「IQはアインシュタイン級」のジョーダン、堅実なストックトン&ダンカンーー優れた頭脳を持つ“ベストIQチーム”を厳選<DUNKSHOOT>

「IQはアインシュタイン級」のジョーダン、堅実なストックトン&ダンカンーー優れた頭脳を持つ“ベストIQチーム”を厳選<DUNKSHOOT>

必要な時に最善なプレーを選択したジョーダン(中央)、ストックトン(左)は司令塔、ダンカン(右)はビッグマンのお手本のような選手だった。(C)Getty Images

近年のNBAはポジションレス化が進行し、選手には多様性とともにバスケットボールIQの高さも重要視されるようになった。

 もっとも、“バスケットボールIQ”という用語に厳密な定義はない。状況に応じて正しいプレーを選択でき、ボーンヘッドを犯さない選手、といったところか。

『THE DIGEST』の当シリーズでは、これまで様々なカテゴリー別にベスト5を選出してきたが、今回は、バスケIQの高い選手たちのベストチームを発表する。

【ポイントガード】
ジョン・ストックトン

1962年3月26日生。185cm・77kg
キャリアスタッツ:1504試合、平均13.1点、2.7リバウンド、10.5アシスト

 コート上の司令塔であるPGは、バスケIQの高さが最も必要なポジションだ。ボブ・クージーからジェリー・ウエスト、マジック・ジョンソン、スティーブ・ナッシュに現役のクリス・ポール(フェニックス・サンズ)まで誰を選んでも不足はないが、通算アシストとスティールのリーグ記録を持つストックトンとした。

 どちらの記録も、正確な判断力がなければ成しえないのは明白。無意味なシュートを打たないのでFG成功率も高率だった。ターンオーバーも少なく、アシスト/ターンオーバー比3.72は通算7000アシスト以上ではポールの3.96に次ぐ。あのデニス・ロッドマンをして「ダーティーな選手」と言わしめたように、レフェリーの隙を突いてフィジカルなプレーを繰り出した狡さも、ある意味IQの高さの証と言える。
 【シューティングガード】
マイケル・ジョーダン

1963年2月17日生。198cm・98kg
キャリアスタッツ:1072試合、平均30.1点、6.2リバウンド、5.3アシスト

 並外れた身体能力の高さに注目が集まるけれども、史上最高の選手が一流のバスケットボールIQの持ち主でないわけがない。ベテラン記者マーク・J・スピアーズは「ジョーダンのバスケIQはアインシュタイン級」とまで言っている。

 ジョーダンの凄さを表現するときにしばしば使われるのが「周りの選手を成長させる能力」の高さ。自らのサポート役としてスコッティ・ピッペンやホーレス・グラントらを教育し、シカゴ・ブルズの黄金時代を築いた。ミスを連発するようなIQの低い選手では、ジョーダンと一緒にプレーできなかったのだ。

 1997年のファイナル第6戦、ディフェンスを引きつけておいてパスを送り、スティーブ・カーが決めた優勝決定シュートは、誰よりもスコアラー気質が強かったにもかかわらず、必要なときに最善のプレーを選択できたことを示している。【スモールフォワード】
ラリー・バード

1956 年12月7日生。206cm・100kg
キャリアスタッツ:897試合、平均24.3点、10.0リバウンド、6.3アシスト

 ジョーダンとは対照的に「跳べない白人」の代表格で、身体能力にはまったく恵まれていなかった。そのハンディキャップを跳ね返してスーパースターにのし上がった要素こそ、比類なきバスケットボールIQである。

 その資質が最大限に発揮されたのは、2勝2敗で迎えた87年のカンファレンス決勝第5戦。デトロイト・ピストンズを1点差で追う残り5秒の場面で、アイザイア・トーマスが誰にインバウンズパスを出すかを目の動きで予測。ビル・レインビアの目前でボールを奪い取ると、次の瞬間には走り込んできたデニス・ジョンソンへ完璧なパスを送り、逆転シュートに結びつけた。

