“ピンチの連続”から6打差完勝を飾った勝みなみ。無双状態となった要因、そして屈指の飛ばし屋に変身した理由とは?

“ピンチの連続”から6打差完勝を飾った勝みなみ。無双状態となった要因、そして屈指の飛ばし屋に変身した理由とは?

笑顔でトロフィーを掲げる勝。2位に6打差をつける圧勝劇を見せた。(C)Getty Images

5位タイに入った渋野日向子が、勝みなみだけ違うコースを回っていると思うとコメントしていたが、観戦していた誰もがそう思ったのではないか。

 開催コースの烏山城カントリークラブは名匠・井上誠一の設計による難コースで、最終日はどの選手もスコアメイクに苦労していた。そんな状況で勝は6バーディ・1ボギーの「66」を叩き出したのだ。首位発進の選手にベストスコアを出された以上、誰も追いつくことはできず、2位以下に6打の大差をつけて、勝が今大会初優勝を飾った。

 会見では「今年はメジャー大会に勝ちたいという目標を立てていたので、優勝することができて本当にうれしいです。特に『日本女子オープン』は夢の舞台ですし、いつか優勝したいと思っていました」と満面の笑みを浮かべた勝。

 これで『日本ジュニア』、『日本女子アマ』、『日本女子オープン』ローアマに続く、日本タイトル4冠目となり、史上3人目の快挙達成となった。
  結果だけを見れば楽勝に感じるが、スタート時はピンチの連続だった。

 特徴として、砲台グリーンの周囲を短くカットされていた今大会。ボールが少しでもグリーンをこぼれると、はるか下まで転がり落ち、打ち上げのアプローチが必ず残るセッティングになっていた。しかも、ピンの根元が見えないほどの打ち上げで、ラフから打つことになる。ピンの位置によっては、ボギーどころか、ダブルボギーの可能性すらあった。

 スタートの1番パー4で勝はいきなりその罠につかまる。右のラフから第2打がグリーンをとらえたものの、奥のラフにまで転がり落ちてしまったのだ。

 しかし、アプローチで寄せ切れずに約4メートルのパーパットを残したなかでも、それをきっちり沈めることに成功。思わずガッツポーズが出たほど大きな1打だった。

 さらに、2番パー4でもティショットを右に曲げた後、2打目がグリーン手前のラフにつかまる。今度はパーパットが約5メートル残ったが、またも沈めてガッツポーズを見せた。仮にどちらかがボギーだったら、違った試合展開になったかもしれなかっただろう。
  ピンチを潜り抜けたことでリラックスできたのか、3番以降は一度もフェアウェイを外すことがなかった。

 しかも、時おり見せるビッグドライブで2打目をウェッジで狙うことができたのも大きい。硬く小さいグリーンでもピンそばにピタリと止めることができたからだ。さらに、この日は26パットとパッティングも冴え渡ったことも無双状態の要因だったといえる。

 身長157センチの勝は、プロデビュー当時に飛ばし屋のイメージはなかったが、今季はドライビングディスタンス部門で2位(254.71ヤード)につけている。実に2018年よりも10ヤード、19年よりも5ヤード伸びているのだ。

 その理由は数年前から続けているトレーニングにある。飛距離アップのためではなく、1年間ケガをすることなく戦える体を作ることを目的として始めたが、結果的に飛ばしに必要な下半身も自動的に鍛えられたことで、飛距離が伸びた。
  ただ、飛距離が伸びたことでアイアンの距離感が合わなかったり、自分がやりたいスイングをできずに戸惑ったこともあった。しかし、ようやくパワーをコントロールできるようになり、イメージどおりのスイングもできるようになってきた。

 将来的には米ツアーに参戦することも目指しており、欧米選手の飛距離に負けないためにも今後はパワー系のトレーニングを週2回に増やすつもりだ。

 昨年のシーズン当初はなかなか結果を出せず、「何をしても上手くいかない感じでした。不安がすごく大きかったですね」と、プレーに集中できない時期もあったという勝。そんな状況でも自分を信じて練習やトレーニングを続けてきたことで、今年5月の『リゾートトラストレディス』では2年ぶりの優勝を飾った。

 今回の優勝で自分がやってきたことに対してさらに自信が深まったのは間違いない。今季はまだ7試合残っているが、さらに勝ち星を上乗せする可能性は十分あるだろう。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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