「言葉が見つからない」トンガ噴火にラグビー界でも不安の声。姫野和樹は「恩を何倍にでもして返したい」と想いを語る

「言葉が見つからない」トンガ噴火にラグビー界でも不安の声。姫野和樹は「恩を何倍にでもして返したい」と想いを語る

「ただただ心配」と気持ちを述べた姫野は、同時にトンガへのサポートも誓った。(C)Getty Images

南太平洋のトンガ沖で発生した大規模な海底火山の噴火は、トンガ出身選手が多く活躍する日本のラグビー界にも衝撃を与えている。

 1月16日に味の素スタジアムで行なわれたリーグワンのディビジョン1第2節、東京サンゴリアス(旧サントリー/略称:東京SG)対トヨタヴェルブリッツ(旧トヨタ/略称:トヨタV)の一戦では、東京SGのFL(フランカー)テビタ・タタフ、トヨタVのFLフェツアニ・ラウタイミの2人が、動揺を胸にしまい、気丈にピッチに立った。

 この日はナンバー8として52分(後半12分)までプレーしたトヨタVのラウタイミは、試合後に記者会見に臨み、こう話してくれた。

「今日の昼過ぎにも(家族に)連絡したが、途中で(電話が)切れた。(状況が)どうなっているか分からず、心配です」

 一方、ラウタイミと入れ替わるようにして、52分から途中出場した東京SGのタタフは、チームスタッフを通じて、「まだ家族と連絡が取れていないので、何を話していいか分からない。言葉が見つからない」とコメントを残している。チームスタッフによれば、試合後すぐに彼はロッカールームで携帯電話の着信をチェックしていたという。
  タタフのチームメイトでPR(プロップ)の石原慎太郎は、試合前後の様子をこう話している。

「噴火が起きた際に、テビ(タタフの愛称)の家族と連絡が取れないとは聞いていましたが、一番は本人がそういった素振りを見せずに、試合にフォーカスしてくれたこと。ですから僕たちも、何か特別なアクションを起こしたわけではありませんが、ただ試合後には、家族の無事を祈っているとだけ伝えました」

 ヴァルアサエリ愛(埼玉ワイルドナイツ)や中島イシレリ(コベルコ神戸スティーラーズ)らが日本代表でプレーするなど、トンガと日本ラグビー界の結びつきは強く、深い。

 この日の味の素スタジアムでは、トンガ国旗を振るファンの姿も見られたが、これからラグビー界として、どんなサポートができるかを真剣に考えていくべきだし、それこそ「ファン、チーム、企業、地域とひとつになり、社会に貢献し、世界に羽ばたく人間を育てる」というリーグワンの理念のひとつにも通じるはずだ。

 日本代表や昨年在籍したニュージーランドのハイランダーズでも、多くのトンガ出身選手とプレーしたトヨタVの日本代表FL、姫野和樹は強い想いを口にしている。

「友達も多いので、ただただ心配というのが率直な気持ちです。僕たち(日本)が(東日本大震災で)被災した時は、トンガからのサポートも受けました。今回その恩を、何倍にでもして返したい」

取材・文●吉田治良(スポーツライター)

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