雨天中止→変則プレーオフで復活V! “世代代表一騎打ち”を制して涙した古江彩佳の心の葛藤とは?

雨天中止→変則プレーオフで復活V! “世代代表一騎打ち”を制して涙した古江彩佳の心の葛藤とは?

アマ時代の2019年にも同大会で優勝を飾っている古江。11か月ぶりのタイトルに表彰式では涙をこぼすシーンも。(C)Getty Images

国内女子ツアーの『富士通レディース2021』最終日は、降雨によるコースコンディション不良のため競技中止となったが、上位2人による3ホールのプレーオフが実施された。

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 ともに2日目を終えて12アンダーまでスコアを伸ばしていたのが、黄金世代の勝みなみとプラチナ世代の古江彩佳だ。前者は2週前の『日本女子オープン』で2位以下に6打差をつける圧勝劇を演じたばかり。一方の後者も20−21シーズンでは3勝を挙げ、賞金ランキング4位に入っている。

 どちらもナショナルチーム出身で、アマチュア時代にツアー優勝を飾るなど、早くから注目を浴びてきたエリートゴルファー。まさに世代を代表するもの同士の一騎打ちとなったが、勝利の女神は古江に微笑んだ。
  プレーオフの舞台は16番パー5、17番パー3、18番パー4の上がり3ホールだった。16番で確実にバーディを奪い、17、18番をパーセーブで逃げ切るというのが一般的な作戦だろう。

 しかし、勝、古江ともに16番でバーディを奪えず、17番を迎える。そして勝がピンの左約20メートルに乗せた後だった。5番ウッドで放った古江のティショットはピン手前に落ちた後、左奥2メートルに止まるのだ。

「もう少し左を狙ったんですけど、運よくバーディを狙える位置にいってくれてよかったと思います」と控えめに振り返った古江だが、その一打を目の当たりにした勝は「あの場面であそこにつけられるはすごいし、勝敗を分けたかなと思います」と素直に称えた。

 バーディパットを沈め、続く最終ホールをパーで締めた古江は、1打差で勝を振り切り、昨年11月の『大王製紙エリエールレディスオープン』以来のツアー通算5勝目を挙げた。

 表彰式のスピーチでは「今年はなかなかうまくいかなかったんですけど、こうして思い出の地で優勝することができて本当にうれしいですし、幸せ者だなあと思います」と話すうちに目から熱いものがあふれてきた。今年に入ってから勝つことができずに苦しんでいたことが頭の中を駆け巡り、それが古江の心を揺さぶったのだ。
  19年の『富士通レディース』でアマチュアとして優勝を飾り、ツアープロに転向した古江。その後も順調に結果を出し続けてきたが、いつの間にか自分に対して求めるハードルが高くなっていた。

 ゴルフにはミスがつきものだと頭の中では分かっていながら、そのミスを許せなくなっていたのだ。確かに昨年の終盤3試合を優勝、優勝、2位で終えていただけに、周囲からの期待も大きくなっていたのは事実だ。自分自身に手応えも感じていた。

 ところが、今年の開幕戦からの5試合では予選通過するものの、15位以内には一度も入れず、心の葛藤が常にあったという。

 そんな古江にとって転機となったのが、夏場の海外遠征だ。『アムンディ・エビアン選手権』では単独4位となると、『AIG女子オープン』では20位タイに。これで自分の調子は決して悪いわけではないと思えるようになった。

 さらに帰国後の隔離期間中に自分のゴルフを「思ったとおりのスイングができていないのに上手くいくはずがない」と振り返り、そこからミスをしても仕方がないという考え方に変わっていった。
  今大会でもミスをして悔しい思いをした。だが、あえて悔やまないように心がけ、その後のプレーをどうするかに集中した。それが功を奏し、ホステスプロというプレッシャーにも負けず、2日間で12アンダーのハイスコアに繋がった。

 メンタル面で成長したからこそ、最終日に突然、言い渡された3ホールのプレーオフにも動じず、雨という悪コンディションのなかでも常に気持ちを前に向け、自分を信じられた。17番のティショットだけでなく、16番のティショットから18番のパーパットを沈めるまでのすべてのプレーに自信がみなぎっていたのがその証拠だ。持ち味である強気のプレーがようやく戻ってきた。

「残り試合は少ないですが、優勝を目指して自分のプレーを楽しみながらやっていきたいと思います」と笑顔を見せた古江。ツアー5勝がすべて9月以降に挙げたものという“秋女”だが、古江の秋はもうしばらく続きそうだ。

文●山西英希

著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、2007年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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