ハミルトンとフェルスタッペンの接触リタイアへの反応は? 一部OBは「セナとプロストの関係は憎しみに」と指摘

ハミルトンとフェルスタッペンの接触リタイアへの反応は? 一部OBは「セナとプロストの関係は憎しみに」と指摘

王座を狙うフェルスタッペンがハミルトンに乗り上げた。結果としてともにリタイヤを余儀なくされた。(C)Getty Images

9月12日に行なわれたF1第14戦イタリア・グランプリ決勝の26周目、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)とルイス・ハミルトン(メルセデス)が競り合った状態で第1シケインに飛び込み接触。前者の車が後者に乗り上げる形となり、激しくワールドチャンピオンの座を争う両者がリタイアとなった。

 レッドブルのマシンの左後輪があわやハミルトンの頭上に落ちそうになるところを、「Halo(頭部保護装置)」が防いだ衝撃の場面について、イタリアの日刊紙『Il Messaggero』は「導入時に多くのドライバーが反対したこの装置がなければ、タンブレロで右前輪がアイルトン・セナの頭部をヒットした(1994年の)イモラの時のように、F1界は今頃喪に服していたかもしれない。ハミルトンはHaloに感謝しなければならない」と分析。ハミルトンも「幸運だった。Haloが僕を救ってくれた」と語っている。

 また、ピットアウト直後のこの接触を受けて彼は、「ターン1でもターン2の出口でも僕の方が前にいた」「ターン1に飛び込む前にはアウトにスペースを残した」と自分に非がないと強調。そのうえで、「マックスは何が起こるか分かっていながら、引かなかった」とライバルを非難。

 一方のフェルスタッペンは、「ルイスに寄せられて行き場がなかった」と訴え、後にFIAから科せられた次戦ロシアGPでの3グリッド降格ペナルティーについても「あれはレースインシデント」と不満を示した。
  レーススチュワードは、シケイン突入の際に「ハミルトンに対してフェルスタッペンは一瞬たりとも並んだことはなかった」と見解。また1周目でも両者が接触してハミルトンがコースアウトさせられたこともあって、上記の判定に至ったと説明しているが、レッドブル側はドライバーの意見に同調してクリスチャン・ホーナー代表が「インシデント」と主張し、一方のメルセデスはトト・ウルフ代表が「タクティカル(戦術的)ファウル」という言葉で、フェルスタッペンの行為が“故意”であったと仄めかした。

 イギリス・グランプリに続いて論争を巻き起こすことになった両者の接触に対して、他のドライバーたちも言及。フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は「シルバーストンとは違って30〜40kmのスピードなので危険はなかったと思う。ルイス、マックスともにやるべきことをやったということで、僕から見ればレースインシデントだった。他のドライバー同士にも同じ状況があったが、違いは接触したか否かだ」と語った。

 フェラーリのシャルル・ルクレールも「王座のために絶対に勝ちたいと思っている2人のドライバーがいれば、こういう際どい戦いとなり、過去と同じことが起こるのは理解できる。僕が同じ立場にいたとしても、同じことになるだろう」と分析。そしてチームメイトのカルロス・サインツはこう説いた。

「避けられたアクシデントではある。タイトルを争う2人のドライバーが頻繁に衝突することは、F1では自然なことでもある。この件は次のドライバーズミーティングで話し合われるだろう」
  ドライバーOBにもこの件については意見が求められており、ミカ・ハッキネンは「セナやミハエル・シューマッハーも、多くの物議を醸すクラッシュに巻き込まれたが、個人的な意見としては、他車との接触は避けてチャンピオンシップでの勝利に集中するのが最善だと思う」と懸念を示した。

「世界王者になるには、優勝回数もさることながら、2位、3位という結果がしばしば重要になる(直近の)5レースで2度も重大な事故を起こすとは、今後が非常に心配だ」

 一方、ジャック・ヴィルヌーブは、これまでにハミルトンも過ちを犯しているとして、「フェルスタッペンは決してペナルティーを科せられるべきではなかった」と主張。今後の2人の争いについては「フェルスタッペンは常に攻撃的だが、ハミルトン相手にはさらにそれが強くなる」と続けた。

「ハミルトンはミスをしないドライバーだが、フェルスタッペン相手にはそれを犯しがちであり、フェルスタッペンはライバルの弱点を徹底的に攻撃する」

 また、この2人のライバル関係が、かつてのセナとアラン・プロストの対決が前例に出されることにも言及。レジェンドの1989年(シケイン前で接触)、1990年(1コーナー前で接触)の日本GPが、今季の2度の接触に似ているということも話題になっているが、97年の世界王者にして英雄ジルの息子は「セナ、プロストの関係は憎しみにさえ達していた。その点、ハミルトンとフェルスタッペンの場合、ただお互いに相手に勝ちたいと思っているだけだ。それゆえにまた、同じことが起こる可能性はあるが……」と見ている。
  いずれにせよ、コース上でのバトルで決着がつくことを誰もが望んでいることは事実だろう。F1テクニカルディレクターのロス・ブラウンも「1インチたりとも相手を前に行かせたくないという2人だけに、今後も最後まで互いに引かないだろう。とはいえ、チャンピオンシップの行方がタイヤバリアやスチュワードルームではなく、コース上で決定することを願っている」とコメントを発している。

 前述のイタリアの日刊紙『Il Messaggero』もクリーンな結末を望み、そのためにも「3度目の“衝突”を回避するためにも、FIAのコントロールが必要だ」と、統括機関に注文をつけているが、久々に訪れた大接戦のシーズンの最後にはどのようなドラマが待っているのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部
 

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