バレー男子「龍神NIPPON」の石川主将が感じるチームの変化。ブラン監督の初陣を前に「目標はファイナルラウンド進出」と決意表明!

バレー男子「龍神NIPPON」の石川主将が感じるチームの変化。ブラン監督の初陣を前に「目標はファイナルラウンド進出」と決意表明!

オンライン会見でネーションズリーグ初戦への意気込みを述べた石川。※写真は会見のスクリーンショット

バレーボール男子代表の「龍神NIPPON」の石川祐希主将(パワーバレー・ミラノ)が、フィリップ・ブラン監督の初陣となる6月8日午後6時(日本時間9日午前6時)から始まる「FIVBネーションズリーグ(VNL) 2022 予選ラウンド第1週ブラジル大会」のオランダ戦を前にオンラインによる記者会見に応じ、チーム内に芽生え始めたリーダーシップによるチームの変化とVNLに臨む意気込みを語った。

「ひとり一人がやるべきことをやっているので、不安要素がない中で戦えている。大崩れをしなくなったところが、一番強化された部分」。3日に行われた現地と結んだオンライン会見で、石川は現在のチーム状況について語った。
  振り返ったのは、前日に行われたブラジルとの親善試合。VNLの大会概要が発表された直後、フィリップ・ブラン監督が「選手が海外選手の高さや速さに慣れるいい機会になる」と、ブラジルチームに連絡を取り実現したゲームで、日本代表は第1セットを25-19で先取すると、第2セットを39-37で競り勝ち第3セットも25-23で退け、ストレート勝ちを収めた。

 石川は、この試合でチームの変化をこう感じたという。
「昨日、一緒に戦ってみて全員がリーダーシップを執ってチームを作っていこう、鼓舞していこうという意識を感じた。それぞれのポジションで自分の役割をしっかりと果たし、チームを鼓舞する声が切れることはなかった。そこを見て、今までと少し違うかなと感じた」

 さらに続けて、「今までなら、流れが悪くなった時やどこかが崩れた時には崩れることが多かったが、流れが悪くなってもひとり一人がリーダーシップを発揮して、1本で切ったり、多くても2本でサイドアウトを切ったりするゲーム展開になっていた。(ブラジルは)Bチームでしたが、3-0でしっかりと勝てたのは、勝負所でも全員がゴールに向け、集中して戦うことが出来たからだと思う」と石川。

「リーダーシップ」という言葉には、伏線があった。イタリアで7シーズン目を終えた石川が、5月11日のオンライン会見で「誰が出ても同じというチームを作るには、安定した力を出せるよう、リーダーシップを執れる選手が複数、必要。リーダーをもう1人、2人作りたい」と、代表チームに求めたのだった。

【関連記事】石川祐希、キャリア最高5位も「過去一悔しいシーズン」!日本代表に向けては“新指針”を示す「リーダーをもう1〜2人つくりたい」 5月18日に合流後、選手に呼び掛けたことはないが、メディアを通じた石川のメッセージが伝わり、ミーティングでもブラン監督が同様の話をしたことで、選手の意識に早くも変化が生まれたようだ。

 自分以外でリーダーシップを執れる選手の出現。「西田(有志)を含め、関田(誠大)やリベロの山本(智大)。MBの山内(晶大)に高橋(健太郎)、サイドの高橋(藍)。MBはブロックに対してリーダーシップを執りメインに動いてくれたし、レセプションに関しては山本がすごく指揮していた。トス、アタックもそれぞれが自分の役割をしっかりと果たしてくれた」と、言葉を続けた。

 一足先に、リーダーシップの自覚と覚悟を身につけていた選手もいた。ビーボ・バレンティアからジェイテクトへの復帰が決まった西田だ。
 「東京五輪の時は、まだ自分のことで精一杯で、石川主将についていく部分があった」と振り返る西田は、4月24日のJ-STEP(静岡市)での取材に対し、「ついていくのではなく、そういった立場でもう一人(選手が)いたら、もっともっとチームは強くなると思う。(チームの)核になる選手であるべきだと感じた」と意気込みを語っていた。イタリアで7年間、リーグを戦って来た石川に刺激を受けて芽生えた意識の変化だったという。

