伝説ピケ、ハミルトンへの人種差別発言でF1界から“総スカン”。過去にはライバルやその家族への侮辱も

伝説ピケ、ハミルトンへの人種差別発言でF1界から“総スカン”。過去にはライバルやその家族への侮辱も

ハミルトンへの人種差別発言について謝罪と釈明をしているピケ。だが、彼に対する周囲の視線は冷ややかなものだ。(C) Getty Images

モータースポーツ界が、様々な“舌禍”で揺れている。F2ではレッドブルジュニアチームに所属していたユーリ・ヴィップスがゲームのライブ配信の際に人種差別的な言葉を使ったため、活動停止処分を経て、テスト兼リザーブドライバーとしての契約を打ち切られた。

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 また、かつてF1の最高責任者を務めてきた“重鎮”バーニー・エクレストンが先日、英国放送局のインタビューで、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのウラジーミル・プーチン大統領を「彼は一流の人間だ」と称賛、擁護するとともに、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を「戦争回避に失敗した」と批判。国際的に大きな物議を醸している。

 この91歳の発言に対し、侵攻に反対してロシアのチーム、ドライバー、スポンサーの締め出しといった行動をとっているF1は、「バーニー・エクレストンの一連のコメントは、彼の個人的な見解であり、F1の現代的な価値観とは全く対照的なものである」との声明を発表した。

 数年前にもエクレストンが「黒人の方が白人より差別的」と発言した際にも「人種差別と不平等に取り組むうえで、団結が必要な現在、同氏の発言には全く同意できない」と、組織としてのスタンスを示したF1。先日も、F1レジェンドの過去の人種差別的発言に対して、「差別的、人種差別的な発言は、どのような形であっても許すことはできず、これが社会と馴染むものではない」とメッセージを発している。

 これは、1981、83、87年と3度の世界王者に輝いた元ブラジル人ドライバーのネルソン・ピケが昨年、イギリス・グランプリでルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが接触して後者が大クラッシュを喫して病院へ搬送された際、ポッドキャストにおいて前者をNワード(黒人に対する差別用語)を使って非難したことに端を発している。
  最近になってこの音源がSNSで拡散され、大きな問題となった。前述のF1の他、FIA(国際自動車連盟)、メルセデス、そして当事者のハミルトンも人種差別に反する声明を発表。ピケは「私の発言には思慮が足りなかった。弁明の余地はない。ルイスをはじめ、不快な思いをさせてしまった方々には心から謝罪したい。F1でも社会でも、差別は絶対に許されない」と謝罪したものの、以下のようにも弁明した。

「SNSに出回っている一部のメディアの翻訳は正しくない。私が使った言葉は、ブラジルのポルトガル語では『男』や『人』の代名詞として、昔から普通に使われてきたものであり、決して不快な思いを与える意図はなかったと強調しておきたい。ルイスを肌の色で侮辱するために、この言葉を使ったという指摘に対しては強く抗議する」 この発言については、この接触で壮絶なクラッシュを喫したフェルスタッペンが、娘ケリーの恋人であることも関係しているとの指摘もあるが、現役時代から自由奔放な言動で有名だったピケの、数ある舌禍の中のひとつにすぎないという声もあり、イタリアのスポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は、69歳になった彼の過去の“問題行動”を紹介している。

 ここでは、さまざまな問題が取り上げられている。たとえば、ブラバム時代の1982年ドイツGPでATSのエリセオ・サラザールと接触してリタイアとなった後、激怒してこのチリ人ドライバーに暴行を働いた問題もそうだ。

 さらに1987年に同郷の後輩ながら不仲が噂されたアイルトン・セナを「ゲイ」「同性愛者」と呼んで告訴を通達されたエピソードや、そのセナの死後にも「ダーティードライバー」と評した問題がクローズアップされた。他にもアラン・プロストを豚呼ばわりし、ナイジェル・マンセルを「無知で理屈っぽく、失礼なバカ」と酷評し、さらに彼の夫人まで「醜い」と侮辱したことなどが記された。
  昔から一夫多妻を実践して賛否を受けてきた自由人は、2008年には息子のピケ・ジュニアが所属チームのルノーからの指示で故意にクラッシュしたと告白した、いわゆる「クラッシュゲート」でもスキャンダルの渦中に置かれたことがあるが、この時は後にルノーから全面謝罪と損害賠償を受けている。

 今回は加害者として謝罪したものの、F1側からは今度、パドックに入ることが禁じられたとも報じられているピケ。ハミルトンは今回の件で「時代遅れな価値観は変わっていくべき」と語ったが、昔ながらの奔放さが、今回ばかりはレジェンドに大きな代償を支払わせたようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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