 このプレーでも明らかだったように、状況を判断する能力は超一流。ヘッドコーチのビル・フィッチが「ラリーはカメラで写したようにコート全体を見ることができる」と言った通り、味方がどこにいるかを正確に把握した上で、相手の意表を突くアシストパスをあらゆる角度から繰り出した。

 名選手とまでは言えないレベルながら、IQが非常に高かった選手としてシェーン・バティエの名も挙げられる。
 【パワーフォワード】
ティム・ダンカン

1976年4月25日生。211cm・113kg
キャリアスタッツ:1392試合、平均19.0点、10.8リバウンド、3.0アシスト

 ウェイクフォレスト大で心理学を学んだビッグマンは、基本に忠実なプレースタイルで、ついた渾名がミスター・ファンダメンタル。リスクの高い派手なプレーは一切せず、徹底して確率重視だった。ゆえに見ていて面白くないとの陰口もたたかれたが、それが正解だったことは結果が証明している。

 得意技は、バックボードの角度を利用して決めるバンクショット。ダンクや3ポイントのような華やかさはなくても、計ったようにリングへ吸い込まれていく美しさはあった。同時代のライバル、シャキール・オニールは「どんなにトラッシュトークを仕掛けても全然動じなかった」とその冷静沈着さに脱帽していた。

 97年にサンアントニオ・スパーズに入団して以来、引退する2015-16シーズンまで、チーム勝率は最低でも61.0%で毎年プレーオフに進出。5度の優勝を果たしたチームには、ダンカン以外にもマヌ・ジノビリ、ブルース・ボウエンら、自分の仕事をやり遂げるIQの高い選手が揃っていた。【センター】
ビル・ラッセル

1934年2月12日生。208cm・100kg
キャリアスタッツ:963試合、平均15.1点、22.5リバウンド、4.3アシスト

 セルティックス8連覇の大黒柱であり、陸上競技でも活躍したほど身体能力にも恵まれていた。しかしリーグ史上最高のディフェンダーと呼ばれるまでになったのは、抜群の「頭脳」の賜物だった。

 1試合49本を奪ったこともある強力なリバウンダーでもあったが、最大の武器はブロックショット。「ラッセル以前のNBAでは、誰もブロックなんてしなかった」との、レッド・アワーバックHCの表現は誇張に過ぎるけれども、「誰もラッセルのようにはブロックしなかった」のは事実。1950年代前半までは背の高い選手が腕を伸ばすだけで、それほど注目もされず、公式記録でさえなかった。

 だがラッセルのブロックは、ボールが味方に渡るよう計算して放たれ、実質的にパスに等しかった。この点が他の選手との決定的な違いで、ブロックを芸術の域まで高めた。ブロックに限らず、ゲームのあらゆる局面でその頭脳は発揮され、選手生活の晩年にはヘッドコーチも兼任した。
 【シックスマン】
ドレイモンド・グリーン

1990年3月4日生。198cm・104kg
キャリアスタッツ:685試合、平均8.7点、6.9リバウンド、5.4アシスト

 PGで選出洩れしたマジックやポールでもいいが、実際の試合においても有能なシックスマンとして機能しそうなグリーンを選択した。余計なコメントでトラブルになることも少なくなく、賢くは思えないかもしれないが、コート上ではこれほど頭脳的な選手もいない。

 米紙『The San Francisco Examiner』のジョン・クロリックは「リーグ史上最高のバスケIQの持ち主」とまで述べている。身長198cm(公称)ながら体格のハンディキャップを感じさせずセンターを務め、PGとのマッチアップもこなせる秘訣は、ウォリアーズ関係者によれば「並外れた記憶力によって、対戦相手の攻撃パターンを隅々まで熟知している」こと。

 スイッチやダブルチームに向かうタイミングも完璧で、リーグ最多の平均2.0スティールを記録した16-17シーズンに最優秀ディフェンス賞を受賞した。攻撃でも的確なパスを繰り出し、20-21シーズンは平均8.9アシストという、PFとは思えない数字を叩き出している。

文●出野哲也
 

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