アメリカで東京オリンピックはどう報道されているのか?トップニュースはMLBやNFLだがバスケ代表次第では盛り上がる余地も【東京五輪】

アメリカで東京オリンピックはどう報道されているのか?トップニュースはMLBやNFLだがバスケ代表次第では盛り上がる余地も【東京五輪】

スーパースターのデュラント擁する男子バスケ代表が快進撃を続ければ、アメリカ国内のオリンピックへの関心も高まるかもしれない。(C)Getty Images

「オリンピックの野球って今やっているんだっけ?」

 日本時間7月28日、日本対ドミニカ共和国による東京五輪・野球の開幕戦前、メッツの本拠地シティ・フィールドで記者仲間にゲームの展望を聞くと、例外なくそんな答えが返って来た。アメリカ、ドミニカのどちらのメディアも反応はほぼ同じ。もちろん、球場にいた全員と話したわけではないが、日常的に顔を合わせる記者同士の会話で五輪が話題に上ることはほとんどないのが現実だ。

 野球だけではない。地上波『NBC』とその系列局で放送されている東京五輪の視聴率は、前回のリオ五輪から30%以上もダウンしているのだという。

 アメリカでは以前からテレビ全体の視聴率が低下傾向であること、NBCの動画配信で五輪を見ている人も多いことを考えれば、低数値を額面通りに"不振"と捉えていいのかは微妙なところではある。NBCユニバーサル最高経営責任者が、テレビ視聴率が期待外れであることを認めた上で、動画配信で利益を上げられると語ったという報道もある。

 ただ前述通り、筆者がアメリカの野球、バスケットボールの関係者と話す限り、国内イベントと比べて五輪への関心が極めて低く感じられるのは事実だ。アメリカ最大のスポーツ専門局『ESPN』の看板ニュース番組『スポーツセンター』を見ても、トップニュースはMLBの試合速報やトレード期限情報、NFLのオフ情報、NBAドラフト展望など。28日夜の放送を注目して見てみたが、やはり国内スポーツの報道が多く、五輪関連のニュースは開始から15分以上も待たなければならなかった。
  体操女子の絶対女王シモーン・バイルズがメンタルヘルスの問題で途中棄権したことはスポーツの枠を超えて大きな話題となっているが、これは東京オリンピックそのものへの関心とは言えない。

 アメリカでは、日本と比べてスポーツの国際大会への情熱が薄いのはこれまでもさまざまな形で伝えられてきた通りだ。MLBの優勝決定戦を「ワールドシリーズ」と呼び、NFLのスーパーボウルを「地上最高のスポーツイベント」と称することが象徴するように、何よりも国内リーグが最優先である。

 特に今回の五輪は時差13時間の日本で開催されていることもあって、自分たちに関連のあるイベントとして捉えるのは容易ではないのだろう。陸上、水泳など、五輪の人気競技の関係者やファンは東京五輪に一喜一憂しているとしても、この国のスポーツファンの根幹を担う4大スポーツ(MLB、NBA、NFL、NHL)を愛する人たちが熱心でないのだとすれば、視聴率が低調という結果は驚きではない。
  今後、アメリカ国内で五輪の話題が盛り上がるとすれば、どんな流れだろうか? オリンピック全体の話をするのは容易ではないが、4大スポーツのファンの関心が高まるとすれば、やはり野球や男子バスケの代表チームが活躍した場合か。すでに峠を越えた選手やマイナーリーガー中心の野球より、NBAのスターが数多く名を連ねたバスケットボールの方がカギになるかもしれない。

 男子バスケのアメリカ代表チームはグループリーグの初戦でフランス代表に敗れ、アテネ五輪以来続いていたオリンピックでの連勝が25でストップした。寄せ集めの印象も強いチームの評価はここでガタ落ち。ただ、ここから巻き返せばストーリーとしては面白くなる。ケビン・デュラント、デイミアン・リラードといった大物を軸としたロースターが、試合を重ねるごとに徐々にケミストリーを奏で、苦しみながらも金メダルへの道をひた走れば……。
 
 それほどの関心を持たずにチャンネルを合わせても、4年に1度の大舞台にかける選手たちの意気込みと技量にいつしか惹きつけられてしまうのがオリンピックの魅力。今回も盛り上がりの余地は確実にあるはずだ。大会も中盤に差し掛かり、海の向こうで行われている五輪にアメリカのファンが少しずつでも熱くなっていくかどうかに注目しておきたいところだ。

文●杉浦大介

【著者プロフィール】
すぎうら・だいすけ/ニューヨーク在住のスポーツライター。MLB、NBA、ボクシングを中心に取材・執筆活動を行う。著書に『イチローがいた幸せ』(悟空出版 )など。ツイッターIDは@daisukesugiura。

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