「30歳の頃よりいい感じ」ベテラン堀江翔太が元気な理由。19年W杯以来の代表復帰も果たした36歳が、埼玉をリーグワン初代王者に導くか

「30歳の頃よりいい感じ」ベテラン堀江翔太が元気な理由。19年W杯以来の代表復帰も果たした36歳が、埼玉をリーグワン初代王者に導くか

36歳を迎えた堀江。埼玉を初代リーグワン王者に導けるか。(C) Getty Images

5月22日、東京・秩父宮ラグビー場でラグビー・リーグワン1部のプレーオフ準決勝が行なわれ、レギュラーシーズン2位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)が、同3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ)を24−10で下し、29日の決勝に駒を進めた。
  試合の流れを決めるビッグプレーが生まれたのは、埼玉が7−3と4点リードで迎えた前半終了間際の38分だった。東京ベイの強力モールに押し込まれ、自陣に釘付けにされていた埼玉だったが、ここを粘り強くしのぐと、相手が左へ展開したところでWTB(ウイング)の竹山晃暉がインターセプト。およそ90メートルを独走し、インゴール中央にダイブした。

「ギャンブルってよく言われますけど、そうじゃありません」

 医師の道へ進み、昨季限りで現役を引退した元日本代表WTB、福岡堅樹さんの後継者は、試合後に毅然とした表情でそう話した。

「僕の中では、取れることが確定して(インターセプトに)行っているので。相手の強みであるモールを、味方があそこまで止めてくれたら、必ずボールは横に動く。(東京ベイのSO)バーナード・フォーリーも外を見ていたし、ボールが出たら狙いに行こうと思っていました」

 まさに確信のインターセプトだった。

 そして、勝負を決定付けたのが、竹山の帝京大の大先輩、堀江翔太だ。

 肝心なところでミスや規律の乱れが出て、チャンスを生かしきれない東京ベイを、54分から途中出場していた36歳のベテランHO(フッカー)が突き放す。17−3と差を広げて迎えた65分、自らが投じたラインアウトを起点に、相手のお株を奪うモールで前進すると、最後は密集の脇を突いてダメ押しのトライを奪ってみせた。

「モールが動いたから、自分はそこに付いていっただけ。特別なことはしていませんよ」

 淡々と試合後にそう話した堀江だが、コンディションの良さは実感している。支えとなっているのは、引退も頭をよぎったという頸椎のケガを治し、2019年ラグビー・ワールドカップ(W杯)の活躍につなげてくれた、佐藤義人トレーナーとの二人三脚の日々だ。

「ラグビーの細かいスキルに関しては、もちろんコーチに教わりますけど、フィジカル的な部分、身体の動かし方や筋肉の付け方といった部分は、すべて佐藤さんに教わっています。おかげで、首に爆弾を抱えていた30歳ぐらいの頃よりも、今のほうがいい感じに動けていますよ(笑)」

 そう言って笑う堀江は、5月9日に発表された日本代表候補にも選出されている。あの19年W杯以来の復帰だ。この日は日本代表のジェイミー・ジョセフHCが視察に訪れていたが、来年フランスで開催されるW杯にも、堀江は意欲を覗かせる。

「選ばれたことは光栄ですし、これから自分が出せるものを100パーセント出していきたい。このまま調子良くやっていければ……」

【動画】堀江翔太がダメ押しのトライ! 埼玉WKが決勝進出を決めた東京ベイ戦ハイライト 埼玉ではキャプテンの坂手淳史の控えに回り、クローザー的な役割も多くなったが、達観の境地にあるファンタジスタは意に介さない。

「(控え番号の)16で出ようが、(スタメンの)2で出ようが、やることは変わりませんから。準備段階に神経は使いますが、試合では練習でやったことが出るだけなので、グラウンドに立てば、あとは楽しむだけ。年齢を重ねて、そんな風に考えられるようになりましたね」
  29日、国立競技場でぶつかる決勝の相手は、プレーオフ準決勝で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)を下した、レギュラーシーズン1位の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)。前身のトップリーグ最終年だった昨季も、同じ相手(当時はサントリー)を決勝で破って王者に輝いた。2年連続の王座に、そしてリーグワン初代チャンピオンに王手をかけたわけだが、堀江はあくまでも冷静に意気込みを口にする。

「トップリーグラストとか、リーグワン初とか、そういうのは意識しないタイプなので(笑)。自分たちのやるべきことを見失わず、勝とうが負けようが悔いなく、試合後に全部出し切ったと言えるように戦うだけです」

 昨年はケガで決勝の舞台に立てず、悔しい思いも味わったという25歳のトライゲッター竹山とともに、「40歳まで(現役を)続けたい」と目を輝かせる泰然自若のベテランが、ファイナルのキーマンになるのかもしれない。

取材・文●吉田治良
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