ストックトン、レブロン、ヨキッチなど多士済々! NBA歴代“ベストパサーチーム”を選定<DUNKSHOOT>

ストックトン、レブロン、ヨキッチなど多士済々! NBA歴代“ベストパサーチーム”を選定<DUNKSHOOT>

史上最多アシスト数を誇るストックトン(左)を筆頭に、現役のレブロン(右上)やヨキッチ(右下)ら各ポジションの名パサーが集結した。(C)Getty Images

豪快なダンクや長距離から射貫く3ポイントシュートはバスケットボールの花形プレーだが、それらを演出する華麗なアシストもファンを惹きつける大きな要素だ。

 今回『THE DIGEST』では、アメリカンスポーツに精通する識者に依頼し、NBA歴代の全選手を対象としたポジション別“ベストパサーチーム”を選んでもらった。

【ポイントガード】
ジョン・ストックトン

1962年3月26日生。185cm・77kg
キャリアスタッツ:1504試合、平均13.1点、2.7リバウンド、10.5アシスト

 PGの一番の仕事はプレーメイキングであるから、このポジションには多数の名パサーがいる。ただ、パスを繰り出す目的は、その華麗さやテクニックを披露するのではなく、得点につなげること。その大前提に従えば、史上最高のパサーとは最も多くのアシストを記録したストックトン以外あり得ない。

 1987−88シーズンに平均13.8本でアシスト王になって以来、9年連続でそのタイトルを譲らず、通算本数も歴代トップの1万5806本。現役1位(歴代3位)のクリス・ポール(フェニックス・サンズ)ですら1万977本で4000本以上も差があるのだから、今後更新する選手が現われる可能性は低い。

 観客を驚かせるような派手なパスは滅多になく、ユタ・ジャズの盟友カール・マローンとのピック&ロールを中心に、ひたすら堅実・確実にパスを供給し続けた結果だった。最も有名なのは97年のファイナル第4戦、残り50秒で投じた超ロングパス。ボールを受けたマローンがレイアップを決め、シカゴ・ブルズに逆転勝ちを収めた。
 【シューティングガード】
ピート・マラビッチ

1947年6月22日生(88年1月5日没)。196cm・89kg
キャリアスタッツ:658試合、平均24.2点、4.2リバウンド、5.4アシスト

 大学時代に3年間で平均44.2点を記録し、NBAでも得点王になった天才スコアラーは、傑出したパサーでもあった。

 まるで身体の一部であるかのように、自由自在にボールを操り、ノールックやビハインド・ザ・バック・パスなどは当たり前。レッグスルー、アンダーハンドでのベースボールパスなど変幻自在で、史上最高のエンターテイナーと言われたのも納得だった。

 そのプレースタイルは、ジャズの後輩ストックトンとは正反対。自身がスコアラーでもあったため、アシストも特に多くはなく72−73シーズンの平均6.9本(リーグ6位)が最多だったが、SG最高のパサーには彼を推したい。

 現役ではジェームス・ハーデン(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)が、基本はSGながらPGでも起用され、2016−17シーズンにリーグ1位の平均11.2アシスト。なおキャリア通算の平均アシスト数が最も多いSGは、マラビッチ(5.4本)でもマイケル・ジョーダン(5.3本)でもなく、クライド・ドレクスラー(5.6本)である(PG兼任の選手を除く)。
 【スモールフォワード】
ラリー・バード

1956年12月7日生。206cm・100kg
キャリアスタッツ:897試合、平均24.3点、10.0リバウンド、6.3アシスト

 バードは大学時代からの好敵手だったマジック・ジョンソンに優るとも劣らない名パサーだった。

 一番の得意技は「頭の後ろに目がついている」との表現がぴったり来る、肩越しに放り投げるノールックパス。ほかにもリバウンドに跳びながらのティップパス、ディフェンスの股間を通すバウンスパスなど、ありとあらゆる角度からピンポイントで味方にボールを届けた。

 13年間のキャリアで、平均アシストは最少でもルーキーシーズンの4.5本。うち4年はチームトップのアシストを記録、86−87シーズンには自己ベストの7.6本をマークした。

