アンチに「親の七光り」と言われても堂々と。実力差を示す秒殺KOに見た“格闘家”三浦孝太の意地【RIZIN】

アンチに「親の七光り」と言われても堂々と。実力差を示す秒殺KOに見た“格闘家”三浦孝太の意地【RIZIN】

タイからの刺客として招かれたブンチュアイ(手前)に、しっかりと実力差を見せた三浦(奥)。その圧巻のパフォーマンスは榊原CEOをも唸らせた。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

9月25日にさいたまスーパーアリーナで開催された「超RIZIN」と「RIZIN.38」は話題性に富んだ興行となった。

 元ボクシング世界5階級王者のフロイド・メイウェザー(アメリカ)と、総合格闘家の朝倉未来(トライフォース赤坂)による“令和の異種格闘技戦”に加え、RIZINでは、約2年ぶりの試合となった第7代Bellator世界バンタム級王者の堀口恭司(アメリカン・トップチーム)の再起戦など、日本のみならず、世界の格闘技ファンも注目するカードが実現した。

 そのなかにあって、大会を盛り上げるに一役買ったのが、三浦孝太(BRAVE)だ。

 この日の初戦に臨んだ弱冠二十歳の俊英はブンチュアイ・ポーンスーンヌーン(タイ)に見事な締め技を決め、1回1分54秒という秒殺KO勝ちを収めてみせたのだ。RIZINの榊原信行CEOも「凄く活きの良い試合だった。また新しい風を吹かせた」と認める通り、この快勝劇が興行を勢いづけたのは間違いない。
  もっとも、実力差は明白だった。相手は今年に入ってMMAに取り組み始めたばかりで、当然これがデビュー戦。キャリアのほとんどはボクシングとムエタイに捧げ、総合格闘技は素人に近いものがあった。一方の三浦は昨年の大みそかの「RIZIN.33」で元ホストのYUSHIをサッカーボールキックで粉砕。鮮烈なKOデビューを飾っており、そのポテンシャルは折り紙付き。まともにやれば、難なく勝てると言っても過言ではなかった。

 しかし、当の本人には言い知れぬ不安があった。無理もない。今年に入ってからは5月の「RIZIN LANDMARK vol.3」は直前に首の怪我で離脱、さらに7月の「RIZIN.37」では、大会前日の晩に新型コロナウイルス感染が判明し、無念の欠場を余儀なくされていたのである。群雄割拠の格闘界では何気ない出来事で居場所を奪われるのは日常茶飯事。ゆえに三浦には「欠場が怖くて、くしゃみしただけで心配になったり、冷房をつけすぎて不安になったり」と焦燥感に似た感情があったという。

 だからこそ、結果で見せつける必要があった。だが、それを見事に三浦はやってのける。果敢に仕掛けてきたブンチュアイの動きを早々に見極めると、テイクダウンからマウントを取り、最後は「折りに行くつもりでいかないと負ける」ときっちり腕十字を極めた。完璧な試合運びとフィニッシュワークに会場は酔いしれていた。 会場を虜にした三浦は、試合直後にマイクを手に取ると、こう叫んだ。

「これからの試合で今までの欠場を含め勝ち進んで、アンチの人にも応援してよかったなと思ってもらえるように、格闘技界の若きキングになる」

 彼が言う“キング”の持つ意味は重い。日本サッカー界のレジェンドで、父親である知良の愛称であるからだ。家族の存在が大きすぎるがゆえに、ここ2戦欠場が続いていた“サラブレッド”のもとには、誹謗中傷にも似たメッセージが寄せられた。無論、そのなかで「親の七光り」というコメントが多かったという。
  だが、三浦はアンチからの心無い声にも動じてはいなかった。20歳の若武者はニヤりと微笑みながら、こう語った。

「また『親の七光り』とか言われるかもしれない。でも、自分はそう言われることは、ぜんぜん嫌とか思わない。むしろ、父親の存在は素晴らしいと思っている。自分以外にも2世で、親の力をなしに一生懸命に頑張ってる人はたくさんいるので、自分もそこに関してはプラスに考えてますね」

 自身も抱えていた不安を拭う快勝を見せつけた三浦。今後は「MMAをやってる選手を倒していきたい。自分は大きい舞台の方がやる気になる」と意気込む若武者の堂々たるパフォーマンスと発言に、「カズの息子」ではなく「格闘家」としての意地を見た。

取材・文●羽澄凜太郎

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