レブロンも絶賛する昨季新人王バーンズ。オールスター級への軌跡を歩む俊英の“手応えと課題”とは<DUNKSHOOT>

レブロンも絶賛する昨季新人王バーンズ。オールスター級への軌跡を歩む俊英の“手応えと課題”とは<DUNKSHOOT>

昨季新人王のバーンズ(右)について、レブロン(左)は彼が中学の時から「もの凄い選手になる」と予見していたという。(C)Getty Images

NBAプレーヤーにとって、キャリアでたった一度しか受賞チャンスがないアウォード。それは、デビューした年にだけ選ばれる権利を持つルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)だ。

 そして2021−22シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのは、トロント・ラプターズのスコッティ・バーンズ。ラプターズ史上3人目の新人王だった。球団結成の初年度1995−96シーズンにポイントガードのデイモン・スタッダマイアーが、そして1999年に名スラムダンカーのヴィンス・カーターが、この映えある賞に選出されている。

 バーンズの昨季成績は平均15.3点、7.5リバウンド、3.5アシスト。3月のロサンゼルス・レイカーズ戦ではシーズンハイの31得点、17リバウンドをマークした。

 この時の対戦相手だった“キング”レブロン・ジェームズは「あのサイズと能力があれば、特別な選手になるだろうとは思っていた。だから(バーンズの活躍は)まったく驚きではない」とコメント。レブロンはバーンズがまだ中学1年の頃、初めて彼がプレーする姿を観た時、親しい仲間に思わず「彼はもの凄い選手になる」と漏らしたという秘話も明かしている。
  称えるのは“キング”だけではない。ラプターズはプレーオフ1回戦、フィラデルフィア・セブンティシクサーズに4勝2敗で敗れたが、バーンズのパフォーマンスを観たマジック・ジョンソン(元レイカーズ)も「彼には間違いなく“ショータイム”の要素があるね」と称賛していた。

 ディフェンス力があるバーンズは、渡邊雄太ともたびたび良いコンビネーションを見せた。そういえば渡邊は、バーンズの写真がプリントされた“ルーキー・オブ・ザ・イヤー記念Tシャツ”を着て、試合後の会見に登壇したこともある。

 バーンズ自身も、1年目の自身のプレーには手応えを得ているようだ。ルーキーイヤーを振り返り、『SLAM』マガジンに次のように語っている。

「コート上で自分のいるべきスポットはどこか、自分はどこで得点できるのか、そして、フロアの両端でどのように自分の存在感を示せばいいのかがわかるようになった。それにどうやって仕掛けていけばいいか感触が掴めたから、これからはもっとゲームにインパクトを与えられるようになると思う。1年を通して賢くなったよ。コールだとかゲームにまつわる色々な細かいことについて、NBAがどんな風に機能しているのか理解できた」 この発言からも伺える彼の聡明さは、レブロンも前述の対戦後「競争心のある選手や勝利への執念を持った選手は大勢いるが、スコッティ・バーンズについて特筆すべきは、それを実現するためのバスケットボールIQを持っているということだ」と指摘している。

 同時に、バーンズは1年目で浮き彫りになった課題も挙げている。

「シーズンの最初の頃は、とにかくエネルギッシュさを発揮していた。でも、あまりに出しすぎると、次のポゼッションでガス欠になってしまったんだ。大学時代は3、4分いいプレーをしたら交代して、という感じだった。でも今は、ゲームを通してエネルギーをキープできるような出し方が必要だと学んだよ」
  彼の爆発力はチーム全体のリズムを上げることにもつながっていたが、本人は“出力”のバランスについて工夫する必要があると感じていたようだ。

 このオフは故郷のフロリダとトロントを行ったり来たりしながら、よりシュートレンジを広げ、なおかつ安定してショットを決められる、相手にとって“アンストッパブル”なオールラウンダーになるべくトレーニングを積んでいるという。

 ところで、冒頭に挙げたスタッダマイアーとは、現在彼がボストン・セルティックスのアシスタントコーチを務めていることもあり、昨年11月のセルティックス戦の前日、市内のデパートで買い物中に偶然出くわすという運命的な出来事があった。

 その時、ラプターズの初代新人王はバーンズに「ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙え!」と真剣に説いたのだという。高校の頃からバーンズを観察していたというスタッダマイアーは、自分がルーキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した年にはまだこの世に生を受けていない後輩に「自分のやるべきことをしっかりやり続けて、いつかこのリーグを制圧するんだ」と熱く語ったそうだ。 ヴィンス・カーター、デマー・デローザン、カワイ・レナード、カイル・ラウリー……。トロントで活躍した選手たちは、トロント市だけでなく、カナダの英雄となり、やがてオールスター、チャンピオンとなり、NBAを象徴する選手となった。バーンズもそんな彼らの系譜を辿っていると、大先輩は見ているようだ。

 そして「トロントにドラフトで指名されたことは、この世の何物にも替えがたい出来事」と語るバーンズのトロント愛も、相当に熱い。
 「自分にぴったりの居場所を見つけたような気がした。トロントの人々はいつも僕を応援してくれる。それにカナダの国全体が僕を応援してくれて、愛を注いでくれる。まるで僕たちみんながひとつの大家族であるみたいなんだ」

 すでにトロントのヒーローとなりつつあるバーンズは、着実に、オールスタープレーヤーへの軌跡を辿っている。

文●小川由紀子

【PHOTO】NBA最強の選手は誰だ?識者8人が選んだ21世紀の「ベストプレーヤートップ10」を厳選ショットで紹介!

関連記事(外部サイト)