【ユーロバスケット2022】今夜3時半ティップオフ!欧州王者の座はスペイン、フランスどちらの手に?<DUNKSHOOT>

【ユーロバスケット2022】今夜3時半ティップオフ!欧州王者の座はスペイン、フランスどちらの手に?<DUNKSHOOT>

欧州選手権の決勝はスペイン(左)とフランス(右)の顔合わせに。(C)Getty Images

9月1日から開催中のユーロバスケット(欧州選手権)2022。準決勝では、フランスがポーランドを、スペインがドイツを破り、2011年以来4大会ぶりに、両チームがファイナルで対戦することとなった。

 フランスとポーランドが対戦した準決勝の第1試合では、2日前に優勝候補のスロベニアを下すアップセットを演じたポーランドが95-54と、今大会最少スコアで大敗。フランスは序盤からタイトなプレッシャーをかけるディフェンスでポーランドの2人の得点頭、アメリカから帰化したガードのAJ・スローターと、スロベニア戦でトリプルダブルをマークしたマテウス・ポニツカを封じ込めることに成功した。

 2人ともスロベニア戦よりプレータイムは短かったとはいえ、スローターは9得点、2リバウンド、2アシスト、ポニツカも7点、1リバウンド、2アシストと、別人のような数字に抑えられた。

 スローターはかつて、フランスリーグで同国代表のヴァンサン・コレHCの下でプレーしている。そしてこの試合で、スローターをストップする役目を担ったスターティングガードのアンドリュー・アルビシーはグラン・カナリアの現チームメイト。2015年大会からポーランド代表の主軸を担ってきたスローターは、「相手は僕のプレースタイルを手に取るようにわかっていた」と試合後にもらした。
  フランス側では、屈強なディフェンスに加え、4本 の3ポイントを成功させた元ボストン・セルティックスのパワーフォワード、ガーション・ヤブセレがこの試合のMOM。コレHCが「チームで最もパフォーマンスが安定している。彼はヨーロッパ版チャールズ・バークレーだ」と称賛するヤブセレは、今大会のMVP 候補にも名前が挙がっている。大会を通じて3ポイント成功率52%と、この大会でアウトサイドシューターの素質を開花させている彼は、決勝戦でもキープレイヤーの1人だ。

 ただ、フランスがチーム・個人ともに上回っていたのは確かだが、ポーランド側に王者スロベニアとの激戦を制した後での燃え尽き感があったのは否めない。コレHCは「相手は我々のプレッシャーに耐えきれなかった」と描写したが、スロベニア戦でポーランドが見せたインテンシティは、この試合の比ではなかった。

 漫画『スラムダンク』で、湘北高校がインターハイの2回戦で王者・山王工業を死闘の末に破った後、続く3回戦で愛和学院にボロ負けした状況と同じだ。この対戦では勝者側だったフランスも、2019年のワールドカップでは準々決勝でアメリカを破った後、準決勝ではまるで別チームのような戦いぶりでアルゼンチンにあっさり敗れている。

「今いる場所までこられたこのチームを誇りに思う。それにまだ、メダルのチャンスは残されている」と3位決定戦での善戦を誓ったポーランドのイゴール・ミリチッチHCの言葉通り、このフランス戦とは別物のパフォーマンスを日曜のドイツ戦では見せてくれることだろう。これまで両者は6度ユーロバスケットで対戦し、ポーランドが4勝と勝率では上回っている。しかしホスト国のドイツも、是が非でもメダル獲得を狙っているであろうから、熱い戦いになるのは間違いない。
  そして準決勝2戦目では、スペインが10点ビハインドをひっくり返して勝利するという、さすがの地力を見せつけた。

 ターニングポイントは第3クォーター終盤から第4クォーターの序盤。6点差まで迫って迎えた最終クォーターの最初のプレーで、ユーロバスケット初出場のガード、アルベルト・ディアスが3ポイントを沈め、一気に流れを引き寄せた。

 それを可能にしたスペインの強さの根底にあるのは、「積み上げられた歴史からくる、絶対的な自分たちへの信頼」だ。準々決勝のフィンランド戦でも相手にリードを許し、「アップセットなるか?」と一瞬思わせたが、終盤できっちり立て直せたのは、自らを信じる強い気持ちだった。

 セルジオ・スカリオーロHCは、2009、11、15年のユーロバスケット、そして2019年のワールドカップで優勝と、近年のスペイン代表の最盛期を牽引してきた指揮官だ。彼が離脱していた13年のユーロバスケットで決勝進出を逃すと、スペインのバスケットボール協会は選手やサポーターたちの期待に応える形で、彼を呼び戻した。

 その彼がこの大会中何度も強調していたのは、「今のスペインの成功は、一朝一夕などではない。長年積み上げられてきた成果である」ということだ。「選手たちが少年、少女の頃から、じっくりと時間と労力をかけて育てている。そして、とてつもなく多くの人たちの努力が費やされてきた結晶として、彼らはここにいるのだ」
  スペインは、アンダーカテゴリーや女子代表を含めこの夏、9つの国際メジャー大会に出場したが、そのうち3大会で優勝、5大会で準優勝、このユーロバスケットでも決勝進出と、なんと9大会すべてで決勝に進出している。スカリオーロHCは「6、7年前から、さらに育成を強化している」と語っていたが、まさにその努力が成果として実を結んでいる。

 今大会でスペイン代表を引っ張るリーダーは、そのスカリオーロHC とともに数々の栄光を手にしてきたルディ・フェルナンデス。そして欠場を余儀なくされたリッキー・ルビオに代わって司令塔を務めるロレンゾ・ブラウンだ。ブラウンは、スカリオーロHCがNBAトロント・ラプターズでアシスタントコーチを務めていた時代に共闘し、自分のチームにフィットすると絶対的な自信をもって迎え入れた切り札。その期待通り、クラッチタイムでの勝負強さは今大会のスペイン代表にとって絶大なプラス要素となっている。

 そんなスペインとフランスは、非常によく似た状況にある。両者とも、NBAプレーヤーを擁してはいるが、スペインはガソル兄弟の引退やルビオの不在で、9人がユーロバスケット初出場という国際大会の経験が浅いチーム。一方のフランスも、ニコラ・バトゥームやナンド・デ・コロらベテランが不参加となり、テリー・タルペイといった新人や控えガードのトマ・ウルテルが重要な役割を果たしている。

 両チームとも、グループラウンドから圧倒的な強さを発揮していたわけではなく、辛勝や予想外の敗戦などを経て勝ち上がってきた。ただ、こうしたトーナメントで頂きまで到達するのは、最初から強いチームよりも、大会中に紆余曲折を乗り越えながら成長してきたチームだったりする。

 そんなどちらが勝っても不思議ではない頂上決戦が実現したユーロバスケット2022。はたしてどんな結末になるのか、ファイナルは19日(日本時間3:30)にティップオフを迎える。

文●小川由紀子

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