「クレイジーだ」10日間契約からチャンスを掴んだペイトン二世「父よりも早く優勝できるとは思ってなかった」<DUNKSHOOT>

「クレイジーだ」10日間契約からチャンスを掴んだペイトン二世「父よりも早く優勝できるとは思ってなかった」<DUNKSHOOT>

ペイトン二世は10日間契約からローテーション入りを果たし、ファイナルでも活躍。親子2代でNBAチャンピオンとなった。(C)Getty Images

現地時間6月16日に行なわれたNBAファイナル第6戦で、ゴールデンステイト・ウォリアーズはボストン・セルティックスを103−90で下し、4勝2敗でシリーズを制してチャンピオンとなった。

 満場一致でファイナルMVPに輝いたステフィン・カリーを筆頭に、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、アンドレ・イグダーラ、ケボン・ルーニーというベテラン陣は複数回の優勝を飾ったが、今回は初優勝組が大部分を占めた。

 アンドリュー・ウィギンズ、ジョーダン・プール、オットー・ポーターJr.にネマニャ・ビエリツァ、ジョナサン・クミンガ、モーゼス・ムーディーといった選手たちにとっては、初のNBAチャンピオンという申し分ない称号をキャリアに加えたのである。

 そして初優勝組の中ではゲイリー・ペイトン二世の存在も見逃せない。昨年4月に10日間契約で加入した左利きのガードは、2度の10日間契約を経て翌5月に本契約を締結。今季開幕前にウェイブされるも、再び契約を結んでキャリア6シーズン目をスタートさせたが、シーズン序盤にビデオコーディネーター役を願い出たほど、そのNBAキャリアは困難なものだった。

「本当にクレイジーさ。僕にとっては学ぶことの多い貴重な経験になっている。これまで得た全ての経験、失敗の数々が自分を形成してくれたから感謝している」
  優勝後の会見でそう語ったペイトン二世は、殿堂入りした偉大なポイントガード(PG)を父に持つ二世選手。しかしドラフトで2位指名を受けた父とは異なり、自身は2016年ドラフトで指名漏れ。ウォリアーズに入るまでNBA3チーム、Gリーグ4チームでプレーしてきたジャーニーマンだった。

 だが今季はウォリアーズでローテーション入りし、レギュラーシーズンで71試合(うち先発は16試合)に出場して平均17.6分、7.1点、3.5リバウンド、1.4スティールを記録。デンバー・ナゲッツとのプレーオフ1回戦でも全5試合に出場した。

 そしてメンフィス・グリズリーズとのカンファレンス・セミファイナルでは、ディフェンス力を買われて先発に抜擢され、第1戦では8得点、7リバウンド、3アシストで勝利に貢献していた。

 ところが、第2戦の序盤にハードファウルでコートへ落下した際に左ヒジを骨折。約1か月間の戦線離脱を余儀なくされていたのだから、こうしてファイナルで復帰して優勝チームの一員になれたことは本人にとっても感慨深いだろう。

「もの凄く大きいことだ。クレイジーだね。こんなことが実際に起こるなんて全く思ってもいなかった。それに彼(父)よりも早く優勝できるとも思ってなかったよ」 ペイトン二世はファイナル初戦こそコートへ立てなかったものの、翌第2戦から出場し、第5戦では15得点、5リバウンド、3スティールの大活躍。シリーズでは5試合の出場で平均7.0点、3.2リバウンド、1.4アシスト、1.6スティールにフィールドゴール59.1%を残した。

 ファイナル終了後、父ペイトンSr.は『NBA TV』へ出演。「息子がチャンピオンシップを勝ち取るのを観ることができた。父親として彼の成長を見守り、(現役時代には自分の)ボールボーイをしていた男がやってのけた。自分の時よりも今日の彼を見ることの方が、より満足のいくものだと思うね」と目を細めていた。
  父は1996年にシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)の主力としてファイナル進出も、マイケル・ジョーダン率いるシカゴ・ブルズに2勝4敗で敗退。それから10年の月日が経過した06年、37歳の時にマイアミ・ヒートの控えPGとして悲願の初優勝を果たした。

 ペイトン二世は今夏に制限なしフリーエージェント(FA)となるため、来季もウォリアーズでプレーするかは不明。それでも今年チャンピオンチームの一員となったことは、間違いなく今後のキャリアに向けてプラスに働くに違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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