から貪欲でありストイックな性質を持つ。男子のメジャーに誰も勝ったことがないなら、自分が勝てばいいという考え方をするのだ。その意味では、東京五輪での金メダル獲得の青写真はかなり前から描いていたと思われる。

 もちろん、そのためには努力を惜しまない。アマチュア時代から単調な練習でも黙々と長時間にわたって繰り返してきたし、今年からツアーに専属コーチを帯同するようにもなった。
  マスターズ優勝後はほかのメジャーに照準を絞りつつ、五輪にピークがくるように調整していたはずだが、ここで思わぬアクシデントに見舞われた。7月第1週に開催された『ロケットモーゲージクラシック』に出場した際、体調不良に陥り、PCR検査で新型コロナの陽性判定が出たのだ。

 すぐに大会を棄権し、自宅で静養することに。今月の14日からようやく練習を再開したが、どこまで体調が戻っているのか気になる。仮に体力が落ちていたとしたら、炎天下で戦う五輪でベストパフォーマンスを見せることができないかもしれない。

 また、『全英オープン』も欠場したことで、実質的に6月第3週の『全米オープン』以来の実戦となる。松山クラスになればすぐにゲーム勘を取り戻すのだろうが、こればかりは初日を迎えてみなければ分からない。つまらないミスで出遅れないことを祈るばかりだ。

 ただ、松山にとってプラス要素もある。メジャーと違い、五輪は出場人数が60人と少なく、国ごとの人数制限があることだ。そのため4人出場できるのは米国のみで、22か国が2人、12か国が1人の出場となる。

 したがって、辞退者を含めると世界ランキングの上位20位以内の選手で今回出場するのは8人に過ぎない。20位の松山より上位にいる選手は7人しかいないのだ。明らかにメジャーよりも上位に入る確率はグッと高くなる。
  もちろん人数が少なくてもその顔ぶれは豪華で、先日の全英オープンで初優勝を果たした世界3位のコリン・モリカワを筆頭に、4位のジャスティン・トーマス、5位のサンダー・シャウフェレ、11位のビクトル・ホブラン、15位のロリー・マキロイとメジャーチャンプが目白押しだ。

 仮に松山を含めた6人だけで戦ったとしても3位以内に入るのは容易ではないだろう。20位以下の選手でも、シェーン・ローリーのように2019年の全英オープンを制した実力者が出場するだけに気を抜けない。それでも、マスターズでは彼らを抑えて優勝しているわけだし、ライバルが少ないことは好材料と見たい。

 さらに、松山にとって有利なのは開催コースが霞ヶ関CCであることだ。五輪開催が決まり、改造してはいるが、何度も下見に訪れているという。それこそグリーンの特徴から風向きまで徹底的にデータを取っているだろう。

 同コースは林間コースだが、比較的松山は林間コースと相性がいい。『三井住友VISA太平洋マスターズ』を開催した太平洋クラブ御殿場コースでは2勝を挙げ、狭山GCで開催した16年の『日本オープン』も制している。さらに、米ツアーとして習志野CCで19年に開催した『ZOZOチャンピオンシップ』でも2位に入っている。
  新型コロナの陽性判定を受けたことに関しても、いい休養になったと考えればいい。『全英オープン』を欠場せざるを得なかったのは残念だが、その分移動の負担も軽くはなったはず。

 メダル獲得は松山がどのようなコンディションで五輪を迎えるか次第だが、体調さえ戻っていれば、オーガスタで見せた豪快なドライバーショットと正確なアイアンショットを拝めるはず。メダル獲得どころか、金メダルの可能性も十分あるのではないか。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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