【F1】英国で2人のドライバーの命を救った「ヘイロー」の効果に改めて脚光!導入時は反対多数も「再び“救済者”となった」

【F1】英国で2人のドライバーの命を救った「ヘイロー」の効果に改めて脚光!導入時は反対多数も「再び“救済者”となった」

日本では「草履の鼻緒」と揶揄されることもあったヘイロー。写真のフェルスタッペンも当初は反対していたが、奇しくも自身と接触したハミルトンをヘイローによって守ることにもなった(写真は2016年)。(C) Getty Images

7月3日、イギリスのシルバーストーン・サーキットでは、2度の壮絶なクラッシュが見る者を凍り付かせた。

 最初は、F2第7戦でのフィーチャーレース1周目。セクター3でロイ・ニッサニー(DAMS)とのバトルから行き場をなくしたデニス・ハウガー(プレマ・レーシング)がコースアウトして直進、ソーセージ縁石に乗り上げて宙に浮いた状態で進むと、ちょうど左コーナーを過ぎたニッサニーの頭上に落下した。
仲を深める“角田裕毅&ガスリー”に「予想だにしなかった友情」と海外メディアも注目! 「ファンも夢中」「歴史に刻まれる」 2度目はF1第10戦のスタート直後。ピエール・ガスリー(アルファタウリ)と接触してコントロールを失ったジョージ・ラッセル(メルセデス)に右リアタイヤをヒットされたジョウ・グァンユのアルファロメオが横転したままアスファルト上を滑り、さらにグラベルを突き進んで回転しながら宙を舞い、タイヤバリアを飛び越えてフェンスとの隙間に挟まる形で止まった。

 いずれも、最悪の事態となる可能性もある重大なアクシデントだったが、前者ではニッサニーは無傷で自らコクピットを降り、後者ではジョウがマーシャルによって車から助け出され、サーキット内のメディカルセンターに運ばれたものの、間もなくチームがSNSで「意識もあり、身体も動かせている」と発表。ジョウはレース後に元気な姿を見せ、自身のSNSで「僕は大丈夫。どこも異常はない。今日は『Halo』に救われた。みんな温かいメッセージをありがとう!」とのメッセージを投稿した。

 ジョウのアクシデントでは、自ら原因を作ったことで車を降りるとすぐに彼の元へと駆け付けたラッセルが「今まで見た中で最も恐ろしいクラッシュのひとつ」、またガスリーは「ジョウの事故は非常に恐ろしく、彼が逆さで滑っていくのを見るのは衝撃的だった」と、それぞれ振り返っている。

 この2つの恐ろしい事故から2人のドライバーを救ったのが、ジョウのSNSでも言及された「Halo」(以下、ヘイロー)で、海外の多くのメディアも改めてこのデバイスにスポットライトを当てている。ドライバーの頭部を保護するため、フォーミュラーカーのコクピット周辺に取り付けられている環状の防護装置であり、その素材は航空宇宙産業でも用いられる最高グレードのチタニウムで、その強度は「2階建てのロンドンバスを載せても耐えられる」と表現されるほどのものである。

 頭部の保護はモータースポーツ、特に身体が剥き出しとなるフォーミュラーカーの古く、からの課題であり、以前はロールバーだけがその役割を担っていたが、パーツなどが飛んでドライバーのヘルメット(頭部)に当たるアクシデントには対応できず(マーシャルの消火器が直撃したトム・プライス、クラッシュの際に飛んだタイヤやサスペンションの直撃を受けたアイルトン・セナらの死亡例も)、2009年に立て続けに重大な事故が起こったことでついに運営側が動き始め、幾つかの形態の中から現在の「ヘイロー」が生まれた。
  2018年から導入されたこのデバイスに対しては、しかし見た目の悪さ、視界の問題、あるいは脱出時の妨げになるなど、様々な理由で反対意見も多く、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、「見た目の問題だけでなく、これが必要だとは思わない」と語っていたが、昨季のイタリアGPでは彼のマシンがメルセデスに乗り上げた際、ヘイローがルイス・ハミルトンの頭部を守ってみせた。ハミルトンは当時、「僕は本当に、本当に幸運だ。ヘイローのおかげで僕の首は守られた」と語っている。
  F1ジャーナリストのクリス・メドランド氏は、今回のF2の事故について「ヘイローがニッサニーの生命を守った。これは100%間違いない」とSNSで指摘し、F1コメンテーターのトム・ゲイマー氏は「ヘイローは再び救済者となった」と語り、また「脱出時に邪魔になるという意見もあるが、それは問題でないことも証明されている」と主張している(英国のスポーツ専門チャンネル『Sky Sports』より)。

 日本でも「草履の鼻緒」と揶揄されることのあったヘイロー。FIAによれば、これを装着することでドライバーの生存率は17%高まるとのことだが、前述の3つの例の他、2020年バーレーンGPでのロマン・グロージャン(当時ハース所属)が大クラッシュから生命を救われるなど、その効果は絶大と思われる。もっとも、このデバイスがその効果を発揮する機会が訪れないことが最も重要なことである。

構成●THE DIGEST編集部
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