8番人気ジャンダルムがGⅠ初制覇で3連単46万強の大波乱!1番人気メイケイエールは不可解な凡走【スプリンターズS・レビュー】

8番人気ジャンダルムがGⅠ初制覇で3連単46万強の大波乱!1番人気メイケイエールは不可解な凡走【スプリンターズS・レビュー】

ジャンダルムはGⅠスプリンターズSで母・ビリーヴとの母仔制覇を達成した。写真:産経新聞社

秋の短距離王決定戦、スプリンターズステークス(GⅠ、中山・芝1200m)が10月2日(日)に行われ、単勝8番人気のジャンダルム(牡7歳/栗東・池江泰寿厩舎)が、7番人気のウインマーベル(牡3歳/美浦・深山雅史厩舎)の猛追をクビ差で抑え、GⅠレース初制覇を飾った。そして、3着には5番人気のナランフレグ(牡6歳/美浦・宗像義忠厩舎)が入り、3連単の配当は46万8950円を記録する高配当となった。

【動画】8番人気ジャンダルムが通算29度目の挑戦でGⅠ初制覇

 一方、単勝オッズ2.5倍の1番人気に推されたメイケイエール(牝4歳/栗東・武英智厩舎)は好位置を進みながら直線で脚が止まり、16頭立ての14着に大敗。またもビッグタイトルには手が届かなかった。

 逃げると見られていたテイエムスパーダ(牝3歳/栗東・五十嵐忠男厩舎)がやや立ち遅れたが、激しく手綱をしごいて先頭を奪う。2番枠からスムーズに出たジャンダルムが3番手に付け、注目のメイケイエールはそれに添うように4番手の好位置をキープする。テイエムスパーダが刻んだ前半3ハロンのラップは32秒7を記録したが、スプリントGⅠとしてはさほど速いものではなく、各馬流れに乗って、スパート態勢へと入りながら直線へと向かった。

 テイエムスパーダがバテて後退するところ、ジャンダルムが鋭い反応で先頭に躍り出る。しかし、本来ならここで迫ってくるはずのメイケイエールは鞍上の池添謙一騎手のゴーサインに反応しないばかりか、脚色が鈍って馬群に飲み込まれてしまい、スタンドからは悲鳴にも似た声が上がった。

 そして坂を上がったところで、逃げ込みを図るジャンダルムに向かって後続が一気に襲い掛かり、中でも脚色が目立つウインマーベルが猛追するが、惜しくもクビ差届かず。結果、ジャンダルムが際どく逃げ込んで初のGⅠタイトル奪取に成功した。
  手綱をとった荻野極騎手は、デビュー6年目にして嬉しい初GⅠ制覇となった。ちなみに荻野騎手は、ジャンダルムと今年3月のオーシャンステークス(GⅢ、中山・芝1200m)を制したのが重賞初勝利だった。

 ジャンダルムの母ビリーヴ(Believe)は2002年に本レースを制したトップスプリンターだった。現役引退後は米国へ渡って繁殖生活に入り、父キトゥンズジョイ(Kitten's Joy)との間に7番仔として生まれ、日本へ逆輸入されたのがジャンダルム。つまり今回の彼の勝利は同一GⅠの母仔制覇という快挙でもあった。
  ジャンダルムはホープフルステークス(GⅠ、中山・芝2000m)で2着に食い込んでいるように、クラシックを意識させる存在だった。しかし、日本ダービー(GⅠ、東京・芝2400m)で17着に大敗したのを機に、マイル路線へ進路を変更。それからもなかなか成果が出なかったが、さらに距離を短縮したスプリント戦も射程に入れるなどの取り組みが奏功し、7歳になった今年、オーシャンステークスでようやく重賞を初制覇。その後も2度の2桁着順を続けたものの、今回はやや時計がかかる馬場状態を味方に付け、通算29戦目にしてようやくビッグタイトルを掴み取った。馬の頑張りはもちろんだが、厩舎や牧場スタッフの粘り強いケアも大きな称賛を受けるべきだろう。
  ウインマーベルはイン有利の馬場を読み、あえて密集した馬群をさばいて追い込んだ松山弘平騎手の好騎乗が光った。3歳にして勝利まであと一歩というところまで迫った走りは今後の糧となり、また関係者を勇気づけたはずだ。

 3着のナランフレグは外を通らなければならない苦しい競馬になったが、それでも上がり3ハロンで最速タイとなる33秒9の鋭い末脚を繰り出して際どく追い込んだ。今後もマークを怠れないと思わせるだけの存在感を示したと言える。

 3番人気に推されたシュネルマイスター(牡4歳/美浦・手塚貴久厩舎)は中団の後ろを進んだが、直線でも目立った脚を使えないまま9着に沈んだ。距離不適という疑問から評価を落としたが、その読みが当たってしまった格好。ただ、本当の目標はこの先のマイル路線にあるはずで、ここはステップと見るのが妥当だろう。

 さて、今回の大波乱の要因となったメイケイエールの大敗だが、池添騎手が「(前走から)中2週にレース間隔が詰まったことぐらいしか敗因が思いつかない」と述べたと報じられているように、誠に不可解な凡走となった。当日は課題とされたテンションの高さも見せず、レースの流れにも乗れているように映ったことを考えると、確かにレース間隔の問題はあったもしれない。また同時に、牝馬特有のメンタルの難しさが本質的には解消されていないのではないかという疑問が浮かんでくるのも確か。残念なことだが、見る側、馬券を買う側にとっても難しい存在になってしまった。

文●三好達彦

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