初日を終えたユーロバスケットのラウンド16。4戦中2戦がオーバータイム突入と、全試合が手に汗握る大激戦に<DUNKSHOOT>

初日を終えたユーロバスケットのラウンド16。4戦中2戦がオーバータイム突入と、全試合が手に汗握る大激戦に<DUNKSHOOT>

格下のベルギーに土俵際まで追い詰められたスロベニアだが、ドンチッチの活躍もあり順当に準々決勝へ駒を進めた。(C)Getty Images

チェコ、ジョージア、ドイツ、イタリアの4か国で9月1日から開催中のユーロバスケット2022は、10日からはいよいよ“負ければ即帰国”のノックアウトステージがスタート。初戦のトルコ(A組2位)対フランス(B組3位)戦からさっそく、オーバータイムにもつれ込む激戦が繰り広げられた。

 先手を取ったのは、徹底的なマンツーマンディフェンスで相手を封じたフランス。序盤からリードを奪い、一時は16点まで差を広げたが、トルコは第3クォーターの終盤、ブルガン・トゥンチェル(アナドルー・エフェス)が3連続3ポイントを沈めるなど好プレーを連発。グループリーグのモンテネグロ戦で右手の指の腱を痛め、手術のためチームから離脱したシェーン・ラーキンに代わってスターターを務めた伏兵の活躍で逆転し、トルコが8点リードで最終クォーターに突入する。

 ドイツ在住のトルコ人が大勢つめかけ、場内は「トゥルキヤ」コールが充満。そして残り12秒、トルコが2点リードの場面で、フランスのティモテイ・ルワウ・キャバロ(アトランタ・ホークス)がアンスポーツマンライクファウルをコールされた瞬間、トルコの勝利は決定したかに思われた。
  ところがここで、この日それまで4本のフリースローをすべて成功させていたシェディ・オスマン(クリーブランド・キャバリアーズ)が2本ともミス。さらに、スローインからのトルコのポゼッションでエバン・フォーニエ(ニューヨーク・ニックス)がスティール。フォーニエが放ったジャンプショットはリムに弾かれたが、ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)がすかさずプットバックを叩き込み、フランスがオーバータイムに持ち込むという驚きの展開となる。

 延長突入後も点の取りあいは続いたが、前述したラスト12秒のドラマチックな展開で明らかに流れは変わり、最後はフランスが1点差で逃げ切った。

 試合後「これまでで1番クレイジーなシナリオだったか?」という問いに頷いたフランス代表のヴァンサン・コレ HC(ヘッドコーチ) 。20得点に加え、フランス代表の歴代最多となる17リバウンドでこの試合のMVP に選ばれたゴベアは「自分たちは、他の多くのチームなら諦めていたような状況でも絶対に諦めなかった。全員が参加し、全員が貢献した」とコメントした。41-15というベンチの得点差からも、チーム全体で勝ち取った勝利であると言えよう。
  ラスト12秒のあの瞬間、勝利を確信していたというトルコのアタマンHC は「感情的には、26年間で一番辛い敗戦。言葉がない」と肩を落とした。

 第2試合のスロベニア(B組1位)対ベルギー戦(A組4位)は、開始直後から快調にリードを広げたスロベニアのワンサイドゲームになるかと思いきや、ベルギーが粘り強く反撃。最終クォーター開始直後には64-63 と逆転し、まさかのアップセットなるか?と一瞬思わせたものの、最後はディフェンスを調整し相手のミスショットを誘ったスロベニアが、88-72 で勝利をものにした。

 過去30年のユーロバスケットで、3試合連続で35得点以上をマークした初のプレーヤーとなったルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)は「僕らは誰一人としてベルギーを甘く見たりなどしていなかった。彼らはフィジカルで、ビューティフルなバスケットボールをプレーした」と敵軍を称賛。実際、今回の彼らはグループリーグでスペインを破っている。NBA はおろかユーロリーグ出場クラブに在籍している選手もいないベルギーの、この大会での善戦は目覚ましい。
  チームハイの16得点をマークしたガードのエマニュエル・ルコントは、リトアニアの2部リーグでプレーしている選手。「僕たちにはビッグクラブでプレーしている選手はいないが、チーム一人ひとりの力を結合することでスペインにも勝った。僕らにとってはここからが始まり。もうどんな相手とでも渡り合えるチームだ」と胸を張った。

 地元ドイツ(B組2位)が登場した第3試合は、前半終了時点で48-24とドイツがダブルスコアのリードを奪ったが、後半にモンテネグロ(A組3位)が猛反撃。第4クォーター、アメリカから帰化したガードのケンドリック・ペリーが連続11得点をあげ、14点あったビハインドを残り24秒で3点差まで縮める大健闘を見せる。最終的にドイツが6点差で逃げ切ったが、後半だけで55点を記録したモンテネグロの気迫の追い上げと、ゲームハイの25得点を奪取したペリーの爆発力は見事だった。
  そしてラウンド16 初日の最終戦は、スペイン(A組1位)対リトアニア(B組4位)という、欧州の両雄による決勝戦クラスの好カード。そして試合内容も、ブザービーターでオーバータイムにもつれこむというスリルあふれた展開になった。

 第3クォーター、スペインが連続してイージーバスケットを落としたミスにつけ込み、リトアニアが11点までリードを広げた時点で勝負あったかに思われた。ところが3人の男が、スペインに勝利の波を手繰り寄せる。

 1人は、大会前の7月にスペイン国籍を得たロレンゾ・ブラウン(元トロント・ラプターズほか)。第4クォーターの山場から、フル出場したオーバータイムにかけて、傑出した勝負強さでオフェンスを牽引。8本のフリースローもすべて収め、ゲームハイの28得点をマークした。

 一方、渾身のピック&ロールでディフェンスの柱となったのがウスマン・ガルーバ(ヒューストン・ロケッツ)。そしてもう1人は、約30分間コートに立った37歳のリーダー、ルディ・フェルナンデス(元ポートランド・トレイルブレイザーズほか)だ。

 13得点、3リバウンド、1アシストという数字だけでは語れないほど、そのすべてが相手の急所に突き刺さるインパクト絶大のプレーを披露したフェルナンデス。「さすがベテラン」と評したスペイン代表のセルジオ・スカリオロHC だけでなく、リトアニア勢もをうならせるパフォーマンスを見せた。
  102-94で勝利したスペインは、これで21大会連続でベスト8入りという大会新記録を達成。一方でリトアニアは、ひとつのリバウンド、ひとつのアシスト、ひとつのファウルで勝敗が変わっていたという惜敗ばかりだった。

 勝負にタラレバはないとはいえ、このスペイン戦もそのひとつ。第4クォーター残り16秒、スペインの1点リードでリトアニアがスローインを得た場面、ドマンタス・サボニス(サクラメント・キングス)のムーブがオフェンシブ・ファウルを吹かれていなければ、流れを得ていたリトアニアが勝利できていた可能性は高かった。

 また、昨年のドラフトでオクラホマシティ・サンダーから34位で指名されたロカス・ヨクバイティスは、今大会でチームハイのアシストを記録。リトアニア代表としてビッグトーナメントに初出場した21歳のガードにとっては、大きく成長する経験となった。

 ラウンド16初日は、いずれも超接戦となったなかでスペイン、スロベニア、ドイツ、フランスの強豪国が順当に準々決勝進出を決めた。ギリシャ、セルビアが登場する2日目、はたして番狂わせはあるか。

文●小川由紀子

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