ドイツの番狂わせ、激戦に終止符を打ったヤニス、王者に起きたコート外のトラブル……初戦後のユーロバスケットをプレーバック<DUNKSHOOT>

ドイツの番狂わせ、激戦に終止符を打ったヤニス、王者に起きたコート外のトラブル……初戦後のユーロバスケットをプレーバック<DUNKSHOOT>

クロアチアとの激闘を制したギリシャ。その立役者となったのは、やはりヤニスだ。(C)Getty Images

9月1日に開幕したユーロリーグは、全チームがグループリーグの初戦を終えた。

 最大のサプライズは、ドイツのケルンで行なわれた、ホスト国ドイツとフランスの対戦。昨年の東京五輪銀メダリストで、今大会の優勝候補の一角とも言われているフランスが、ドイツに63-76と13点差で敗れたのだ。

 とはいえ、これを「番狂わせ」と呼ぶのは少しばかりドイツに失礼だろう。彼らは4日前の28日、ワールドカップ予選でスロベニアを90-71で下しているからだ。

 この試合でルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)はゲームハイの23得点をあげたが、ドイツはデニス・シュルーダー(無所属)が17得点に10アシストとゲームメイクに奔走。そしてなんといっても、組織的なディフェンスが固い。このワールドカップ予選とユーロバスケットに向けて、時間をかけて準備してきた成果が現われている。
  一方のフランスも、合宿期間は十分にあったが、負傷者が続出してメンバーが入れ替わるなどコンディションが安定せず。仕上がった感がないまま、本戦直前のワールドカップ予選もボスニア・ヘルツェゴビナに96-90で敗れると、ドイツとは対照的に、この悪い流れの状態で本戦に突入してしまった。

 奇しくも、ドイツ、スロベニア、フランス、ボスニア・ヘルツェゴビナはみな同じグループBで、再び今大会でも顔を合わせることに。そして初戦を終えて首位に立っているのは、グループ内で最多の得失点差をつけたドイツだ。

 ディフェンディングチャンピオンのスロベニアは、初戦で難敵リトアニアを撃破。この試合の前、宿泊先のホテルにチームバスが迎えにこず、選手たちは急遽タクシーに分乗して会場に向かうというアクシデントがあったが、選手たちは平常心を保って接近戦を制した。

 大男たちがギュウギュウ詰めでタクシーに乗っている様子を、スロベニア代表のゴラン・ドラギッチ(シカゴ・ブルズ)は写真付きで『欧州チャンピオンにお迎えのバスが用意されていないなんて、グッジョブ@Eurobasket 』とSNSに投稿している。 そして2日に行なわれた試合では、グループCのギリシャ対クロアチア戦が白熱の一戦となった。

 ヤニス、タナシス、コスタスのアテトクンボ3兄弟を擁するギリシャは、序盤こそ相手に先手をとられるも、タナシスとヤニスの連続得点で逆転した後は快調に点差を拡大。最大で19点ものリードを奪う。

 しかし第3クォーターはギリシャのシュートが決まらず、約3分間スコアが凍りついているあいだにクロアチアがイビツァ・ズバッツ(ロサンゼルス・クリッパーズ)、ボーヤン・ボグダノビッチ(ユタ・ジャズ)を中心に着々と加点。一気に2点差まで詰め寄る。

 ギリシャがいったん引き離すも、最終クォーター残り1分半、再びクロアチアは執念で2点差まで猛追。勢いはクロアチアに傾き、このまま逆転なるかと思ったその瞬間、ズバッツのシュートをヤニスが豪快なブロックショットで阻止して流れを止める。続いてニック・カレイテスからのパスをリバースダンクで沈めると、次のクロアチアの攻撃でも、ヤニスはジェイリーン・スミスのコーナースリーを鮮やかにブロック。とどめは、バランスを崩しながらもファウルを誘う3点プレーを見事に決めて、ギリシャに勝利をもたらした。
  終盤の鬼神のような連続ファインプレーはまさにMVP級。会場を埋めたギリシャファンからは、壮大な“MVPコール”が沸き上がった。

 この試合では、マーベリックスとの2WAY契約も決まり気合が入っているタイラー・ドーシーの活躍も目立った。そんなタレント揃いで前評判の高いギリシャ代表だが、本戦の前にこのロスターのメンバーで戦った試合はわずか1戦のみ。上手くチームとして機能するかどうかは、蓋を開けてみなければわからない状態だった。

 ギリシャの記者は「彼らにとってはこのグループリーグが勝負所。ここを勝ち抜ければ、かなり先までいける可能性がある」と話していたが、クロアチアに追い迫られるも逃げ切り勝ちしたこの初戦で、手応えを得たことだろう。

 練習熱心で知られるヤニスの姿勢は代表でも変わらないらしく、大会前の合宿中から、兄弟たちを相手に延々と個人練習を重ねているそうだ。 彼らが属するグループCは、ホスト国イタリアに期待がかかっていたが、地元ミラノ生まれのダニーロ・ガリナーリが、27日に行なわれたワールドカップ予選のジョージア戦で左ヒザの半月板を損傷。ユーロバスケットへの出場を断念せざるを得ない事態になってしまった。過去にも3度欠場の憂き目にあっているガリナーリは、ホスト国が決まったときからこの大会への出場を心待ちにしていたという。

「この代表チームの夢を諦めるのはとても辛い。魔法のような夜を味わいたかった。自分のホームで。僕たちのホームで……」と綴ったメッセージからも痛みが伝わってくるが、ガリナーリは全試合でベンチからチームをサポートすると誓っている。その甲斐もあってか、イタリアは初戦のエストニア戦に83-62で快勝した。
  同様に、ジョージアが舞台のグループAでも、地元の大スターであるトコ・シェンゲリアがワールドカップ予選のオランダ戦で転倒し肩を負傷。本戦出場を断念することになり、奇しくもふたつの会場で、ホスト国のスター選手が欠場という残念な事態となった。

 グループDのチェコ会場でも、トーマス・サトランスキーが前所属チームのワシントン・ウィザーズとの契約問題で出場が危ぶまれたが、こちらはクリアになったようで、ロスターに名を連ねている。ただ、チェコは初戦のポーランド戦に99-84で敗れた。

 そんな波乱含みのユーロバスケット。2戦目はリトアニアとフランス、ギリシャとイタリアが対戦する。

文●小川由紀子

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