「小指の骨折くらいならやりなさい!」コストルナヤの“トゥトベリーゼ組離脱”は指導陣の事実誤認も影響か

「小指の骨折くらいならやりなさい!」コストルナヤの“トゥトベリーゼ組離脱”は指導陣の事実誤認も影響か

2度の骨折から復帰したコストルナヤ。18歳の新天地での巻き返しに期待したい。(C)Getty Images

“鉄の女”と謳われるロシア・フィギュアスケート界の大物コーチ、エテリ・トゥトベリーゼ氏。北京五輪・女子シングルでは自身が主宰する「サンボ70」の教え子たちが躍動した。
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 アンナ・シェルバコワが金メダル、アレクサンドラ・トゥルソワが銀メダルに輝き、ドーピング問題に揺れたカミラ・ワリエワも4位で大会を終えた。加えて、ペア種目で銀メダルのエフゲニア・タラソワ&ウラジーミル・モロゾフ組も彼女の門下生である。

 だが、栄光に彩られたはずの北京五輪は、トゥトベリーゼ氏のイメージを失墜させる大会ともなった。フリー演技終了後のワリエワに投げかけた言葉が叱責したように誇張され、パニックになったトゥルソワにはハグを拒否されてしまう。過去の厳しい指導方法などの告発が次から次へと暴露され、すっかりダーティなレッテルが定着した印象だ。

 そんななか、現地3月2日に驚きのニュースが飛び込んできた。シェルバコワ、トゥルソワとともに“ロシア3人娘”を形成していたアリョーナ・コストルナヤがトゥトベリーゼ氏の元を去り、エレーナ・ブヤノワ氏が率いる「CSKA」に移籍して、すでに練習をスタートさせていると発表したのだ。
 
 2019―20年シーズンにグランプリファイナルと欧州選手権で頂点を極めた出世頭は、2020―21シーズンを前にも一度、トゥトベリーゼ氏と袂を分かって、エフゲニー・プルシェンコ氏が指導する「エンジェルス・オブ・プルシェンコ」に移籍している。だがパフォーマンスは低調で結果も残せず、ロシア選手権で6位に終わると一大決心。プライドを捨ててトゥトベリーゼ氏に謝罪し、復帰を果たした。

 北京五輪を目標に据えた今シーズン。しかしコストルナヤは新型コロナウイルスの後遺症とも闘いながら、懸命にトップフォームを取り戻そうと奮闘したがピリっとしない。12月中旬に右手の指2本を骨折してしまい、ロシア選手権への出場を断念。北京五輪への道を閉ざされ、今年2月に入って練習を再開させたが、今度は左手首を骨折してシーズン終了を宣言した。

 コストルナヤ自身が「サンボ70」での競技続行を望んだかどうかは定かでないが、今回の移籍報道を受けて、彼女のインスタグラムには理由を知りたいファンから質問が殺到。なかには誹謗中傷に近いものもあり、たまりかねたコストルナヤは「私にイニシアチブ(主導権)はありませんでした。決めたのはエテリ・ギオルギエブナ(トゥトベリーゼ)です」と短いメッセージを寄せた。つまり、恩師から非情な戦力外通告を受けたということだ。 今回の移籍劇に関して、大々的な検証記事を掲載したのが、ロシア・メディア『sport24』だ。「指導陣はコストルナヤの本当の診断結果を知らなかったのではないか?」と疑問を投げかけている。

 そもそも、昨年3月に「サンボ70」に復帰する際、怒れるトゥトベリーゼ氏は断固拒否の姿勢を崩さなかった。それでも愛娘の「チャンスを与えるべきよ」との嘆願もあって、コストルナヤに復帰の条件を提示する。厳しいトレーニングに文句を言わず全身全霊で取り組むことと、代名詞だったトリプルアクセルを完全復活させることの2点だ。直後のアイスショーでコストルナヤは見事にトリプルアクセルを着氷させ、ひとまず試用期間として復帰を認められた。

 しかし、その後はふたたびトリプルアクセルが安定感を欠いてしまう。練習態度にも不満を募らせていたトゥトベリーゼ氏は、徐々にコストルナヤへの関心が低下させていったという。そして決定的だったのが、右手の負傷だ。名コーチはテレビ局『Channel One』のインタビューで、なんとも手厳しい指摘をコストルナヤに向けた。

「彼女はボソボソと話していましたよ。転倒して、指の骨にヒビが入ったようですね。でも正直言って、その程度の怪我ならば滑走も演技も可能だと私は思います。私からは練習を続けて試合に出なさい、と伝えたんですけどもね」

 この発言を疑問視したのが『Sport24』だ。コストルナヤの主治医からCTスキャン後の診断書を入手し、彼女が明らかに右手の人差し指と中指を酷く骨折していた事実を紹介し、「ヒビの次元ではなかった」と主張。さらに今回の移籍報道に関連して、「サンボ70」の振付師であるアレクセイ・ゼレンジャコフ氏が発したコメントにも事実誤認があると指摘した。
 
 同氏は、「コストルナヤはたかが小指でキャリアを棒に振ったんだ。エテリ・ギオルギエブナは何度も叱咤していたよ。『足じゃないのよ。(手の)小指の骨折くらいならやりなさい! 成功を掴みたいなら仕事をしなさい!』とね」と言い放った。しかし『Sport24』は「トゥトベリーゼが言う“ヒビ”もゼレンジャコフが言う“小指”も不正確で、ふたりの間で見解が異なっているのもまた驚きだ。診断書が証明しているし、インスタグラムの画像からも明白である」と論じ、「指導陣は彼女の診断結果をちゃんと把握していなかった」と結論づけた。

 さらにゼレンジャコフ氏は「アリョーナはもうずっと練習に参加していなかったよ。モチベーションに問題を抱えていた」とも語っているが、実際は練習を再開させたものの、再度の骨折によって継続できなかったにすぎない。

 いずれにせよ、トリプルアクセルを復活させられなかった時点で、コストルナヤの“テスト期間”は終わりを告げていたのかもしれない。それ以前に、トゥトベリーゼ氏は一度離反したコストルナヤを心の底では許していなかったのか。いまとなっては、真相は闇の中である。

構成●THE DIGEST編集部

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