前週大会の予選落ちから一変! なぜ畑岡奈紗は“独走状態”で米ツアー6勝目を飾れたのか?

前週大会の予選落ちから一変! なぜ畑岡奈紗は“独走状態”で米ツアー6勝目を飾れたのか?

優勝トロフィーにキスする畑岡。2位に5打差の独走で今季初Vを飾った。(C)Getty Images

米女子ツアー参戦6年目の畑岡奈紗が、『DIOインプラントLAオープン』で今季初勝利、ツアー通算6勝目を飾った。2位に4打差の単独首位でスタートした最終日は、序盤からロングパットを決め、後半の15番パー5ではイーグル奪取に成功。通算15アンダーまでスコアを伸ばし、2位以下に5打差をつける圧勝劇を演じ切った。

【動画】畑岡が約15メートルを沈める“スーパーイーグル”! 渾身のガッツポーズも

「リードはありましたが、このコースは挑戦的で何が起こるか分かりません。最後のパットまでしっかりと集中できたと思います」と畑岡。大量リードにも気を抜かず自分のプレーに徹したことが勝因だと語った。

 開催コースのウイルシャーCCは、西海岸特有のポアナと呼ばれる芝がグリーンに混在する。午後になるとそのポアナ芝が伸びるため、ボールの転がりに強い影響を与えるが、この日の畑岡はお構いなしにパットを入れまくる。

 イーグルを奪った15番では、約15メートルはある下りのフックラインだったが、ラインの読みとタッチが見事に調和した完ぺきな1打だった。「ポアナのグリーンは本当に難しいですが、あのイーグルのおかげでリラックスできました」と、自らのパットに合格点を与えていたほどだ。
 昨年はツアー2勝を挙げ、賞金ランキング3位となった畑岡。この大会前までの世界ランキングも12位と、実力的には今回の優勝に驚く人はいないだろう。むしろ、今季はこの大会まで8試合戦い、一度もトップ10入りがないことのほうが驚きだ。

 しかも、前週に開催された『ロッテ選手権』では今季初の予選落ちを喫している。「だからゴルフでは何が起こるか分からないんです」と本人は言うが、一番ホッとしているのは畑岡自身だろう。

 本来なら昨年の成績に満足してもいいぐらいだが、消化不良のままシーズンを終えていた。目標としていた東京五輪でメダリストになれなかったことや、『全米女子オープン』でプレーオフの末、笹生優花に敗れたことがその要因だ。

 このオフはテクニカルな部分を向上させるための練習のほか、フィジカル面やメンタル面を鍛え直したという。さらに、シーズンに入ってからもクラブを替えたり、ボールの位置を変えたりするなどの試行錯誤を続けていた。それがようやく結果につながったのだ。
 今大会ではフェアウェイキープ率が83.9%、ドライビングディスタンスが264ヤードと、飛んで曲らないティショットを放っていた。パーオン率も76.39%と悪くない数字だが、畑岡自身は初日からアイアンショットに不安を感じていた。

 ところが、2日目の7番パー3を迎えた際、ボールの位置が遠くなっていることに気がついた途端、手応えが変わる。前週の試合はハワイでの開催だったこともあり、強風下でのプレーだったため、通常よりもボールを右に置き、なおかつボールから少し離れて立っていた。それを修正したことで、本来のショットを取り戻したのだ。

 ジュニア時代からアイアンショットの精度には定評があった畑岡だけに、自信を持ってアイアンショットを打てること自体が大きな武器となる。2日目に首位に立ち、一度もその座を譲らなかった理由の一つだろう。

 今回の優勝は5週後に迫った『全米女子オープン』に向けても価値ある1勝になった。まずは勝ち方がよかったこと。首位に立ってもプレッシャーを感じることなく、自分のペースでラウンドする姿を他のプレーヤーに見せつけたことで、畑岡に先行されたら逆転するのは難しいという印象を与えた。
 仮に本戦で同じ状況になったら、相手選手が焦りを感じるのではないか。さらに、畑岡自身にとっても、自分のゴルフをできれば勝ち切れるという確信をつかめたはず。同時に、これまでやってきたことが間違っていないという証明にもなった。そういう気持ちがあると、メジャーのように大きな大会でピンチを迎えたときの支えになる。

 どちらにせよ、ディフェンディングチャンピオンの笹生、そしてメジャーチャンピオンの渋野日向子に並んで畑岡と、今年の『全米女子オープン』には優勝候補に3人の日本選手が名前を連ねる。

 三者三様の思いが交錯するだろうが、畑岡にとってはメジャーに対する強い気持ちのほかに、昨年のリベンジを果たしたい気持ちもある。今回の優勝に満足することなく、初のメジャータイトル獲得へ向けてさらに調子を上げていくつもりだ。

文●山西英希
著者プロフィール/平成元年、出版社に入社し、ゴルフ雑誌編集部所属となる。主にレッスン、観戦記などのトーナメントの取材を担当。2000年に独立し、米PGAツアー、07年から再び国内男子、女子ツアーを中心に取材する。現在はゴルフ雑誌、ネットを中心に寄稿する。

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