【マイルCS】鞍上大絶賛!偉大な父から受け継いだセリフォスの潜在能力!白いアイドルホースはマイルなら互角以上に戦える

【マイルCS】鞍上大絶賛!偉大な父から受け継いだセリフォスの潜在能力!白いアイドルホースはマイルなら互角以上に戦える

マイルCSを制した10番セリフォス(中)。父ダイワメジャーとGⅠ父仔制覇となった。白毛の人気馬ソダシ(左)は3着だった。写真:産経新聞社

11月20日、マイルチャンピオンシップ(GⅠ、阪神・芝1600m)が行なわれ、単勝6番人気のセリフォス(牡3歳/栗東・中内田充正厩舎)が大外から豪快に差し切って優勝。自身初のGⅠタイトルを手に入れた。2着には8番人気のダノンザキッド(牡4歳/栗東・安田隆行厩舎)、3着には2番人気のソダシ(牝4歳/栗東・須貝尚介厩舎)が入り、3連単は14万2650円という波乱になった。

 マイル戦線の主力がほとんど顔を揃えた大一番。日曜の天気予報で降雨があることは伝えられていたが、どの程度降り、どこまで馬場が悪化するのかに多くのファンやマスメディアが気を揉んだ。結果、雨はレースが始まる前の早朝に降り、馬場状態は「稍重」でスタート。その後、第8レースからは「良」に回復したが、やや時計がかかるコンディションとなった。

 そしてさらに予想を難しくしたのは、芝がかなり傷んできた内ラチ沿いでもなかなか、”止まらない”ということ。たとえば第10レースの再度山特別(2勝クラス、芝1800m)では、ライアン・ムーア騎手が乗ったフィデル(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)が直線でインを突いて差し切り勝ちを収めるなど、”馬場読み”は困難を極めた。
  そうした天気の影響があってか、上位人気の単勝オッズもレース直前まで上下を繰り返した。前日までは、もはやアイドルと言っていいほどの存在となった白毛のソダシが1番人気をキープしていたが、締め切り時点では昨年のNHKマイルカップ(GⅠ、東京・芝1600m)覇者のシュネルマイスター(牡4歳/美浦・手塚貴久厩舎)が逆転した。

 同馬は、昨年6月の安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)で3着、11月の本レースでも2着。そして今年の安田記念2着と、マイル戦線は絶好の舞台。そして3番人気には、19年の朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)の勝ち馬で、前走の毎日王冠(GⅡ、東京・芝1800m)を快勝したサリオス(牡5歳/美浦・堀宣行厩舎)が推されてレースを迎えた。 ゲートが開くと、まずピースオブエイト(牡3歳/栗東・奥村豊厩舎)がハナを切り、それをファルコニア(牡5歳/栗東・高野友和厩舎)とホウオウアマゾン(牡4歳/栗東・矢作芳人厩舎)が追走。ソダシはその直後に付け、シュネルマイスターは中団の後方を進む。ややダッシュが鈍かったサリオスは後方の11~12番手付近から追い込みに賭けた。

 1000mの通過ラップは58秒5と、稍重に近い状態としては速い流れ。隊列は縦長になって進んでいたが、第3コーナー手前から後方を追走していた各馬も先団との差を詰め、馬群はひと塊になって直線へと向いた。第10レースの結果でインも伸びると考えた騎手たちは距離損を抑えるために内側に殺到。ファルコニアが粘るところへ、最内からマテンロウオリオン(牡3歳/栗東・昆貢厩舎)が迫るなど、大混戦の様相になり、ソダシやシュネルマイスターもその争いに加わった。

 しかし、馬群の大外へと持ち出されて桁違いの脚で伸びてきたのが6番人気のセリフォス。内で繰り広げられる鍔迫り合いをよそに、最後方から一気に突き抜けると、馬群から抜け出してきたダノンザキッドとソダシを問題にせず、余裕の手応えでゴール。念願のGⅠタイトルを手にした。一方、シュネルマイスターは追い比べで競り負けて5着に終わり、サリオスは直線でも伸びを欠いて14着に大敗した。
  マイルチャンピオンシップ連覇をはじめ、1600~2000mのGⅠを5勝しているダイワメジャーを父に持つセリフォスは、早くからマイルに距離を絞って使われてきた。彼はそうした期待に応え、先行差しというセンスの高いレースぶりをもってデビューから3連勝で新潟2歳ステークス(GⅢ、新潟・芝1600m)、デイリー杯2歳ステークス(GⅡ、阪神・芝1600m)を制覇。しかし、そこからは詰めの甘さが出て、僅差ながら3つのGⅠレースで敗戦を喫した。

 しかし、夏の休養を経て復帰戦となった富士ステークス(GⅡ、東京・芝1600m)では、これまでと違った後方一気の競馬で強い勝ち方を見せ、脚質転換に成功。このレースでも前半は第4コーナーを回るまで後方で待機すると、ダミアン・レーン騎手が「直線で外へ出したときの手応えがすごく良かったので、自信を持って追った」と語る素晴らしい瞬発力を発揮して、本レースの父仔制覇という偉業を成し遂げた。3歳でマイル王に輝いた能力がどこまで伸びていくのか、これからが楽しみな存在となった。 2着のダノンザキッドは、マイル戦線で好レースを続けていた経験値の高さが活きた印象。落馬による大怪我から復帰してから初めてのGⅠ騎乗となった北村友一騎手の、1頭がやっと通れるほどの狭いスペースを突く果敢な騎乗も光った。

 また3着のソダシは、速めなペース展開だったレースのなかで逃げ・先行馬が相次いで失速していくなか、最後まで粘って3着に食い込んだのは、ひとえに彼女のポテンシャルの高さゆえ。牡馬を敵に回しても、マイルの距離なら十分に勝負できることを改めて示した。
  本来の伸びが見られなかったシュネルマイスターとサリオスは、どちらもジョッキーが「柔らかくなった馬場が原因かもしれない」と敗因に言及。特にサリオスは、重馬場となった今春の高松宮記念(GⅠ、中京・芝1200m)でも15着に大敗しており、降雨が予想された段階で評価を下げる必要があった。

文●三好達彦

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