【ユーロバスケット2022】フランスが連日の大逆転劇で4強入り!2戦連続で“残り数秒2点ビハインド”から奇跡の生還<DUNKSHOOT>

【ユーロバスケット2022】フランスが連日の大逆転劇で4強入り!2戦連続で“残り数秒2点ビハインド”から奇跡の生還<DUNKSHOOT>

ゴベアをはじめNBA選手を多数擁するフランスが連日の延長戦を制し、準決勝進出を決めた。(C)Getty Images

長丁場のトーナメントでは、必ずこういう不思議な試合が1つか2つ訪れる。

 9月14日に行なわれたユーロバスケット2022。準々決勝のフランス対イタリア戦は、まさにそのような一戦だった。

 前半はフランスがリードするも、後半に追いつかれて逆転を許し、2点ビハインドで迎えた残り数秒で相手にファウルを与えて万事休す…。というのは、4日前のラウンド16、トルコ対フランス戦の筋書きだ。

 残り12秒、77-75 でトルコが2点リードの場面。フランスはファウルで相手にフリースローを献上してしまう。しかしこれをシェド・オスマンが2本ともミスし、命拾いしたフランスがラスト2秒でルディ・ゴベアがダンクを叩きこみ、オーバータイムに持ち込む。延長戦でも1点差の攻防を制し、辛くもトルコを退けた。

 そしてなんと、この試合とスコアまで同じ出来事が、イタリア戦でも繰り返された。

 前半はフランスがイタリアのアウトサイドシュートを上手く封じ込めて7点のリードを奪ったが、第3クォーター、ディフェンスの強度が下がると、イタリアは「3ポイントシュート&スティールから速攻」というインパクト大の連続プレーで逆転。そのまま最終クォーターまでリードをキープした。
  しかしフランスも活力を取り戻して応戦。第4クォーター残り19秒で77-75 と、2点差まで追い上げる。だがそこで、エバン・フォーニエのファウルで相手にフリースローを献上してしまう。ところがイタリアは、勝利を決定づけるこの絶好のチャンスに、この試合でMVP級の活躍を見せていたシモーネ・フォンテッキオが2本ともミス。

 リバウンドを手にしたフランスが直後にレイアップを決め、77-77で試合はオーバータイムにもつれ込んだ。さらにトルコ戦と同様、今回も最終的にフランスが勝者となったのだった。

 前戦を「クレイジーなシナリオ」と評したフランスのヴァンサン・コレHC は、「トルコ戦では、フリースローの後のポゼッションは相手側だった(アンスポーツマンライクファウルだったため)。それに今回は最終クォーターではすでに挽回し、オーバータイムではこちらがゲームを支配していたから、シナリオは違う」と試合後に語ったが、選手たちにとってトルコ戦の経験は、確実にプラスに作用していた。

 この試合、要所で好プレーが光ったフォワードのテリー・タルペイは、「一度やったからまたできるだろう、という思いは確かにあった。それに、あのトルコ戦の経験があったから、どんなことがあっても勝つチャンスは絶対ある。オーバータイムに持ち込んで、諦めずにやってやろうと思った」とクラッチタイムの心境を明かしている。
  そしてこのタルペイこそが、今大会のフランス代表の陰の立役者と言うべき存在だ。

 フランスリーグのル・マンに所属し、同国代表に選ばれたのは2021年11月というやや遅咲きの28歳を、ゴベアも「最初はよく知らなかった」と語っているくらいだから、フランスのバスケファンの間でもほぼ無名の存在だった。

 しかし、NBA組やユーロリーグ参戦クラブの選手が出場できないシーズン中の代表戦でチャンスを掴むと、今回のユーロバスケットでもメンバー入り。さらにグループラウンドの2試合目からは、スターターに抜擢された。彼の重要性についてコレHC  は、「ほかの選手が怠るようなことを、ひたすらやる選手」だと描写する。

「彼は何でもやってくれる、チームの土台といってもいい。リバウンドを取り、スティールをし、ディフェンス、そして我々のオフェンスにバランスをもたらしているのも彼だ。私自身、合宿を始めた6週間前の時点では、彼がこれほどまでに重要な選手だとは気づいていなかった。だから最初の頃は、第3クォーターに2分間だけ使う、というような使い方をしていたが、その間に彼はすべてをやってのけた。おのずと重要性は増していき、今や彼はチームのリーダーの1人だ。得点で牽引するようなリーダーではなく、チームにとって必要な仕事をやってくれるという意味でのリーダーだ。そしてそういう存在こそが、チームにとって最も必要な選手なのだ」
  来年のワールドカップも視野に入れているフランスにとって、タルペイの発掘は、この大会での大きな収穫のひとつとなっている。

 一方のイタリアは、チームの麗しい団結力に加え、ジャンマルコ・ポツェッコHCの独特のキャラクターもあって人気を得ていただけに、ベスト4入りを目前にしての敗退が惜しまれた。

 しかし、この日フリースローを外したフォンテッキオを指揮官は、「この大会で(イタリア代表の)ダントツのMVP」と称賛。キャプテンのルイジ・ダットーメも、「彼がいなければ、我々はここまでこれていない」と26歳の成長株を労った。この悔しさをバネに来たる新シーズン、NBA(ユタ・ジャズ)での活躍を期待したいところだ。

 ちなみにポツェッコHCはラウンド16でセルビアに勝利した後、自身のクレジットカードを選手たちに渡して「これで好きなだけ祝杯をあげてこい」と大判振る舞いをしたことが話題になった。敗退後もお疲れ会を催していることだろう。

文●小川由紀子

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