東京五輪でメダル“ゼロ”の瀬戸大也が再出発!“基礎固め”プランを練る彼が目指すタイムは?【日本選手権】

東京五輪でメダル“ゼロ”の瀬戸大也が再出発!“基礎固め”プランを練る彼が目指すタイムは?【日本選手権】

2024年のパリ五輪に向けて、今年を基礎固めと位置付ける瀬戸。(C)Getty Images

競泳の日本選手権が4月28日から5月1日まで、神奈川・横浜国際プールで開催される。注目は、昨夏の東京五輪で3種目に出場したものの、メダルなしに終わった瀬戸大也。

 2016年リオデジャネイロ五輪では男子400メートル個人メドレーで銅メダルを獲得し、東京五輪の金メダルを目指していたが、自らの不祥事で歯車が大きく狂い、本番に調子を合わせきれなかった。

 それでも2024年パリ五輪へ向けてリスタートを切った後は、今年3月の国際大会日本代表選手選考会(東京辰巳国際水泳場)で個人メドレー2種目で派遣標準記録を突破し、世界選手権(5月28日~6月5日、ハンガリー・ブダペスト)とアジア大会(9月11日~16日、中国・杭州)の代表権を手にした。

 今年は、早稲田大学1年生で2013年世界選手権に初出場してからちょうど10年目。浮き沈みはありながらも本来の力を取り戻しつつある瀬戸が今大会でどのような泳ぎを見せるのか、期待は大きい。
  東京五輪を終えてからの半年あまりの間、瀬戸は環境を大きく変えてきた。昨年10月にプロスイマーへ転向。今年3月には長年、マネジメント契約を結んでいたエージェントとの契約を終了し、練習場所は東海大学を拠点とするようになった。5月からは、リオデジャネイロ五輪の女子主将で女子200メートル平泳ぎ金メダリストの金藤理絵さんを指導した加藤健志氏コーチに師事することも発表した。

 年明けに新型コロナウイルスに罹った影響で練習量が不足したままのシーズンインとなったが、3月の日本代表選考会では、昨夏の東京五輪で日本男子唯一のメダルである男子200メートル個人メドレーで銀メダルを手にした本多灯と激しく競り合った。男子400メートル個人メドレーでは4分10秒75秒で優勝した本多に僅差で敗れたが、派遣標準記録である4分14秒20を難なく突破する4分10秒82で2位になった。同200メートル個人メドレーでは1分57秒09で優勝した。
 「あくまで目標はパリ五輪です」と強調している瀬戸は、今年1年を基礎固めに充てるというプランを持っており、泳ぎ込みを重視していきたいという考えがある。今回の日本選手権はそういった意向を反映させ、エントリーしているのは男子200メートル自由形、男子400メートル自由形、男子200メートル平泳ぎ、男子400メートル個人メドレーの合計4種目。専門の200メートル個人メドレーや、得意とするバタフライの出場は見送った。

 とはいえ、押しも押されもせぬ実力者の瀬戸だけに、専門外の種目のタイムを自身の現在地を計るバロメーターとする算段を持っているのは間違いない。また、勝負種目である男子個人メドレーは、200メートルも400メートルも10年以上世界記録の更新がないため、瀬戸自身が過去に出した日本選手権でのタイムと今回のタイムを比較することで、世界での位置取りの目安が分かっていくだろう。
  基準となる400メートル個人メドレーのタイムを振り返ると、瀬戸は2016年の日本選手権を4分13秒52で泳ぎ(萩野公介に続く2位)、リオ五輪本番では4分9秒71で銅メダルだった。2019年の日本選手権では4分9秒98で泳いで優勝し、世界選手権では4分8秒95で金メダルだった。

 昨年は4分9秒02で優勝。東京五輪では決勝進出ラインとなるタイムを読み違えてスローペースで泳いでしまい、4分10秒52でまさかの予選落ちとなったが、今年の日本選手権で目安となるタイムも昨年と同様で、4分9秒台前半を出せるかどうかが評価ポイントになっていくだろう。

 夏に控える世界選手権、秋のアジア大会。いずれも瀬戸の活躍が、パリ五輪での日本代表全体の成績を占うものになっていきそうだ。

文●矢内由美子
 

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