ドンチッチ擁するスロベニアの敗戦、退場者続出のジョージアvsトルコ戦――波乱ずくめのユーロバスケット3戦目レポート<DUNKSHOOT>

ドンチッチ擁するスロベニアの敗戦、退場者続出のジョージアvsトルコ戦――波乱ずくめのユーロバスケット3戦目レポート<DUNKSHOOT>

ジョージア対トルコ戦はオスマン(右)をはじめ、3人が退場処分を受けるなど大荒れの試合となった。(C)Getty Images

チェコ・ジョージア・ドイツ・イタリアの4か国で開催中のユーロバスケット2022。9月1日にスタートした同大会はグループBのドイツが開幕から3連勝で、いち早く決勝トーナメント進出を決めた。彼らは1993年のドイツ大会でも優勝しているだけに、地元での強さはお墨付きだ。

 そしてジョージアの首都トビリシが舞台のグループA、3回戦が行われた4日は、波乱に満ちた1日となった。

 まず、第2試合では、それまで全勝でグループ首位に立っていたスペインが、伏兵ベルギーに10点差で敗れる予想外の展開に。

 ベルギーはFIFAランキングで37位と、グループA では52位のブルガリアに次いで順位が低いチームだが、ユーロバスケには5大会連続出場と、着々と力をつけてきている新勢力のひとつ。

 チームの主柱はこの5大会すべてに出場している36歳のジョナサン・タブーと35歳のマキシム・ドゥ・ゼーウのベテラン2人で、そこへ彼らを目標に育ってきた若手が融合。

 堅守から流れを作り出すのがベルギーのスタイルで、この日もスペインにリードを奪われてもディフェンスの集中を切らさず、リバウンドで優位に立ち、格上相手にアップセットを起こした。

 3試合目のジョージア対トルコ戦は、2度のオーバータイムの末、88-83でホスト国のジョージアが辛勝したが、これが大混乱の一戦となった。
  第4クォーター、トルコのフルカン・コルクマズ(フィラデルフィア・セブンティシクサーズ)のダンクをジョージアのドゥーダ・サナジェが後方から激しくブロックすると、このプレーをめぐってもみ合いになり、2人揃って退場に。

 さらにダブルオーバータイムの終盤、81-84 と、トルコが3点を追う場面でシェディ・オスマン(クリーブランド・キャバリアーズ)がアンスポーツマンライクファウルをコールされると、トルコのエルギン・アタマン・ヘッドコーチ(HC)が激昂。レフェリーに詰め寄った挙句、彼も退場処分を食らった。

 騒ぎはこれだけでは収まらず、コルクマズがロッカールームへ向かう途中の通路で、ジョージアの登録メンバー外の3選手とガードマンから殴りかかられる暴力沙汰に発展。コルクマズも応戦し、本人曰く「ストリートファイトのような殴り合い」になったそうだ。

 トルコ協会は、この一件について、監視カメラの映像が1分たりとも欠けることなく提出されない限りは、大会から退くと発表した。現在調査中で、FIBAからは正式なコメントは出ていない。

 加えて、コルクマズとサナジェの騒動の最中、ゲームクロックが止まっておらず、トルコ側の攻撃タイム22秒が失われる異例のアクシデントも発生。
  トルコ連盟はこれに対してもFIBAにクレームを入れたが、翌日FIBAは、起きたことについては遺憾としつつも、「この22秒間があれば結果が変わっていたという明確なエビデンスがない」との理由で訴えを却下した。

 同日、グループBの舞台ドイツのケルンでは、ボスニア・ヘルツェゴヴィナがスロベニアを97-93で下す大金星をあげた。ボスニア・ヘルツェゴヴィナにとっては、同じ旧ユーゴスラビアのスロベニアを初めて破る歴史的勝利だった。

 終盤までリードはめまぐるしく入れ替わったが、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの様々なエリアから放たれる長距離砲をスロベニアは止められず。 

 2戦目のドイツ戦でも30得点をあげた元ブルックリン・ネッツのジャナン・ムサはこの日も22得点と攻撃を牽引したが、それ以上にチーム内を流れるようにボールが動く機能性の高いプレーと、勝利への意志がこの結果を引き寄せた。

 一方、スロベニアの主砲ルカ・ドンチッチは両軍最多の35分23秒コートに立つも、放った8本の3ポイントをすべてミスする不発の日に。得失点差でスロベニアを上回ったボスニア・ヘルツェゴヴィナが、グループ2位に躍り出た。 グループCでは、ギリシャが3戦全勝で勝ち抜けたが、3試合目のイギリス戦でエースのヤニス・アデトクンボは出場せずにベンチから仲間たちに声援を送った。噂によれば、ギリシャ代表にはミルウォーキー・バックスのスタッフ4人が帯同し、ヤニスに関するすべてをつぶさにチェックしているという。

 ディミトリオス・イトウディスHC はヤニスの不在について、「少し足に違和感があったため」とコメントし、ヤニスも右腰のあたりにマッサージ器をあてていたが、バックス側はプレータイムについても圧力をかけている模様だ。

 しかしヤニス不在でもチームはイギリスに16点差で快勝。さらに同グループではウクライナも地元イタリアを破り無傷の3連勝で、決勝トーナメント勝ち抜けを決めた。

 グループDは100-70と、セルビアがフィンランドに30点差の圧勝。ニコラ・ヨキッチは13得点、14リバウンド、7アシストと、期待どおりの活躍を見せている。

 各地で予想外の展開が見られた第3戦だが、グループリーグの3日目は、疲労を感じやすく、中だるみしやすいタイミングでもある。
  スペイン代表のベテラン、ルディ・フェルナンデスは「中には連戦に慣れていない選手もいて、いいペースがつかめなかった」と敗因を語ったが、この“連戦”についてはフランス代表のエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)は次のように述べている。

「NBA の連戦とユーロバスケットの連戦ではまったく意味が違う。試合数が少ない分、ユーロバスケットはより密度が濃い。FIBAはスケジュールを考えるべきだ」

 ドンチッチもこのフォーニエの意見に賛同。スロベニアは、24時間以内に第2戦のハンガリー戦と第3戦のボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦をこなす超ハードスケジュールだった。

「(スケジュールは)変えるべきだろうね。みんなにとって休みが少なすぎる。そうなると怪我をしやすいし、それは所属クラブにとっても大きな問題になる」(ドンチッチ)
  一方、グループAの会場となっているオリンピック・パレス(キャパシティ1万人)では、トルコのアタマンHC とスペインのセルヒオ・スカリオロHC が、観客の少なさに苦言を呈する場面があった。トルコ対ブルガリア戦の観客数は1600人。

 ホスト国ジョージアが、欧州の人気国スペインと対戦した試合に至ってはわずか1100人と、ユーロリーグの大観衆に慣れている両指揮官にとって、この寂しい会場の雰囲気が異質に感じたのも無理はない。
 
 アメリカからスペインに帰化した元NBA選手のロレンゾ・ブラウンが会見で「アメリカにいる家族や親戚も、テレビでこの大会を見てくれている」と語ると、スカリオロHCが横から、「このアリーナにいる観客数より、オンラインで見ているロレンゾの親戚の方が多い」と、辛辣なジョークを飛ばす一面もあった。

 そんな数々の問題を露呈しつつ、グループリーグも佳境の第4戦に突入。依然未勝利のグループBのリトアニアがここで敗退してしまうのか注目が集まる。

文●小川由紀子
 

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