名手ノビツキー以来の快挙を達成したアデトクンボ「プレーするのが楽しくてたまらない」【ユーロバスケット2022】<DUNKSHOOT>

名手ノビツキー以来の快挙を達成したアデトクンボ「プレーするのが楽しくてたまらない」【ユーロバスケット2022】<DUNKSHOOT>

アデトクンボはウクライナ戦で自身よりサイズのあるビッグマンを物ともせず、41得点の超絶パフォーマンスでギリシャを勝利に導いた。(C)Getty Images

チェコ・ジョージア・ドイツ・イタリアの4か国を舞台に、9月1日から18日まで開催されているユーロバスケット2022。6日に行われた4回戦では、グループAからはスペインと、お騒がせのトルコが決勝トーナメント進出を決めた。

 激戦のグループBからは、初戦でドイツに敗れて以降は3連勝のフランスと、ドイツの4連勝を阻止したスロベニアが勝ち抜けた。ここまで0勝だったリトアニアは、ハンガリーを23点差で破り、ようやく初勝利をゲット。7日のグループリーグ最終戦で、ボスニア・ヘルツェゴヴィナと、最後の一席を賭けた直接対決に挑む。

 グループDは、オランダを破ったポーランドと、チェコを制したフィンランドが、グループ首位で勝ち抜けを決めたセルビアに仲間入りした。

 そしてグループCは、3回戦を終えた時点で勝ち抜けを決めていたギリシャとウクライナに、ホスト国イタリアとクロアチアが加わり、最終節を待たずに決勝トーナメント進出の4者が出揃った。3勝同士の対決となったギリシャ対ウクライナ戦では、前日のイギリス戦で温存したヤニス・アテトクンボが、21世紀に入ってからは2001年大会のダーク・ノビツキー(43得点)以来の40点超えとなる41得点の爆発的なパフォーマンスを披露した。
  ギリシャはこの試合、序盤は調子が乗らずに前半を終えて39-46と、ウクライナに7点リードを許した。今大会で目覚ましい活躍を見せているアメリカ生まれのガード、タイラー・ドーシー(今夏にダラス・マーベリックスと2WAY契約)も無得点と、全体的に歯車が噛み合っていなかった。

 しかしギリシャ戦士は後半、前半とは打って変わったインテンシティを発揮。ドーシーもスタートからペースセッターとなり、ウクライナのリズムを掻き乱した。ヤニスも第3クォーターだけで一挙15得点を積み上げ、形勢は一気に逆転。ミルウォーキー・バックスの同僚クリス・ミドルトンがコートサイドで見守る中、ヤニスは、チャンスを得点につなげたほか、フリースローも着実に決め、わずか27分の出場で41得点をマークした。

 ギリシャ代表でのキャリアハイ更新に、試合後の会見で「ギリシャ代表でのこれまでで一番のパフォーマンスか?」と聞かれたヤニスは、「僕は自分のパフォーマンスを評価しないようにしている。ただ、コートに出て、できるだけ楽しんで、アートを生み出そうとしているんだ」と詩的にコメントした。

 ウクライナは、ヤニス封じのために、サクラメント・キングス所属のアレックス・レン(213cm)と、スペインリーグのムルシアでプレーするアルテム・プストヴィ(218㎝)のツインタワーに据える奇策で臨んだが、アイナルイス・バガツキスHC(ヘッドコーチ)は、「紙の上では機能するはずだったが、やはりヤニスを封じるのは容易ではない」と白旗をあげた。 ヤニスは、欧州出身選手の大先輩であるダーク・ノビツキーの軌跡を辿る形となった。奇しくも今大会のアンバサダーを務め、大会初日にはケルン会場でドイツ代表の背番号14の永久欠番セレモニーも行なわれたレジェンドは、ミラノ会場にも足を運び、ギリシャ代表の試合を生観戦していた。

 その際にノビツキーは、自国では2部リーグのクラブでプレーしていながら、そこからNBAに羽ばたき、MVP、そしてチャンピオンになった自身とヤニスの共通点について感想を求められれると、愛情を込めてこう答えた。

「最初にヤニスを見た時、彼はやせっぽちの青年だった。けれどそこからの成長ぶりは、本当に信じられないほど凄いものだ。すっかりたくましくなって、スキルのレベルも格段に向上した。なにより彼からは、もっとうまくなりたい、もっと練習したい、というハングリーさがあふれている。ギリシャ代表でも懸命にプレーし、夏の間も必死に努力している。
 
 来年はさらに凄い選手になっているだろう。しかし、ここまでもすでに素晴らしい道を辿っている。MVP になり、チャンピオンタイトルも勝ち取った。その功績を、本当に嬉しく思う。それに彼は本当に好青年だ。常に努力し、成長を続けている。私はそんな彼の大ファンなんだ」

 ヤニスは、今回のこの大会に出場していることが、この上なく嬉しいのだという。
 「(ディミトリオス)イトウディスHCがモチベーションを与えてくれるやり方や、2019年のワールドカップ以来の久々のギリシャ代表戦など、いろんなことが重なり合ってのことだと思うけれど、とにかくこの大会は、自分自身、とてもエキサイトしていて、コートに立つことが本当に嬉しくてたまらない。コーチングスタッフやチームメイトと一緒にプレーするのが楽しくてたまらないよ」

 ギリシャ代表に帯同しているミルウォーキー・バックスのスタッフの関与について聞かれた時も、「一度だけ対面しただけで、あとは完全にギリシャ代表に集中している。彼らは僕のプレーを熟知しているから彼らに何かを証明する必要もない。だからまったくバックスのスタッフのことは意識していない」と毅然と答えた。

 現時点で4戦全勝同士のセルビアとは、決勝戦まで顔を合わせることはないが、すでに多くのファンが、ニコラ・ヨキッチとヤニスのMVP対決を期待している。

 彼らの頂上対決が実現するには、その過程で誰を倒す必要があるのか。最終節での順位決定が気になるところだ。

文●小川由紀子

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