王者スペインのブラウンなど帰化選手の躍動、「失われた22秒」ら頻発したジャッジミス【ユーロバスケット2022総括Part.2】<DUNKSHOOT>

王者スペインのブラウンなど帰化選手の躍動、「失われた22秒」ら頻発したジャッジミス【ユーロバスケット2022総括Part.2】<DUNKSHOOT>

NBAラプターズなどでプレー経験のあるブラウンは、今年アメリカから帰化。今大会では平均15.2点、7.6アシストの活躍で優勝に大きく貢献した。(C)Getty Images

チェコ、ジョージア、ドイツ、イタリアの4か国で9月1日から18日まで行なわれたユーロバスケット2022は、スペインが優勝。フランスが銀メダル、ホスト国のドイツが銅メダルを獲得して、大盛況のうちに幕を閉じた。

 ここでは、この大会の総括として、今回のユーロバスケットを通しての注目トピックスを紹介する。

■帰化選手の活躍
 今大会のスペイン代表は、ロレンゾ・ブラウンがいなければ優勝できなかっただろう。今年代表入りした32歳の司令塔は、平均15.2点、大会2位の7.6アシストの大活躍を見せた。
 
 さらにベスト4入りしたポーランドのAJ・スローター(平均13.2点、3.8アシスト)も躍動。クロアチア代表のガード、ジェイリーン・スミス(平均12.0点、4.7アシスト)はフィンランドに惜敗したラウンド16戦のあと、「素晴らしいジャーニーだった。このような大会に出るという願ってもない体験ができた」と充実した表情でコメント。

 モンテネグロのケンドリック・ペリー(平均15.2点、7.2アシスト)も、「このようなチャンスを得たいと願っているアメリカ人選手が何千人といる中で、自分に機会を与えてくれたモンテネグロのチーム、協会に心からお礼を言いたい」と謙虚に語っていた。彼も、チームNo.1の評価指数を叩き出し、同国の決勝トーナメント進出の立役者となった。
  2011年の大会で、北マケドニアに帰化し、この小国をベスト4に導いたアメリカ人ガード、ボー・マッカレブの活躍は、このムーブメントに大きな影響を与えた事例のひとつだ。

 最近では、代表チームの“助っ人”となるだけでなく、外国人枠が設けられた欧州のプロクラブでプレーするために、帰化を選ぶ選手が増えている。

 ちなみにブラウンには、2年前にクロアチア代表入りの話が出ていたらしいが、同国の協会が許可せず、実現しなかったとのこと。彼らは今になってそのことを後悔しているかもしれない。

 帰化する選手のほとんどが、アメリカ出身選手だ。ペリーは「即戦力として活躍を求められる中で、期待に答えられてよかった」と話していたように、そのプレッシャーは相当だったのだろう。

 来年のワールドカップでは、フランス国籍を取得したカメルーン出身のジョエル・エンビードの代表入りが実現しそうであることを、チームマネージャーのボリス・ディオウは匂わせている。
 ■レフェリーの采配問題
 これは今大会最大のスキャンダルといってもいい。

 NBAや五輪の試合ではあり得ないようなジャッジミスが、一度のみならず何度も発生。何人もの選手やコーチが、「普段はレフェリーについて苦情を言うことはないのだが…」と前置きして、不満をぶちまける事態となった。

 例えばグループBのドイツ対リトアニア戦(109-107)では、第3クォーター の終盤、ドイツのヘッドコーチが受けたテクニカルファウルに対してリトアニアに与えられるはずのフリースロー1本が忘れられるという件が発生。
 
 リトアニアベンチはすぐさまアピールするも、審判団は取り合わず。試合後FIBA に抗議を申し入れたが「60分以内という規定を経過していた」という理由で反故にされた(ギリシャの報道では、この試合を担当した審判団3人は、その後この大会からは締め出されたとのこと)。

 トルコ対ジョージア戦では、選手同士の口論の間ゲームクロックが止まっておらず、「失われた22秒」についてトルコが抗議を申し入れた。

 普段は冷静なフランスのヴァンサン・コレHCも、試合中の不可解なジャッジについて、会見の席で「バスケットボールは、選手たちが(ゲームを)決めることができてこそ、素晴らしい競技になるのだ!」とテーブルを叩いてまくしたてる場面もあった。
  オーバータイムに持ち込んだ末に勝利したラウンド16のトルコ戦でも、第4クォーター残り12秒でティモテ・ルワウ・キャバロがアンスポーツマンライク・ファウルを取られたが、彼は試合後、「この大会での審判にはどのチームの選手も不満で一杯だ。まったく安定していない」と公に苦言を呈している。

 スペイン対フランスの決勝戦でも、スペインのルディ・フェルナンデスが24秒ギリギリで放ったスリーポイントがリムに当たっていたにもかかわらず、審判は24秒バイオレーションをコール。

 加えて、「これは決勝なんだぞ! 間違いは許されない!」と猛抗議したセルジオ・スカリオロHCはテクニカルファウルの処分に。結果的にその不当な判定が、彼らにプラスのモチベーションを与えることとなったのだが…。

 FIBAの国際大会で笛を吹けるのは、FIBAチャンピオンズリーグやヨーロッパカップを主戦場としている審判たちで、よりハイレベルなユーロリーグの審判たちは、FIBAが敵対しているリーグということで権利がない。

 よって、普段からハイレベルの戦いに慣れていないことが、関係者からも指摘されている。イタリア代表のニコラ・メッリも「FIBAは改善策を講じるべき」とコメントしていた。来年のワールドカップへの問題提起となったことを祈るばかりだ。

文●小川由紀子

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