【NBAドラフト候補】名は2年連続MVPの大先輩と一文字違い。将来性抜群の大型ウイング、ニコラ・ヨビッチ<DUNKSHOOT>

【NBAドラフト候補】名は2年連続MVPの大先輩と一文字違い。将来性抜群の大型ウイング、ニコラ・ヨビッチ<DUNKSHOOT>

セルビア期待の19歳、ニコラ・ヨビッチ。長身のオールラウンダーで、6月のドラフトでは1巡目指名が予想されている。(C)Getty Images

来週開催されるNBAドラフトで、注目されている欧州選手の1人が、セルビアのニコラ・ヨビッチだ。

 彼の名前をローマ字で書くと「Nikola Jovic」。一瞬スペルミスか?と、二度見してしまうのも無理はない。NBAで今季2シーズン連続のMVPに輝いた同国の大先輩、ニコラ・ヨキッチとは1文字違いなのだ。

「おもしろいことに、みんないつも名前の話をするんだよね」と本人もインタビューで話しているのだが、所属クラブもヨキッチを輩出したセルビアのメガ・バスケットと同じ。しかしまだ、当人同士は直接対面したことはないらしい。

 一方で、プレースタイルやポジションは異なる。208cmのヨビッチのポジションはスモールフォワード/シューティングガードで、ペリメーターが主戦場。ユース世代のチームでは、1番から4番までこなしていた。

 そんなヨビッチの評判を一気に高めたのは、ユーロリーグが主催する昨季の「アディダス・ネクストジェネレーション・トーナメント」。ユース版のユーロリーグで、若手発掘の宝庫と言われているため、毎年スカウトマンが目を光らせている大会だ。
  3都市で行なわれる予選のベオグラード大会で、ヨビッチは毎試合ゲームハイの得点を叩き出すなど躍動。レッドスターと対戦した予選ファイナルでは32得点、12リバウンド、7アシストとすべてでゲームハイの数字を残してチームを勝利に導いた。

 この大会では最終的に平均29.3点、10.3リバウンド、4.5アシスト、1.8ブロックをマーク。決勝ラウンドでは惜しくも敗れたが、その直後にラトビアで開催されたU19ワールドカップでも、今年のドラフトでトップ5以内の指名が有力視されているゴンザガ大のチェット・ホルムグレン、パデュー大のジェイデン・アイビー、そして来年のNo.1指名が予想されているフランスのヴィクター・ウェンバンヤマらとともにオールトーナメントチームに選ばれた。

 アメリカが優勝したこの大会をセルビアは4位で終えたが、ヨビッチ自身は5人の中で最多(大会3位)の平均18.1点をマークしている。 2003年6月生まれで、19歳になったばかりのヨビッチは、父親がバスケットボール選手としてプレーしていたイングランドのレスターで生を受けた。

 9歳でセルビアに戻った彼がプレーしていた競技は、同国で同じく人気の高い水球。バスケに転向したのは12歳頃で、ルカ・ドンチッチが13歳ですでに欧州にその名を轟かせていたことを思うと「遅咲き」だと言える。それでも、セルビアの小クラブKKサヴァでプレーを始めると、すぐに頭角を現わした。

 1試合に3ポイントシュートを11本も沈めた試合もあったが、本人いわく「自分は痩せていて、密集地で揉み合いになるのが嫌だったから、離れたところから打った」とケロリと話すような少年だった。

 プレースタイルもそんな飄々さを象徴している。長い腕でしなやかにフェイントをかけ、ミスマッチを生かしたパスで味方の得点を生み出したかと思うと、打点の高いジャンプシュートで次々とネットを揺らす。

 15歳でメガ・バスケットに入団すると、当時のユースチームのコーチはすぐに彼のポテンシャルを察知し、先発メンバーに抜擢。17歳でアドリアリーグにデビューした時も、新人とは思えない落ち着きで水を得た魚のごとくコートを駆け回った。

 識者のなかでは身体能力を疑問視する声もあるが、このサイズでこれだけ動ける敏捷性は特筆もの。まだ“素材”といった粗さはあるが、プレーに華があって、とにかく見ていて楽しい。
 「よく走って、とにかくシュートを打つ、NBAのプレースタイルが好きなんだ。僕は大きいし、走れるし、シュートも打てる。すぐにでもNBAのレベルでプレーできると思っている」と、本人も自信を覗かせている。

 1週間ほど前には祖国のヒーロー、ヨキッチが所属するデンバー・ナゲッツに招かれてワークアウトを行なったが、そこでのシューティングやボールハンドリングの様子を収めたショートビデオは、ソーシャルメディアを賑わせている。

「いろいろなものを少しずつ見せた感じだった。ショット、パス、ディフェンス、ローポストでのプレー。僕は、コーチが自分に求めているプレーをする準備ができている。コーチがスポットアップのシューターであることを望むならそうなれるし、トランジションでプレーしてほしいと言われればそうする。5つのポジションをすべて守れと言うのなら、それもトライする」。ワークアウトの後、ヨビッチはそう意気込みを語っていた。

 各メディアによるドラフトの順位予想は、1巡目の20〜25位といったところ。ミルウォーキー・バックスやサンアントニオ・スパーズなどが候補に挙がるなか、もちろん「ナゲッツに入団してヨキッチ&ヨビッチコンビ結成」を予想するものもある。

「ヨーロッパとアメリカでは、ゲームがまったく違う。難しいとは思うけれど、好きなら、そして情熱があるなら、きっと大丈夫だ」。そんなコメントからも“大物感”が漂うヨビッチ。将来オールスター級の選手になりそうなポテンシャルを感じさせる選手だ。

文●小川由紀子

関連記事(外部サイト)