【皐月賞】最大のポイントは5か月ぶり“ぶっつけ”参戦となるイクイノックスの取捨。堅実さを買うならドウデュースか?

【皐月賞】最大のポイントは5か月ぶり“ぶっつけ”参戦となるイクイノックスの取捨。堅実さを買うならドウデュースか?

約5か月ぶりにレースに臨むイクイノックス。最終追い切りもブランクを感じさせず好タイムを出していた。写真:産経新聞社

牡馬クラシックの一冠目、皐月賞(G1、芝2000メートル)が4月17日、中山競馬場で行なわれる。前週の桜花賞も予想が難しく、結果も大波乱となったが、今春の皐月賞はそれを超えるレベルの混戦模様だ。

 そうした状況を招く要因となっているのは、昨秋あたりには“主役”級の評価を受けていたイクイノックス(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)のローテーションにある。現役時にG1レースで7勝を挙げてJRAの歴代賞金王になった名馬であり、キタサンブラックの初年度産駒だ。

 昨年8月28日、デビューの新馬戦(新潟・芝1800メートル)で2着に6馬身差を付ける圧勝を飾ると、続く11月20日の東京スポーツ杯2歳ステークス(G2、東京・芝1800メートル)にも出走。道中は後方を進みながら、直線で7頭をごぼう抜きにしたばかりか、さらには2着を2馬身半も突き放して重賞初制覇を達成した。

 このとき上がり3ハロンは32秒9という驚異的な爆発力を示しており、走破タイムも1分46秒2という優秀さ。この時点で、関係者からは「来春の牡馬クラシックは決まりかも」という声が聞こえ、筆者も彼が示したスケールの大きさに驚嘆したひとりである。

 その後は休養に入ると、疲労の快復に専念。トレセンに帰厩したのは今年の3月23日で、ステップレースを使わずに“ぶっつけ”で皐月賞へ出走することになった。ちなみに皐月賞を制した馬のなかで、前走からの最長レース間隔記録は2020年のコントレイルで、前年のホープフルステークス(G1)から中112日での勝利である。

 イクイノックスは前出の東京スポーツ杯2歳ステークス以来の出走なので、皐月賞は中147日、約5か月ぶりの実戦だ。もし勝利を飾れば、もちろんレース間隔の最長記録を更新する。

 幸いにして帰厩してからの調整過程は順調で、13日の最終追い切りでも余裕を持って好タイムを叩き出し、共同記者会見でクリストフ・ルメール騎手は「ほぼベストのコンディション」と、相棒の走りに満足した様子を見せた(ちなみにルメール騎手は、「もし勝てなくても“次のレース”は勝つと思います」とジョークを飛ばしてもいる)。
  ただ、筆者の脳内をよぎるのは、ゆっくりと休養をとって皐月賞直行のローテーションを組んだのは、ここを叩き台にして日本ダービー(G1、東京・芝2400メートル)を真のターゲットとしているのではないか、という推察である。

 たとえば、2016年の春季クラシックで主役を張ったレイデオロ。前年のホープフルステークスを制して休養に入り、皐月賞は“ぶっつけ”で出走して5着に敗戦。しかし、続く日本ダービーはルメール騎手の神がかった騎乗もあって見事に優勝を果たした。

 前述した三冠馬コントレイルのように、ホープフルステークスから直行で皐月賞、日本ダービーを制した例もあるので、一概に長期休養後の“ぶっつけ”参戦を危険視はできないだろう。だが今回のイクイノックスは、異例の臨戦過程に加えて、皐月賞がG1初挑戦というレースレベルの壁も立ちはだかる。

 他馬とのポテンシャルの違いで勝っても不思議はないし、常識的には狙いを一段下げるのが妥当という考えも自然なことだ。その取捨は各自の考え方ひとつである。 堅実さを求めるなら武豊騎手のお手馬、ドウデュース(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)だろう。昨年末の朝日杯フューチュリティステークス(G1、阪神・芝1600メートル)をデビューから無敗で制し、今季初戦の弥生賞ディープインパクト記念(G2、中山・芝2000メートル)はアスクビターモア(牡3歳/美浦・田村康仁厩舎)とクビ差の同タイム2着と、上々の滑り出しを見せた。

 常に前目の好位置でレースを進められるセンスの高さがストロングポイントで、弥生賞を経て順調に調子を上げてきているので、好レースは必至だろう。連勝系馬券の軸には最適な存在である。

 2戦2勝で共同通信杯(G3、東京・芝1800メートル)を制したダノンベルーガ(牡3歳/美浦・堀宣行厩舎)も争覇圏にいる1頭だ。2戦とも33秒台という最速の上がり時計を記録している末脚は一級品。右の後肢に不安を抱えていることから堀調教師は参戦に関して熟慮していたが、追い切りに騎乗した川田将雅騎手からのゴーサインを受けて出走に踏み切った。手綱を託された川田騎手の好調ぶりも込みで期待は高まる。
  ホープフルステークス(G1、中山・芝2000メートル)をレースレコードで勝ったキラーアビリティ(牡3歳/栗東・斉藤崇史厩舎)も、もちろん見逃せない。長くいい脚が使える馬で、レコードタイムを叩き出したように、ディープインパクト産駒らしくスピード能力も高い。鞍上の横山武史騎手は、前週までのG1で3週続けて苦杯を喫しているので、その汚名を濯ぎたいところだろう。

 その他、馬券圏内を狙う存在として、共同通信杯で2着に入ったジオグリフ(牡3歳/美浦・木村哲也厩舎)、きさらぎ賞(G3、中京・芝2000メートル)でハナ差の2着に食い込んだダンテスヴュー(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)、弥生賞でそのダンテズスヴューを降して優勝したアスクビクターモア(牡3歳/美浦・田村康仁厩舎)を挙げておきたい。

文●三好達彦

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