「彼女の真髄を見たよ」北京五輪・女子シングルのカオスで愛弟子が目撃した“人間トゥトベリーゼ”の実像「冗談を飛ばしてきた」

「彼女の真髄を見たよ」北京五輪・女子シングルのカオスで愛弟子が目撃した“人間トゥトベリーゼ”の実像「冗談を飛ばしてきた」

競技前のワリエワに言葉を贈るトゥトベリーゼ氏。愛弟子の男子選手が北京五輪でのエピソードを明かした。(C)Getty Images

北京五輪の開催期間中に巻き起こった、ROC(ロシア・オリンピック委員会)のカミラ・ワリエワを巡るドーピング疑惑。一大騒動に付随して大きくその存在がクローズアップされたのが、ワリエワの師事するロシア人名コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏である。

 平昌五輪の女子フィギュアスケートで金メダルに輝いたアリーナ・ザギトワを筆頭に、同銀メダルのエフゲニア・メドベージェワら数多の名スケーターを育て上げ、彼女が主宰する育成施設「サンボ70」は黄金期を築いてきた。今大会でも、ワリエワこそフリーでらしくないミスが相次いで4位に終わったものの、アンナ・シェルバコワが金メダル、アレクサンドラ・トゥルソワが銀メダルと愛弟子たちが躍動した。ペアで銀メダルを獲得したウラジミール・モロゾフ&エフゲニア・タラソワ組も門下生だ。

 ドーピング問題への関与が取り沙汰されるなか、トゥトベリーゼ氏の言動が注目を浴びる。女子シングル・フリーで演技を終えて引き上げてくるワリエワに対して、「なぜ諦めたの? 説明しなさい!」と詰問する様子が国際映像に乗って、世界中に拡散。泣きじゃくるトゥルソワが氏の抱擁を拒否して反旗を翻すなど、ショッキングな場面が相次いだ。

 ワリエワへの非情な振る舞いに対し、一斉にバッシングを受ける展開に。その後は欧米メディアで厳しすぎる指導スタイルが、次から次へと具体例とともに暴露され、「児童虐待だ」「若き才能の使い捨て」などと非難する声がいっそう高まった。

 それでも、ロシア国内では前人未到の偉業を成し遂げてきた彼女を擁護するムードが沸き起こる。政府要人やフィギュア関係者、さらには過去の五輪メダリストや名指導者たちがこぞってトゥトベリーゼ氏を援護射撃し、事態の収束を図っている。
 
 今回ロシア・メディア『Match TV』の取材に応じたのが、ロシア出身でジョージア代表のモリシ・クビテラシビリだ。北京五輪は男子シングルを10位に終えた26歳。彼もまたトゥトベリーゼ氏の門下生で、エキシビションではトゥルソワと共演し、ディズニー映画「アラジン」のジーニーに扮して好評を得たのが記憶に新しい。

 クビテラシビリは「スケートを辞めようと落ち込んでいたとき、両親に『トゥトベリーゼのところへ行くか?』と勧められて門を叩いた。いまの僕があるのは彼女のおかげだ」と語り、「彼女は本当に強いひと。普段どれだけその強い感情を隠しているかがよく分かった」として、北京五輪でのエピソードを紹介した。 まさに舞台裏がカオスと化した女子シングルでの一幕だ。クビテラシビリはスタンドで同門の3選手に声援を送っていた。「アンナ(シェルバコワ)とサーシャ(トゥルソワ)の演技に感動したかと思えば、カミラが失敗を続けた。あれは胸を張り裂けそうなくらい、僕も傷ついたよ」と明かし、競技終了後にROCチームの元に足を運んだ。

「僕でさえ取り乱して、泣いてしまってパニックになっていたのに、エテリはびっくりするくらい普段通りに彼女たちと接していた。僕の顔を見てジョークさえ飛ばしたよ。『なぜあなたが泣いているの? (男子シングルで)10位になったのがそんなに恥ずかしかったの?』ってね。思わず笑ってしまって、『ああ、そうだよ!』と返したさ」

 クビテラシビリは「あれが彼女の強さであり、(女子シングルで)その真髄を見た気がしたよ」と話し、「彼女は分かっているんだ。どんな困難な状況であっても、どうすればポジティブなエネルギーを引き出していけるのかをね。表情ひとつ崩さないんだから凄い。誰にも真似できないと思った」と振り返った。
 
 さらに、「なぜサンボ70では男子スケーターが育たないんだい? いまではハイレベルを維持しているのは君くらいだけど?」と問われると、クビテラシビリは次のように答えている。

「まあ、いろんなファクターがあると思うよ。辛抱強さが足りない選手がいたし……。そう、フィギュアスケーターには辛抱強さと精神的な強さが必要だ。たしかにエテリの指導は生易しいものじゃない。でも時間が経てば、その手法にも慣れていくものさ」

構成●THE DIGEST編集部

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