バレー女子V1の姫路が新体制を発表! 世界を知る安保新監督のもと期待のアタッカーを加え「姫路から世界へ」の実現を目指す

バレー女子V1の姫路が新体制を発表! 世界を知る安保新監督のもと期待のアタッカーを加え「姫路から世界へ」の実現を目指す

新体制発表のキックオフミーティングに臨んだ安保新監督(右端)と新加入の選手たち。ここから世界進出を目指す。写真:北野正樹

バレーボール女子V1のヴィクトリーナ姫路が、5月30日に安保澄ゼネラルマネジャー(GM)(51)の監督就任を発表した。同時に6年ぶりに日本代表に復帰した宮部藍梨ら新人3選手の入団発表も行われ、2012年ロンドン五輪女子で銅メダル獲得にコーチとして貢献、その後、年代別女子代表監督として金メダルを獲得し世界を知る指揮官のもと、新体制でチームスローガンである「姫路から世界へ」の早期実現を加速させる。

「Vリーグでの2022-23年の結果目標は、ベスト8です」。理論家で堅実な安保監督らしい所信表明だった。
  ホームタウンの兵庫県姫路市のホテルで開かれた、新体制を発表する「2022-23シーズン キックオフミーティング」。メディア関係者や選手、球団関係者らを前に、安保監督は「本来なら、ベスト4や優勝という聞こえのいい、威勢の良い目標を述べるべきタイミングなのかもしれません。しかし、まず現在の自分たちの実力を把握したうえで、3シーズン下位にとどまっている現状を踏まえた時、下位から抜け出し、まず中位の位置に行くこと。それがなく、4強や優勝と申し上げるのは、まだまだ絵空事だと思っている」と続けた。

 2019年5月からGMとしてチーム運営に参画して、3年。12位、10位と順位を上げてきたが、21-22年シーズンは主力選手のケガが相次ぐなどしてレギュラーラウンドで11位に終わった。中位という実現可能で明確な目標設定は、緻密なチーム作りに定評のある安保監督ならではの公約≠ノ聞こえた。

 ヴィクトリーナ姫路は、2013年9月にミュンヘン五輪金メダルの中村祐造・元男子代表監督や眞鍋政義・女子代表監督(前球団オーナー)らを輩出したバレーどころの姫路市で、有志がクラブ設立準備会を発足させたのがスタート。

 その後、2016年3月に「株式会社姫路ヴィクトリーナ」が設立され、6月7日に元女子代表主将の竹下佳江を監督に迎え、日本初の女子プロバレーボールチーム「ヴィクトリーナ姫路」が立ち上がった。プロ契約は河合由貴ら元Vリーガー3人だけで、初戦となった7月10日の全日本選手権県予選は育成選手らを加えて臨んだが、大学のBチームに1セットも奪えず敗退した。

 同年12月に、女子代表監督を退任した眞鍋氏がGMに就任。「姫路から世界へ」を合言葉に、単独チームで世界に挑戦し女子バレーの発展に寄与しようと強化を進め、19-20年シーズンからV1リーグに昇格。同時にバレー教室などで地域貢献に努め、地域密着の球団運営を進めてきた。
  新たに指揮を執る安保監督は、広島県出身。ミュンヘン五輪金メダルの名セッター・猫田勝敏さんと同じ小学校出身で、2年生でバレーを始め中学、高校ではセッター。明治大進学後、別の大学の女子チームのコーチを務めたのが、女子バレー指導の始まり。その後、5年間、サラリーマン生活の傍らコーチを務めていたが「正しい指導が出来ているのか」と思い立ち、退職して筑波大大学院に進学。卒業後、Vリーグ女子チームのコーチを経て、2009年から12年まで女子代表のコーチを務め、ロンドン五輪では銅メダルに導いた眞鍋監督を支えた。
  14年からは、女子の年代別代表監督に就任し、17年のU-23アジア選手権で金、U-20世界選手権で銅メダル。18年のU-19アジア選手権で金、AVCカップで銀メダルを獲得するなど将来のシニア代表選手を育成し、19年から姫路のGMを務めていた。

