マゼピン、F1からの“追放”は免れるも同僚の叔父は「終わりを意味する」と悲観的。同胞は「不公平」と主張

マゼピン、F1からの“追放”は免れるも同僚の叔父は「終わりを意味する」と悲観的。同胞は「不公平」と主張

ハースのロシア人ドライバーであるマゼピン。彼も世界を震撼させているロシア軍のウクライナ侵攻の影響を受けそうだ。(C)Getty Images

3月1日、国際自動車連盟(FIA)は、世界モータースポーツ評議会(WMSC)の臨時会議を開催した。
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 これは、ウクライナへの侵攻を続けるロシアのモータースポーツ界に対していかなる措置を採るかを決するものであり、FIAにはウクライナ自動車連盟のレオニード・コスチュチェンコ会長から、ロシアおよびベラルーシが発行するライセンスでの出場停止をするよう要請が出されていた。

 しかし、FIAは他競技の多くがロシア勢の締め出しを決めているなかで、モハメド・ベン・スレイエム会長は、「我々はロシアのウクライナ侵攻を非難する。そして、我々の心はウクライナで苦しんでいる全ての人々とともにある」と声明を発表。そのうえで、ロシアの国旗や国歌の使用は認めないという条件付で、ドライバーのレース参加は認めるという決定を下した。

 これにより、F1からの“追放”を免れたのが、ハースのロシア人ドライバー、ニキータ・マゼピンだ。

 先月24日にウクライナへの侵攻が始まって以来、解雇の可能性が浮上していた23歳は、自身のSNSで「今は大変な時期で、自分ではコントロールできない状況のなかにいる。だから、僕は自分がコントロールできることに集中し、ハードワークをしながら、ハースF1チームのためにベストを尽くしたい」と声明を発していた。それだけに彼にとっては、わずかな光明が差したといえる。
 もっとも、依然として状況は厳しいと思われる。富豪の父親が共同経営する「ウラルカリ」が、チームの大口スポンサーであるため、これまでシートは安泰だったのが、今やハースのマシンからは、このロシア企業のロゴが消え、近日中に契約も見直される(破棄)からだ。

 最大の後ろ盾を失う23歳のドライバーはシート喪失も噂され、ハースのギュンター・シュタイナー代表も「もしニキータのドライビングが不可能となった場合、まず(リザーブドライバーの)ピエトロ・フィッティパルディに声をかける」と、後任についての具体的な名前も出している。

 とはいえ、現時点でハースは「ミック・シューマッハーの理想的なパートナーとなり得るドライバーと連絡を取り合っていない」と英国の日刊紙『EXPRESS』は報じており、マゼピンの残留の線も残っているとしている。

 だが、一方でロシア人が自由に渡航を許さない状況が長引けば、世界中を渡り歩かねばならないF1ドライバーにもかかわらず、ビザが発給されないという事態が予想されるだけに、やはり彼にとってはかなり厳しい状況と言える。 ミックの叔父である元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーは、「これはニキータの終わりを意味するかもしれない。若いドライバーにはどうすることもできないのが、非常に残念だ」と語り、またマゼピンに代わるドライバーにとっても、開幕までにテストの機会が1回しか残っておらず、困難な状況が待ち受けていると指摘した(モータースポーツ専門メディア『RaceXPress』より)。 こうしたロシア・モータースポーツ界に対する諸々の処置について、一昨季までアルファタウリでF1に参戦していた同国のドライバー、ダニール・クビアトはSNSで長い声明を投稿し、「国際オリンピック委員会(IOC)を含めた世界のスポーツ団体は、政治の外側に留まるべきだ。ロシアの選手(として)の国際大会への出場が認められないのは、不公平な解決策である」と主張している。

 しかし、F1がロシアを排除する方向に進んでいるのは間違いないようで、すでに9月23〜25日にソチで開催予定だったロシア・グランプリはキャンセルが決定。代替都市についても「問題なく選択肢を見つけられるだろう」とF1のCEOであるステーファノ・ドメニカリが語っているように、ポルトガル(すでに交渉中とのこと)、カタール、トルコが候補に挙がっており、史上最多の年間23レースは守られることは確実である。

構成●THE DIGEST編集部


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