「日本の男子バレーは終わった」――2大会五輪不出場の“どん底”から這い上がった龍神NIPPON!躍進を支えた“2つの武器”とは?

「日本の男子バレーは終わった」――2大会五輪不出場の“どん底”から這い上がった龍神NIPPON!躍進を支えた“2つの武器”とは?

東京五輪でベスト8入り、2022年のネーションズリーグでは5位と着実に力をつけている日本の男子バレー。(C)Getty Images

男子バレーネーションズリーグが7月24日(現地時間)、イタリア・ボローニャで閉幕した。

 決勝ラウンド進出を果たした日本は準々決勝でフランスに敗れたが、予選ラウンドの結果をもとに決定する最終順位は5位。優勝したフランス、2位のアメリカ、3位のポーランド、4位のイタリアに次ぐ堂々たる成績を残した。

 振り返れば、東京五輪に出場するまでは08年の北京五輪以降2大会五輪出場を逃し、その間12年のロンドンで銅メダルを獲得した女子バレーに人気、実力、期待度の差は比べるにも値しないほど離されていた。五輪だけでなく14年の世界選手権出場も逃し、まさにどん底ともいうべき時代も経験。「日本の男子バレーは終わった」「日本の男子バレーはつまらない」という心無い声も多かった。

 だが今はどうか。東京五輪ではカナダ、イランといった強豪相手に競り勝ち、目標としていた決勝トーナメント進出を果たした。無観客だった五輪ではかなわなかったが、空席が多かった会場にもファンが押し寄せ、7月に大阪で開催されたネーションズリーグは連日超満員の人気ぶり。石川祐希、西田有志、橋藍といった人気選手の存在もさることながら、どんな相手とも互角に戦える。そんな期待の背景には、日本代表の成長があるのは間違いない。
  日本代表はなぜ強くなったのか。

 その理由はいくつかあるが、ひとつは2017年に中垣内祐一監督が就任した際、戦術、戦略面の中心となるコーチにフィリップ・ブラン現日本代表監督を招聘したことが大きい。高さやパワーで劣ると考えられ、これまでは日本独自のスピードやスタイルを追求してきたが、ブラン氏がコーチに就任したことで日本独自を貫くのではなく、世界と同じスタイルで日本の長所を活かすスタイルへ変貌を遂げた。
  その軸になったのがリスクを恐れず攻めるサーブと、サイドのみに偏らずコート中央から仕掛けるミドルブロッカーの攻撃と、同じテンポで仕掛けるバックアタックだ。

 以前は変化を用いるジャンプフローターサーブが多く見られた。しかしボールが変わり、空気抵抗が減ったことで、落差をつけるよりもスピードがより効果的になった現在は、ジャンプサーブが主流になった。“ビッグサーバー”と称される選手が多く存在するようになり、「サーブミスをしないように入れていけ」ではなく「ミスを恐れず攻める」ことが当たり前になった。

 日本代表でも前主将の柳田将洋や、西田といった“ビッグサーバー”が増え、たとえ劣勢になっても1本のサーブから一気に流れを引き寄せることが可能になった。今年のネーションズリーグでも石川が何度も「サーブが武器」と口にしてきたように、石川、西田は大会出場選手の中でサーブランキング2、3位に入るなど数字上でも日本のサーブ力を見せつける形になった。
  そこに加えて、これまではエース=アウトサイドヒッターという図式が強く、試合時も大半がレフトやオポジットにボールが集まりがちだった攻撃に変化が生まれた。セッターのセレクトも「ミドルを使える」「バックアタックを活かせる」ということも大きな要素を占め、ネーションズリーグでも主軸として活躍した関田誠大に加え、東京五輪に出場した藤井直伸の存在もチームの躍進につながる大きな要因となった。

 東京五輪を終え、今年度に入りメンバーの変更もあったが、取り組むバレーは変わらない。ネーションズリーグでもイタリア、イランといった強豪国に勝利した背景には、「サーブで攻める」「ミドルとバックアタックを効果的に使う」というこれまでの武器は十分発揮されていた。

 しかしさらに上のステージ、ベスト8の壁を破りメダル争いを繰り広げるためには、ミドルブロッカーの攻撃力はさらなる課題であるのは間違いない。特に予選ラウンド最終日のブラジル戦ではミドルブロッカーの攻撃力の差は歴然としていた。打数や決定本数が上がれば、攻撃力に厚みが増し、さらに勝機も高まる。

 1か月後に始まる世界選手権で躍進を果たすために、日本のミドルブロッカーがどれだけ進化を遂げるか。そしてそのミドルからの攻撃をどれだけ効果的に使えるかが上位進出、メダル獲得へのカギを握るのではないだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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