 チーム浮沈のカギを握るのは、「米国で高いブロックを相手に積んできた技術は、チームにとって大きな武器になる」と安保監督が期待を寄せる宮部だ。14年に日本バレーボール協会(JVA)が東京五輪に向けて立ち上げた「Project CORE」(男子10人、女子8人)の初代メンバーで、安保監督が「Team KORE」の女子監督を務めた時の教え子。古賀紗理那や黒後愛、宮下遥らとともに選抜された。

 宮部は、高さとパワーのあるスパイクで、全国都道府県対抗中学大会で最も将来有望な選手に贈られるJOC・JVAを受賞、アジアユース選手権では優勝に貢献しMVPに輝いた。金蘭会高校では1年生エースとして初優勝に貢献、15年には女子代表に選出され、ワールドグランプリのイタリア戦で、途中出場で18得点を挙げる活躍を見せ、将来を嘱望された逸材。

 国内の大学進学後、米国の2年制大学に留学してバレーを続け、その後ミネソタ大に編入し、この間、2年制大学部門の女子年間優秀選手に選ばれていた。
 「海外チームからのオファーもありましたが、私の出身地は兵庫県。大阪の中学、高校や米国の大学に進学しても応援して下さった兵庫のみなさんに恩返しをしたいと思った」と、姫路に入団した理由を明かした宮部。「高いブロックを相手にプレーすることが得意なので、そこを見てほしい」と意気込む。米国に渡った4年間、映像などで追い続けていた」という安保監督の情熱も伝わったのだろう。

 4年間の成長について安保監督は、「米国で高いブロックに対してスパイクを決めるために、いろんな工夫をしてきたと思う。ジャンプやアームスイングの仕方ひとつを見ても、非常にのびやかでしなやか。すごくきれいなフォームになっている。サーブレシーブもしっかりとポイントを置いて練習しているのだろうと、外から見てもわかるような取り組み方をしている」。さらに、「考え方が論理的。物事を説明し、判断して行動を選択することが出来る」と、自律した選手であることを高く評価した。

 安保監督が4年ぶりの現場復帰で、選手に求めるのは「マインドセット」。すべての出来事は、自分たちの成長につながるという考えで、「失敗をネガティブにとらえるのではなく、自分たちを成長させてくれるものという認識を持つべき。バレーボールの最高峰の競り合いの中では、予期せぬ失敗やいろんなことが起こるため、失敗への対処の仕方を覚えておかなければいけない。ゲームの中で初めて考えるのではなく、常にどうすればいいんだという環境を作っておくことが大切」と指摘する。
  年代別代表監督時代、将来のシニア代表を見据えそれぞれの大会で決勝進出を最低目標にしてきたのも、五輪など大舞台での対処方法を選手に学ばせるためだった。

「指導のお手本になっている」のは、もちろん眞鍋監督。「ロンドン五輪では、眞鍋さんは想定しうるすべてを想定し、準備をしていた。選手とも1対1で話をする場を持ち、考えを伝え理解を求めていた。アタッカーならどのコースに打つのか、強打かフェイントを仕掛けるのか。そういう判断は、最後は個人がしなければならない。あの時のメンバーは本当に自律しており、その場面に対して打開するための解決策を自分たちで見出していた」と語る。

 代表監督に復帰するまで、球団オーナーを務めていた眞鍋監督からは「お前しかおらん。頼んだぞ」と声を掛けられたそうだ。

「プロチームである以上、勝利することが求められている。選手をスカウトしてきたGMとしての責任もあり、監督を引き受けた。競技力の向上、スポンサーの方々との協業、地域貢献をさらに進めていきたい」

 今年度、チームの女子代表選手は、MB佐々木千紘とリベロの花井萌里の2人と、まだまだ成長途上にある。サラリーマンを辞め、本格的にバレーの道に進んで約25年。世界と戦い、世界を知る安保監督の手腕に期待だ。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や、オリックスの「神戸移転」などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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