マブズを11年ぶりの1回戦突破に導いたキッドHC。自身の在籍当時と重ね「今年の状況は似ている」<DUNKSHOOT>

マブズを11年ぶりの1回戦突破に導いたキッドHC。自身の在籍当時と重ね「今年の状況は似ている」<DUNKSHOOT>

2011年にPGとしてマブズの初優勝に貢献したキッド。今年は指揮官として2度目の頂点を目指す。(C)Getty Images

現地時間4月28日に行なわれたダラス・マーベリックスとユタ・ジャズによるプレーオフ1回戦第6戦。マブズの2点リードで迎えた最終盤、ジャズは左ウイングのボーヤン・ボグダノビッチにボールを託すと、スペンサー・ディンウィディーをポンプフェイクで交わし、ワイドオープンの3ポイントを放った。

「しまった…。『彼はあそこからミスすることはほとんどないじゃないか』と思った。もう心臓が止まったよ」

 マブズのルカ・ドンチッチが試合後に語ったように、もしこのショットが決まっていればジャズが勝利を掴み、シリーズは第7戦にもつれていた。

 だが、ジャズの選手たちやコーチ陣、そしてホームの大観衆の願いが込められたショットはリングをくぐり抜けることはなく、マブズが98−96で勝利。4勝2敗で激闘に終止符を打った。

 過去2年間、プレーオフ1回戦でロサンゼルス・クリッパーズの前に姿を消していたマブズとドンチッチにとって、初のファーストラウンド突破、そしてカンファレンス・セミファイナル進出が決定した。
 「僕らはここへたどり着くために本当に必死になってやってきた。このチームはファーストラウンドを突破するに相応しいと思う。皆で戦い抜いたんだ」

 この試合で24得点、9リバウンド、8アシスト、2スティール、2ブロックをマークしたドンチッチはそう語り、勝利を喜んだ。マブズはほかにジェイレン・ブランソンが24得点、ディンウィディーが19得点、ドリアン・フィニー・スミスが18得点、10リバウンド、5アシストで勝利に貢献した。

 マブズがプレーオフ1回戦を突破したのは、球団史上初のNBAチャンピオンとなった2011年以来初。当時はジェイソン・キッドHCが現役で、ダーク・ノビツキーやジェイソン・テリー、タイソン・チャンドラー、ショーン・マリオンらと主軸を形成していた。

 現役時代、オールラウンドなポイントガードとして活躍したキッドHCは「自分が歳を取ったことを感じさせてくれてありがとう」と笑顔を見せつつ、当時と今を重ね合わせていた。

「あれはもうだいぶ前のこと。あの頃、多くの人たちは我々がファーストラウンドを突破するとさえ思っていなかったのを覚えている。それは今年の状況と似ている。今年のチームはスペシャルなグループなんだ。選手たちは勝利のため奮闘しつつ、楽しんでそれをやっている。この勝利がフェニックス(サンズ)とのシリーズに向けて自信を植えつけてくれるといいね」
  シリーズ最初の3試合でマブズは左ふくらはぎの張りのためドンチッチを欠いていたため、戦前の予想ではジャズ優勢。だがブランソンやディンウィディーらの活躍で2勝1敗と有利に進め、見事シリーズ勝利を飾ったのである。

 11年の時のキッドは38歳の大ベテランながら、リーダーシップやディフェンス、プレーメイキングなど攻守両面でチームを支えていた。オーナーのマーク・キューバンは選手、そして指揮官としてマブズで貢献するキッドについて、『Yahoo! Sports』にこう語っている。

「当然、選手とコーチでプレーオフを戦うことは違ってくる。選手としてなら、自身の役割がある。彼にはすでに経験があったから、ダークをサポートすることができた。今はコーチとして、長いシーズンを戦うプロセスを歩んでいる。

 選手たちのマインドセットや姿勢もそうだし、システムや役割を理解させ、チームとして一丸となって向上させていく必要がある。ジェイソンはこのグループにおいて、見事な仕事をしてくれている」
  キッドはキャリア19年間でいずれも歴代2位となる1万2091アシスト、2684スティールを記録しているほか、トリプルダブルも歴代4位の107回を達成。18年に殿堂入り、昨年は75周年記念チームにも選ばれ、一昨季にはアシスタントコーチとしてロサンゼルス・レイカーズで優勝に貢献。プレーオフの大舞台を数多く経験してきただけに、マブズの選手たちにとっても心強いに違いない。

「相手を倒すためには、自分たちのベストなバスケットボールをしなければならないだろうね。彼らは昨年ファイナルに進んで、今年はリーグトップの成績を残した。僕らはどうプレーすべきかは分かっているから、コートに出て競い合っていくだけ。僕らの仕事はまだ終わっちゃいない」

 ドンチッチは5月2日から始まるサンズとのシリーズに向けてそう意気込む。1回戦を突破し自信を深めた選手たちとともに、キッドHCは再びマブズを引っ張っていくことだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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