 石川は「僕から要望などはしていません」と断ったうえで、イタリアでの西田との会話を明かした。「昨年のアジア選手権に(西田は)参加していなかったが、その時にチームを引っ張るという選手がもう一人か二人いれば、結果は違ったのかな、安定して戦えたのかな、という話を少ししました」。

 昨年9月に千葉で開かれたアジア選手権は、海外移籍の関係で西田と関田が代表から外れたこともあり、イランに競り負けてストレート負けを喫し2大会ぶりの優勝を逃した。西田が多くを聞くまでもなく、石川以外にリーダーシップを執る選手が必要だと理解したのは想像に難くない。

 2日の親善試合では、ブラン監督が「今年度の目標」として掲げているブロック面で強化の成果が見られたことも大きな収穫だった。先発したMBの山内(パナソニック)、高橋健太郎(東レ)は相手スパイクをワンタッチで攻撃につなげる場面が何度も見られた。

 特に石川が「ブロックが非常に良かった」と評価したのが、高橋健太郎だった。「山内選手は戦術もうまく使いながらワンタッチを取っていたし、読みというか頭を使ってブロックしているのが印象的。高橋選手は頭を非常に使うスマートなブロッカーで、横の動きも速く手の出し方もきれい。速攻に対しほとんどワンタッチか止めていて、ブラジルにとても通用していた。今までなら、相手の速攻に一発で切られたり簡単に決められたりするケースが多かったが、それがなくなったことが大きい」と成長を感じ取っていた。
  ともに高校入学後、バレーボールを始めた遅咲きの選手。バスケットボールから転向した山内に対し、野球から転向した高橋健太郎。2人は石川、柳田将洋とともに東京五輪で主力選手になることを目指して結成された「NEXT4」のメンバーだったが、高橋健太郎はケガなどもあり思うような成長曲線を描けなかった。「エンジンにボディが付いてこず、ケガが成長を妨げていた」(南部正司・男子強化委員長)が、「自分の身体と向き合い、どう体をコントロールすればいいか、自分の中で消化できるようになった」(小林敦・東レGM)ことで、ケガを克服。さらに、東京五輪メンバーから漏れたことを発奮材料に変え、V1リーグの21-22年シーズンでは、ブロック決定本数でリーグ1位に輝いた。
 

「私たちのチームパフォーマンスで世界基準を下回っているのは、ブロックとトランジションアタック及びハイボールのアタック。効果率が最も離れているのはブロックで、このギャップを埋める必要がある」というブラン監督は、「VNL期間中に、キルブロック数の明らかな増加を確認することができることを願っている」と手応えを話す。

 日本時間9日から始まるVNL第1週で世界ランキング11位の日本は、オランダ(世界ランキング15位)、中国(同22位)、米国(同7位)、イラン(同10位)と対戦する。

「五輪出場権獲得が新方式になり、世界ランキングを決めるポイントが付与される、重要で結果を問われる大会。第1週の目標は、世界ランキング下位の対戦相手とイランからポイントを獲得し、トップ10のチームに勝利しようとする野心を持つこと」とブラン監督。
2018年から始まった大会で、日本代表は12位、10位(19年)、11位(21年)と、上位8チームによるファイナルラウンド進出を果たせていない。

「チーム内で話し合い、ファイナル8進出が最大の目標と決めている。非常に難しい、厳しい戦いになるが、僕たちがステップアップするためにも、そこに向けて戦っていきたい」と、力強く結んだ石川。

 東京五輪まで、コーチとして実質的に戦術面などの指揮を執っていたブラン氏が監督に就任して初めて迎える国際大会。パリ五輪に向けスタートを切るチームの成長ぶりが楽しみだ。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や、ティリ・ロラン氏のV1パナソニック監督就任などを先行報道した。関西運動記者クラブ会友。

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