大きな話題となったエンビードのフランス国籍取得。仏代表選手やHC、そしてカメルーン側の反応は<DUNKSHOOT>

大きな話題となったエンビードのフランス国籍取得。仏代表選手やHC、そしてカメルーン側の反応は<DUNKSHOOT>

はたしてフランス代表チームで、エンビード(右)とゴベア(左)の共闘は実現するのか。(C)Getty Images

ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)のフランス国籍取得は、当然ながら同国のスポーツ界では大きな話題になっている。

 真っ先にフランスのスポーツ紙『レキップ』の取材に応じたのは、フランス側でなくエンビードの出生地カメルーン側。カメルーン代表のサシャ・ギファHC(ヘッドコーチ)は次のようなコメントを発した。

「彼は個人的な理由があってフランス国籍を選んだのだと思うが、(カメルーン代表への)ドアは開いている。彼がその気になったときに来てくれたらいい。それまで我々は待ちながら、精進し続ける」

 またカメルーン・バスケットボール連盟のサミュエル・エンドゥク会長も「彼はフランス国籍を取得したが、当面は(フランス代表で)一緒にプレーしたいとは言っていない。彼はまだカメルーン人だ」と、エンビードのカメルーン代表入りに希望を持っている様子だ。
  ギファHCは「すべての才能ある選手が同じことをしたら、アフリカ大陸にとって悲しいことだ」ともコメント。実際、NBAで活躍している選手のなかで、アフリカ出身ながらアメリカ国籍を取得してチームUSAを選ぶ選手は少なくない。アトランタ五輪で金メダルに輝いたチームUSAのメンバー、アキーム・オラジュワン(元ヒューストン・ロケッツほか)もジュニア時代はナイジェリア代表でプレーしていた。

 そういった背景もあるため、現カメルーン代表でトロント・ラプターズのパスカル・シアカムがプレーしていることを、彼らは非常に誇りにしている。

 一方、フランス代表の連盟やコーチ陣は、エンビードの国籍取得については現在まで一切コメントしていない。

 ちなみに、フランス代表のヴァンサン・コレHCとギファHCは、奇しくもパリ郊外のプロクラブ、メトロポリタン92のHCとアシスタントコーチという間柄。そしてメトロポリタン92の会長は、フランス代表のチームマネージャー、ボリス・ディーオウ(元サンアントニオ・スパーズほか)。きっと内々では、エンビードの件について意見を交わしているだろうが……。
  フランス代表の選手たちからは、ポツポツと意見が出始めた。最初に口を開いたのは、オリンピアコスに所属する身長218cmのセンター、ムスタファ・フォールだ。

「彼を起用できるなら、そうしない手はない。NBAで毎試合のようにMVPになれる選手だ。彼とルディ・ゴベアが組んだらきっと何か起こせるよ。コレHCはビッグマンを使うのを好むからね。ツインタワーもあり得る。エンビードはシュートも打てるから、4番もあるかもしれない」

 昨年の東京五輪ではフランス代表の一員として銀メダルを手にしたフォールは、センターのヒエラルキーでゴベア、ヴァンサン・ポワリエ(元シクサーズほか)に次いで3番手。よってエンビードが加われば、自分のポジションが危うくなる。しかし「もちろん気にはなる。でも自分より優れた選手がいれば、その選手がプレーするというのがスポーツ界の法則だ」と潔い。

 そして、現在バスケットボールクリニック主催のためフランスに帰国中のゴベアも、日曜紙『JDD』にコメントを寄せた。
 「ジョエル・エンビードのような選手は、世界に1人しかいない。だから、そうだね。いつか彼がフランスチームのジャージを着てプレーするところを見たい。その決断をするのはHCだ。でも、彼のような才能に『ノー』と言える人はいないだろう。我々のチーム、ケミストリー、そしてプレーの原則に合った選手で、彼自身にもそれらに適応しようとする準備ができている限り、我々にとって素晴らしい戦力になるはずだよ」

 先日、ユタ・ジャズからミネソタ・ティンバーウルブズにトレードされたオールスターセンターは、チームマネージャーのディオーウがフランス代表の主力メンバー一人ひとりに、エンビードについて意見を求めていたことも明かしている。

「すべてのプレーヤーを代弁することはできないけれど、もしジョエルがメンバーに選ばれたら、もちろん歓迎されるさ」

 エンビード自身は、5月にも指の手術を受けるなど故障がちな身体のコンディション調整を優先するため、フランス代表入り以前に、国際マッチへの参加自体について明確な発言はしていない。
  しかしエンビードとゴベアは、以前フランス代表で共闘することについて、直に話し合ったこともあったそうだ。

「ジョエル(エンビード)とは、何年か前にその可能性について話をしたことがあった。その時はまだまったく具体的な話ではなかったけれどね。彼は僕たちと一緒にプレーしたいと言ってくれていたよ」
  ゴベアはウルブズでカール・アンソニー・タウンズと、そして代表ではエンビードとツインタワーを形成することになるのだろうか。今年のユーロバスケットでの実現はまずないが、来年のワールドカップでは、コンディション次第ではエンビードのフランス入りはあるかもしれない。フランス連盟にとっても、2024年のパリ五輪で金メダル獲得の可能性がアップするような戦力は見過ごせないはずだ。

 主要メンバーたちのポジティブなコメントが出てきたことで、エンビードのフランス代表入りは、徐々に現実味を帯びてきた。

文●小川由紀子

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!

関連記事(外部サイト)

  • 記事にコメントを書いてみませんか?