「一種の勝利」だが「多額の請求書」も…困難に見舞われた東京2020を英紙が総括「長く議論の的になるだろう」

「一種の勝利」だが「多額の請求書」も…困難に見舞われた東京2020を英紙が総括「長く議論の的になるだろう」

数々の困難に見舞われながらも、全日程を終えた東京2020には、様々な議論があるようだ。(C)Getty Images

13日間の熱い戦いが展開された東京パラリンピックが9月6日に閉幕。東京オリンピックと併せて、コロナ禍で1年間の延長、さらには無観客を余儀なくされるなど、数々の困難に見舞われながらも、全日程を終えることに成功した。

 良い意味でも悪い意味でも、間違いなく歴史に残り、長く語り継がれることになるであろう今大会について、海外メディアも様々な評価を下しているが、英国の日刊紙『The Guardian』は「このレガシーは今後何年にもわたって議論の的となる可能性がある」と報じている。

 昨年3月に麻生太郎・副総理が「呪われた五輪」と呼んだ今大会について、コロナの世界的流行の中、そして日本の猛暑において、死者を出さずに2つの巨大な国際イベントを連続して開催したことは「一種の勝利」と見なすことができると評価。対して、1年延期された上に観客なしで行なわれた競技は、「多額の請求書を日本に残した」とも指摘。さらに、開催によってコロナの感染者の増加に拍車をかけた可能性も示唆した。

 一方、五輪の後に開催されたパラリンピックに対しては、日本国内の「無関心」が感じられたという。五輪開幕前の、この大会に対する国内の悪感情は非常に強いものだったが、実際に世界中からアスリートが集まるとそれは徐々に弱まり、日本勢の記録的なメダルラッシュが、それに拍車をかけた。そして、パラリンピック開幕前には、五輪開幕前と比べて3倍のペースで感染者が増加していたにもかかわらず、「何があっても受け入れる」という雰囲気に変わっていたと同メディアは見ている。
  しかし、パラリンピック開催中の「落ち着いた雰囲気」は、2019年に日本中を魅了したラグビーワールドカップでの“カーニバル”のような人々の姿勢とは、真逆のものだったとして、これが「無関心」と捉えられたようだ。

 また同メディアは、五輪・パラリンピックの開催に反対し、今回も活動を続けてきた「反五輪の会」のいちむらみさこ氏の「パラリンピックは全ての障害者が参加できるものではなく、それが新たな差別を生む」「強い人が勝ち、弱い人が負けることが、障害に対する見方と矛盾する」「障害者スポーツのための祭典ではなく、金によって動機づけられている」といった言葉を紹介。この2つの大会が、「富裕層に経済的利益をもたらすイベント」だとして、改めて開催の意義を問う必要があるとしている。

 緊急事態宣言下であっても、ビッグイベントを開催することが国民のメンタル面に影響を与え、その行動を緩くしてしまう効果があったことを専門家のコメントをまじえて指摘した同メディアは、この2つの大会を終えた日本には2.4兆円もの損失が残ると綴り、その意味では、麻生副総理の語った「五輪は40年ごとに問題が起こる」という説が正しかったと綴っている。

 そしてもうひとつ、夏・冬の五輪の開催年には総理大臣がその座を降りることになるという「ジンクス」が存在したが、池田勇人氏(1964年)、佐藤栄作氏(1972年)、橋本龍太郎氏(1998年)、安倍晋三氏(2020年※本来の東京五輪開催年)に続いて、菅義偉総理もこの系譜に加わったことも紹介された。

 アイルランドの日刊紙『THE IRISH TIMES』は大会中の記事で、「今回のパラリンピックでは、様々な面で選手たちは五輪の選手たちと同等の扱いを受けられており、これは初めてことである」と評価したように、この2つのイベントが今夏で“進化”を示したのは事実だろう。その一方で、前述のような多くの論点も残された。「今後も議論の的となる」東京五輪・パラリンピックは、歴史の重要な転換点となる可能性もありそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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