カフェファラオがフェブラリーSを連覇できた理由。差し・追い込みが利かない馬場の影響が顕著に

カフェファラオがフェブラリーSを連覇できた理由。差し・追い込みが利かない馬場の影響が顕著に

連覇を達成したカフェファラオは、海外遠征も視野に入れているという。写真:産経新聞社

2022年、JRA・GⅠの口火を切るフェブラリーステークス(東京・ダート1600m)が2月21日に行なわれ、単勝3番人気に推された前年の覇者カフェファラオ(牡5歳/美浦・堀宣行厩舎)が優勝。2014・2015年のコパノリッキー以来となる、レース史上2頭目の連覇を達成した。

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 2着には5番人気のテイエムサウスダン(牡5歳/栗東・飯田雄三厩舎)が逃げ粘り、3着にも4番人気、”白毛のアイドル”ことソダシ(牝4歳/栗東・須貝尚介厩舎)が粘り込んだ。

 一方、1番人気に推されたレッドルゼル(牡6歳/栗東・安田隆行厩舎)は直線で伸びを欠いて6着に敗れた。

 前日の午後から翌朝まで降った雨のため(当日も何度か小雨が降った)、馬場が「重」となったことが結果に大きな影響を及ぼすことになった。

 馬場は同条件で行なわれた当日の第9レース、3歳限定戦のヒヤシンスステークス(L)でも1分35秒3(上がり3ハロン35秒4)と、極めて速い時計が出るコンディション。加えて、同レースでも5着までを逃げ・先行馬ばかりが占めたように、差し・追い込みが利かないというバイアスも非常に強かった。つまり、前のポジションが取れる、スピードに勝った馬しか勝負にならない馬場だったのだ。
  スタートからテイエムサウスダンが積極的に先手を取り、2番手にはソダシが続く。カフェファラオは3~4番手の外目、前の馬のキックバック(蹴り上げた砂)を被らない、絶好の位置をうまくキープ。3番人気のアルクトス(牡7歳/美浦・栗田徹厩舎)は5番手を進み、レッドルゼルは距離延長を考慮してか中団の7~8番手に控えた。

 1000mの通過ラップは59秒2。良馬場なら速いと感じる時計だろうが、重馬場になったこの日のコンディションのもとではミドルペースと言えるラップタイム。馬群は淡々と流れて、各馬、スピードを上げながら直線へ向いた。

 逃げるテイエムサウスダンが早めに仕掛けて後続を突き放しにかかり、一時は2~3馬身の差をつける。そこへ満を持して襲い掛かったのがカフェファラオ。ぐいぐいと脚を伸ばしてテイエムサウスダンを交わすと一気に突き放し、堂々と先頭に躍り出る。そしてゴールでは2着のテイエムサウスダンに2馬身半もの差を付けて圧勝。走破タイムは東京・ダート1600のタイレコードとなる1分33秒8で、上がり3ハロンも34秒3という驚異的な数字を叩き出していた。
  二度目のダート挑戦となったソダシはスピードを活かし、最後までしぶとく粘って3着に好走。それとは逆に、レッドルゼルとアルクトスは、差しが利かない馬場のバイアスのせいもあったのだろう。ともに前との差を詰めきれず、それぞれ6、7着に敗れた。

 カフェファラオは、父に米クラシック三冠とブリーダーズカップ・クラシックを制した名馬アメリカンファラオ(American Pharoah)を持つアメリカ産馬。アメリカンファラオは種付料が約2000万円というトップクラスの人気種牡馬である。

 カフェファラオは昨年の本レースを制して以降、かしわ記念(JpnⅠ、船橋・ダート1600m)が5着、函館記念(GⅢ、函館・芝2000m)が9着、チャンピオンズカップ(GⅠ、中京・ダート1800m)が11着と不振をかこっていたが、ここまで3戦3勝と完璧な成績を残していた得意の東京コースに戻って、見事に連覇を果たした。ちなみに昨年もチャンピオンズカップの6着から巻き返しての戴冠を果たしており、よほど東京コースの水が合うのだろうし、また、メンタルに繊細なところがある本馬をビッグレースに向けて修正する堀調教師の手腕も見事のひと言である。
  手綱をとった福永祐一騎手は、昨年12月の香港遠征で落馬負傷(鎖骨々折)して休養。2月5日に戦線へ復帰したが、今回のカフェファラオへの騎乗オファーは怪我のリハビリ中に受けていたという。それを意気に感じてレースに臨んだという。

「レース前に位置取り、コース取りも先生(堀調教師)と綿密に相談しました。レースはイメージしたような、砂を被らない3番手の位置が取れて、いい形で進められたので、あとは抜け出して自分が遊ばれないように気を付けるだけでした」

 そう語り、手綱を託してくれた関係者の期待に応えた喜びを語った。

 オーナーサイドは今後、海外遠征も視野に入れているという。父の血に加え、タフさだけではなくスピードも要求される米国のダートに合うのではないかと思うのは筆者だけではないだろう。叶うなら、ブリーダーズカップ・ダートマイル(GⅠ、ダート8ハロン)か、同クラシック(GⅠ、ダート10ハロン)に挑戦してほしいものである。

文●三好達彦

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