 白眉は87年のカンファレンス決勝、デトロイト・ピストンズとの第5戦で見せたプレー。1点を追う試合終了直前、アイザイア・トーマスのインバウンズパスをスティールした直後、走りこんできたデニス・ジョンソンに完璧なパスを送って劇的な逆転勝利を演出した。

 そのほかではバードとほぼ同時期の選手で、ポイントフォワードの先駆者であるポール・プレッシーのパスセンスも光っていた。
 【パワーフォワード】
レブロン・ジェームズ

1984年12月30日生。206cm・113kg
キャリアスタッツ:1366試合、平均27.1点、7.5リバウンド、7.4アシスト

 PG専任ではない選手で、通算1万アシストを超えたのはレブロンただ1人(1万45本/歴代7位)。一応の本職はSFであっても、PGからスモールボールのセンターまでどこでもプレーできるので今回はPFで選出した。

 ボールを独占しがちなエーススコアラーだと、“結果的に”アシストが多くなる場合もあるが、レブロンはゲームの流れに沿って意図的に、そして的確にパスを出している点がそうした選手とは異なる。先日ロサンゼルス・レイカーズのヘッドコーチを退いたフランク・ヴォーゲルも「史上最高のパサーは彼だ」と語っていたし、今季開幕前にNBA各球団のGMを対象にして実施されたアンケートでも、現役ナンバーワンのパサーに選ばれていた。

 平均アシストは5.9本だったルーキーシーズンが最少で、2019−20シーズンは主にPGを務め、10.2本でタイトルを手にしている。その他のPFでは、サクラメント・キングス黄金期のクリス・ウェバーや、現役のドレイモンド・グリーン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)もパスの上手さで知られる。
 【センター】
ニコラ・ヨキッチ

1995年2月19日生。211cm・129kg
キャリアスタッツ:527試合、平均19.7点、10.4リバウンド、6.2アシスト

 攻撃の起点になるセンターには巧みにパスを出す選手も多く、歴代でもウェス・アンセルド、ビル・ウォルトン、アルビダス・サボニス、ヤオ・ミンその他大勢の名が挙がる。その中でも最高峰に位置するのは現役のヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)だ。

「センターの体格をしたポイントガード」と自称しているように、ハーレム・グローブトロッターズの試合を見ているのでは?と錯覚を覚えるくらい、多種多様なパスを涼しい顔で決める。名前のもじりと冗談好きの性格からついたニックネームの“ジョーカー”より、“マジシャン”と呼ぶのが適切と思えるくらいだ。

 MVPを受賞した2020−21シーズンに自己ベストの平均8.3アシスト(リーグ6位)をあげると、今季も2桁アシストを20回記録し、トリプルダブル19回はリーグ最多だった。通算最多勝コーチのグレッグ・ポポビッチ(サンアントニオ・スパーズ)も「最も賢い選手の1人。自分のスキルの使い方を知っているし、それを楽しんでもいる」と賞賛を惜しまない。
 【シックスマン】
マジック・ジョンソン

1959年8月14日生。206cm・98kg
キャリアスタッツ:906試合、平均19.5点、7.2リバウンド、11.2アシスト

 PGではストックトンを選んだが、通算の平均アシスト数はマジックが11.2本で上回る。これは全盛期にHIVウイルスに感染し、下り坂になる前に引退したため数字が下がらなかったのも理由だが、そのアクシデントがなくても1位だったかもしれない。

 83−84シーズンの平均13.1本を最多としてアシスト王に輝くこと4回(リーグ2位が6回)。ロサンゼルス・レイカーズを5度の王座に導いた名プレーメーカーであった以上に、パサーとしてリーグに大きな影響を与えた。

 身長は206cmでセンターを務めたこともあるほどのサイズでありながら、視野の広さと独創性は天下一品。ノールックやビハインド・ザ・バックなどエンターテインメント性に富んだパスで勝利を呼び寄せ、PGというポジションに革命を起こした。

 それでもシックスマンで選出したのは、NBA入りした当初はSG、引退後一時的に復帰した際はPFでプレーするなど、ポジションを問わない選手だったから。その点はマジック二世と呼ばれたレブロンと共通する。

文●出野哲也

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